118.プール
「んじゃ、掃除が終わったら、遊んでもいいが危険な事はするなよぉ~~」
守谷先生は、それだけを言うとプールの更衣室や倉庫の鍵を陽翔に渡して職員室に行ってしまった。
「それじゃ、まずは水着に着替えようか」
陽翔の号令で、男女それぞれの更衣室に別れて着替えを行う。
女子3人は、女子更衣室に入ると、各々水着に着替えだした。私は、詩季くんと一緒にお風呂に入った時に来た、露出が控えめな水着を着てから上に、フード付きのジャージを着る。
「はるのん、やっぱりスタイル良いよね。胸は、ひまりんが勝ってるけど!」
女子会では、和解とまでは行かなかったが、春乃ちゃんが陽翔に謝罪をすると言うことで、ひとまずの休戦と言っていい形に収まった。
ただ、春乃ちゃんが詩季くんの事をどう思っているかは、上手いことはぐらかされた。
「うし、ジャージも着たしそろそろ男子陣をガッカリさせに行くかぁ〜〜」
女子3人は、掃除の時は、上にジャージを着ることを女子会の時に決めていた。
いきなり、私達の悩殺ボディを見せたら男子共は、掃除処じゃなくなるだろうと言う奈々ちゃんの意見だ。
女子更衣室から荷物を持って、プールサイドに移動する。男女それぞれの更衣室も掃除場所なので、荷物は、持ち出す事になっている。
プールサイドに出るが、男子陣がまだ出てきて居なかった。
奈々ちゃんは、目論見が外れてしまったからか、悔しそうにしている。
遅れること、10分程度で男子達が出てきた。
瑛太くんは、上半身は、裸で下は水着を着ているが、詩季くんと陽翔は、下は水着だが上は来ていた。
「もぉ〜、男子達遅い〜〜!」
「仕方ねぇだろ、バカ奈々。詩季の着替えに時間がかかるんだよ」
「申し訳ありません……」
「あっ、ごめんね、しきやん」
奈々ちゃんは、詩季くんに謝るのと同時に、瑛太くんにチョップを喰らわせていた。
「何なだぁ?露骨にがっかりした表情見せてよぉ?」
「んなもん、仕方ねぇだろうよ!」
「安心しなって、プールに入る時は、私のナイスバディを見せてあげるから」
「はっ、お前のなんて見飽きとるは、バ――あだぁ!髪、引っ張んな、禿げるわ」
本当に、仲がいい2人だと思う。
「陽翔くん、この前一緒に遊んだ時は、嫌な思いをさせてしまってすみませんでした……」
「んいゃ、全然!友達の事をよく知りたいと思うのは当然の事だよ」
こっちの2人も、何だかんがで、甘い空気を出すよな。春乃ちゃんも休戦の約束をしっかり果たした。
私は、詩季くんの元へ行く事にした。詩季くんは、ベンチサイドに移動して座って休んでいた。
「詩季くん」
「陽葵さんも休憩ですか?」
「うん」
隣に腰掛けて、話そうとしたタイミングで、奈々ちゃんが、皆に号令をかけた。
「掃除当番決めるよぉ〜〜詩季くんの周りに集合!」
詩季くんの周りに、皆が集まったので、私も立ち上がる。
「えぇ〜と、ペアになって掃除したいと思うので、私の独断と偏見で決めさせて頂きます」
決めると言いながら、奈々ちゃんの独断に私は驚いてしまう。
奈々ちゃんが、決めたペアはこうだった。
陽翔と瑛太くん = 倉庫の掃除
春乃ちゃんと奈々ちゃん = プールサイドの掃除
私と詩季くん = 男女更衣室の掃除
となった。
プール内に関しては、業者に任せているらしく、守谷先生から言われたのは、奈々ちゃんが振り分けた場所だ。
振り分けられた場所に別れて、掃除を始める。
私と詩季くんも担当の場所に移動して掃除を始める。
最初は、男子更衣室を掃除してから、女子更衣室に移る。
時間にして、約1時間程度だろう。
1時間が経過したタイミングで、皆、それぞれの担当場所を終えて集合した。
「じゃ、掃除も終わった事ですしぃ〜〜遊びますかかぁ〜〜」
「おぉ〜〜」
奈々ちゃんの号令に始まって、瑛太くんが反応した。
奈々ちゃんは、ジャージを脱いで、ビキニの水着を披露した。
春乃ちゃんも続いて、上のジャージを脱いで、水着を披露した。春乃ちゃんの水着は、ビキニタイプたが、来ている部分の露出が少なめのを選んでいた。
グループで通話した時に、詩季くんがアドバイスしたものだった。
まぁ、一緒に水着を買いに行ったからどんなのかは知っていたけど。
陽翔も気が付いたら上は、脱いでいた。
私は脱がずに、詩季くんの隣に移動して座った。
「おい、えろ猿、春乃ちゃんを嫌らしい目で見るな!」
「嫌らしい目では、見てねぇよ」
「ほんとかぁ〜〜私のよりでかいとか思ってんだろぉ?」
「まぁ、お前はまな板――いだぁ!」
瑛太くんは失言をしてしまい、奈々ちゃんに、しばかれていた。女の子の胸のサイズは、かなりのタブーな話題だと思うよ瑛太くん。
奈々ちゃん、3人の中で1番小さいの気にしていたんだから。
パシャーン!
そして、奈々ちゃんの手によってプール内に落とされていた。
「陽葵さんも、遊んで来ていいですよ?」
「大丈夫だよ。私は、詩季くんと皆にイタズラする側に回るから」
私はそう言って、一緒に持ってきていた手提げカバンから水鉄砲を取り出した。
詩季くんは、脚が悪いので一緒にプール内では遊べない。
だけど、プール外から水鉄砲を使って遊ぶ事には参加出来るだろうと、家から使えそうな水鉄砲を持参した。もちろん、守谷先生の許可は、得ている。
「詩季くん一緒に遊ぼ!」
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