112.エロジジィ?
「静ばぁ〜〜ただいまぁ〜〜」
家に到着すると、羽衣は、出迎えてくれた静ばぁに元気よく挨拶をする。
「おかえりぃ〜〜羽衣ちゃん!」
「羽衣ちゃん、おじいちゃんは?」
羽衣は、静ばぁによしよしされて嬉しそうな表情になっている。ただいまを言って貰えていない、健じぃは、自分を指さしてアピールしているが、今の羽衣にそう言うアピールは、返って逆効果だと思う。
「えへへ、今日からお世話になるねぇ~~静ばぁ~~」
「うん、部屋も用意したからね」
「わぁ~お!」
「羽衣ちゃん、おじいちゃんは?」
羽衣に構って貰えず、構えアピールをしている健じぃは、見ていて面白いと思う。だが、今の羽衣は、帰国ドッキリを無茶苦茶にされた鬱憤も溜まっているのだろう。健じぃに対して、放置プレイをしている。
「うっさい、エロジジィ!」
「なぬっ、羽衣ちゃん〜〜」
孫娘の羽衣に、エロジジィと言われた事で、健じぃは、相当なダメージを受けた。
「羽衣、健じぃ悲しんでるから、そろそろ矛を収めたら?」
「羽衣ちゃんやぁ〜〜い。おじいちゃん、何かしちゃったのかぁ〜〜」
健じぃは、半泣きの表情になっていた。
まさか、羽衣の帰国の予定が早まった事を僕に教えた事で、怒られているなんて思ってもいないだろう。
「健じぃ、私の帰国が早まったのアニキに教えたでしょ?ドッキリ、失敗したじゃん」
「すまんよ。詩季が喜ぶと思ったんじゃ〜〜」
「羽衣、そろそろ許してあげて」
「仕方が無い、アニキに免じて許そう」
「コラ、羽衣!おじいちゃんに、最初に言う事あるでしょう!」
僕から許すように促すと、羽衣は態度を軟化させたが、母さんは、羽衣に手刀をお見舞いしていた。
羽衣は、少々のダメージを受けたようで、頭を押さえていた。
「うぅ~~ただいまぁ、健じぃ」
「おぉ~~お帰りぃ~~羽衣――アダァ!」
「だから、健じぃは、エロジジィなんだよ……」
「お父さん、これは、羽衣に同情します」
羽衣にただいまと言われた健じぃは、嬉しさのあまり羽衣に抱き着こうとしたが、上手にかわされていた。その拍子に、玄関の扉にお凸を強打していた。
「うぅ~~我が家の女性陣が冷たいぞぉ~~味方は、詩季だけじゃ……」
「えっ、僕は羽衣の味方ですよ」
「味方がいないぞぃ~~」
僕達は、リビングに移動した。
机の上には、静ばぁが用意してくれた昼食が、用意されていた。メニューは、羽衣と僕の好物だけだ。ただ、静ばぁからしっかり食べろという圧力を感じる。
「羽衣、彼とはしっかり話せた?」
「うん、話せたよ。遠恋になる事に納得してくれたよ。まぁ、向こうで好きになった人が出来たら潔く身を引くって言ったよ。私が……」
遠距離恋愛になってしまった原因としては、本当に、申し訳なく感じてしまう。羽衣も僕のそう言った雰囲気を感じ取ったみたいで、頭をワシワシと撫でて来た。
「気にすんなよ。私にとっては、家族第一。結婚もしてない異性の恋人よりアニキだよ。遠恋になった程度で、別に好きな異性が出来る時点で、私たちの関係性は、そう言うもんじゃん?」
やっぱり、僕と羽衣で恋愛に関するスタンスは似ている様に思う。
遠距離では、付き合えない or 遠距離になって別に好きな人が出来る = その程度の関係性だった
と言う考え方は、本当に似ていると思う。
「それでぇ~~詩季にぃは、陽葵ちゃんとどうなん?」
「何も変わらずですよ。いつも通りに仲良くさせて貰っています」
「えぇ~~詩季、羽衣ちゃんが返って来る3日前に、一緒にお泊りしていたのにぃ~~?」
静ばぁから、暴露された。
祖父母が旅行に行っている間に、家に陽葵さんと陽菜ちゃんがきて一緒にお泊りした事。そして、2日目に関しては、陽葵さんとは2人きりだった事を暴露された。
「へぇ~~陽葵ちゃんと2人で一晩過ごしたんだぁ~~それで、何もないなんて言わないよねぇ~~アニキィ~~?もしかして、一線超えた?」
「超えていません。いい友人です」
「アダッ!」
羽衣に、少しは大人しくなれという意味も込めて手刀をお見舞いする。
「羽衣みたいに、男女交際関係で無いので、そう言った事はしませんよ!」
「まぁ、確かに男女交際関係に無い中でそう言ったことするのはねぇ~~」
何だか、羽衣は、ケニーくんと経験があるような口ぶりだ。交際期間は、1年を超えていると言うのだから、経験があってもおかしくは無いだろう。
「んあぁ、私は、ケニーとそう言った経験は無いよょ〜〜彼とは、キスまでぇ〜〜」
意外だなぁと思った。
交際期間が長ければ、そう言った行為をしていてもおかしくないと思う。
「意外って顔してる。ケニーが、紳士なんよ。イギリスと日本で住んでいる所も違うから責任取れる年齢になるまで、我慢するってね」
結構な好青年だなぁと思う。ケニーくんは。羽衣が、気に入るのもわかる気がする。
そこから、僕は、羽衣と母さんと近況を報告しあった。
「そうだ、詩季に、お願いしたい事があるんだけど……」
母さんは、かなり大事そうな話をする表情になっていた。
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