120.水着(妹様)

 靴を脱いで、自分の部屋に荷物を置きに行こうと思うと、リビングから羽衣が顔を出してきた。祖父母は、夕食の買い物に出かけているらしい。


 羽衣は、リビングから出てきたが、パーカーを着ているだけで、下は履いていない。いくら、家だからと言っても着るべき服は着ないといけないので、注意をしようとしたら、羽衣は、僕の部屋に手招きして来た。


「何ですか?後、家の中でもしっかり服は着て下さい」

「むぅ~~普段からこうじゃないよ」


 すると、羽衣は上着を脱いで中を見せて来た。


 まぁ、何と言うか、今日プールで女性3人の水着の上に上着を着ていた姿を見ていたので、羽衣の格好にもある程度予想は付いていた。


 案の定、上着の下には水着を着ていた。


「どうだい、私の悩殺ボディは!」

「制服の試着の時に、散々みたから何とも思わない」

「んなぁ~~可愛い妹の身体では、欲情出来ないと?本当に、男ですか?」

「男だよ!」


 このアホ妹は、何を思っているのか。


 妹に欲情する兄が、何処に居ると言うのだ。というか、自分に欲情する兄が居たとして、羽衣はそんな兄と同居はふあんじゃないのか!


 とまぁ、羽衣の言動にツッコみたい所は山ほどあるのだが、いちいちツッコんでいたらキリがない。


「まぁでも、可愛いですよ」

「んもぉ〜〜詩季にぃさん。素直に言い過ぎだよぉ〜〜」


 羽衣は嬉しそうな表情になって、僕に抱き着いてきそうになるが、顔を押さえてガードする。


「むぅ~~抱き着かせろぉ~~妹のハグだぞぉ~~」

「だったら、しっかり服を着て下さい」

「いいじゃねぇかぁ~~妹の素肌味わえんだぞぉ~~」

「そう言うのは、彼氏にしなさいよ!」

「ケニーとは、お互いが成人するまでは、しないって約束したんだよぉ~~」


 ケニーくんは、えらい紳士だと思う。


 羽衣と同い年なら、性欲もあるだろう。羽衣のようなスタイルの良い彼女を持って、Hに関して成人するまでしないという約束したんだから。いい男なのだろう。


「だからぁ~~抱き着かせろぉ~~」

「んわぁ~~」


 力負けしてしまい、僕は、羽衣に抱き着かれてしまった。


 まぁ、陽葵さんと一緒のお風呂に入った時ほどのドキドキはしない。


 羽衣がこんな行動に出た要因として、僕が友人たちとプールに行った事だろう。陽葵さんたち女性3人の水着を見たのだから私のも見ろとでも思ったのだろう。






 羽衣は、満足したのか自室に戻って服を着てリビングにやって来た。


「ケニーくんとは、電話しているの?」

「昨日したよぉ~~詩季にぃさんの写真も見せた」

「別に怒りはしませんけど、一言言ってくれませんか?」

「ケニーも会いたがっていたよぉ~~詩季にぃさんが、陽葵ちゃんと付き合ったらダブルデートしたいねぇ~~」

「僕は、デートするなら2人がいいですね。ダブルデートした所で、羽衣は僕にべったりでしょ?その間、陽葵さんをケニーに任せたくないですね」

「おぉ~~陽葵ちゃんの告白を保留したくせに、独占力発揮してる~~都合良すぎませんかぁ~~詩季にぃさんやい」


 やっぱり、羽衣と陽葵さんは繋がっている。陽葵さんが、僕と一緒にお風呂に入ろうとしたのも羽衣の入れ知恵だろう。そして、陽葵さんから告白したけど、返事は保留された旨を聞いたのだろう。


「陽葵さんから好意伝えられて嬉しかったよ。だけど、僕自身が〖好き〗という感情が、わからないまま付き合ったら陽葵さんに嫌な思いをさせるだけじゃないですか……」

「確かに、詩季にぃさんの言う事も確かだね。私は好きで交際したとして、相手が自分を〖好き〗の認識して貰えずに、交際続けんのってしんどいかも。ただ、彼女候補としてキープされているみたいで」


 好きだとわからずに、交際した事で、一度恋愛に関して失敗してしまっている。だからこそ、同じ轍は踏みたくない。


「確かに、高梨さんとことは、上手く行かなかったもんね」

「呼び方変わったんですね」


 幼馴染達と仲良くしていた時は、羽衣も「琴葉ねぇ」と呼んで懐いていた印象だ。


「んまぁ、詩季にぃさんを傷つけたからね。そんな人をねぇさんだなんて呼びたくないね」

「本当に、さばざはしていますね」

「それは、詩季にぃさんもじゃない?」

「それもそうか!」


 そう言えば、羽衣とケニーくんがどのように出会ったのかが気になる。


「ねぇ、羽衣は、ケニーくんとなら――」

「Hも出来るねぇ〜〜ぶっちゃけ、男女交際の大きな基準てそこじゃない?」


 羽衣は、僕が何を言いたいかを読み当てて先に答えを言ってきた。


 確かに、男女交際の先にあるものは、結婚だ。そう考えると、男女交際において1番の基準は、相手とHが出来るか出来ないかだと思う。


「私は、詩季にぃさんともHな事出来るけどねぇ〜〜法律で結構出来ないからねぇ」

「サラッと、すげぇ事言ったね妹よ」


 妹が、法律が許すなら僕とは関係を持てるという発言には、少々ドン引きしてしまう所はある。


 まぁ、〖好き〗と言う感情を知りたいなら経験者の知恵を拝借するのが、1番だろう。


「羽衣は、ケニーくんのどういう所が好きになったのさぁ?」

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