92.後ろ盾
「ありがとうございました」
藤宮高校生徒会との話し合いが、終わったので、藤宮高校生徒会は、学校を後にする。
藤宮生徒会のお見送りには、僕も参加する。
今は、校門前に到着して、藤宮生徒会に古河先輩が、ここまで来てくれた事と有意義な話し合いのお礼を言っていた。
他の桜宮の生徒会も一礼をする。
「白村くん。倖白と会えるタイミングが合えば、連絡するから気が向いたら会ってみてよ」
有隅さんが、スマホのメッセージアプリのQRコードを提示してきたので、僕もスマホで読み取って連絡先を交換した。
「あっ、生徒会長になる決心を決めたら連絡頂戴よ?全力で応援してあげるから」
有隅さんは、何か意味を含めた笑みを浮かべて藤宮の生徒会の仲間と共に学校から去って行った。
「白村くん。物凄い後ろ盾得たね」
生徒会室に移動しながら松本先輩に、そう言われた。
「どう言う事でしょうか?」
「君が、生徒会長選挙に出馬を決めたら、藤宮の生徒会が君の応援をしてくれるって事。これ、裕大は誰も推薦していないって言ってるから、かなり強力な後ろ盾だよ」
桜宮の生徒会長選挙には、立会演説会には、他校の生徒による応援演説が認められている。
まぁ、他校の生徒に応援演説を頼むにしても、色々な手続きが必要になるので、殆ど現実に起こっていないのだ。
「藤宮の生徒会役員は、生徒会活動において特別公休の権利があるからね。有隅さんに依頼すれば、立会演説で応援演説して貰えるんじゃないかな?」
「まぁ、僕が、生徒会長選挙に出馬すればの話ですけどね」
「でも、有隅さんに応援演説頼むにしても、西原さんにしっかり説明しないとねぇ~~」
確かに。
アイドル級に整ったルックスを誇る有隅さんに応援演説を頼めば、「あの藤宮の後ろ盾が!」だけでなく、有隅さんに惚れた男性票は、確実に得られるだろう。
その反面として、陽葵さんとの関係が、悪化する可能性がありそうだ。
生徒会室に到着すると、陽葵さんと春乃さんは、生徒会新聞を作り終えて、松本先輩に提出して内容のチェックをお願いしていた。
チェックは、生徒会長である古賀先輩でなく副会長の松本先輩の役目なんだな。
「詩季くん、紅茶どうぞ」
「ありがとうごいざいます」
春乃さんが、藤宮と話し合いに言っていた人数分の飲み物を入れてくれた。
しかも、それぞれの好みに合わせた飲み物を入れているのだから本当に、気が利く女の子だ。
「ん~~白村くん。生徒会新聞の検査してくれるかな?」
「……僕ですか?」
何故か、陽葵さんと春乃さんが作った新聞の検査を頼まれた。
こう言うのは、上級生の先輩方のお仕事だと思うのだが。
「安心しなさい。私の検査では、殆ど問題ないから。後は、仲の良い君の目線の意見が欲しいかな?藤宮の生徒会の可愛い女の子と連絡先を交換して鼻を伸ばしている白村くん~~??」
「松本先輩……なにを――いたぁい!」
松本先輩の言う事を否定しようとしたら、左わき腹を抓られた痛みが強く走った。
そして、左隣に座っている人物は、陽葵さんだ。
「陽葵さん、痛いです」
「鼻伸ばしてたんだ」
「あっ、西原さん。有隅さんは、こんな子だよ。君たちの1つ年上」
「――いてててぇぇ」
松本先輩に有隅さんの顔写真を見せられた、陽葵さんの抓る力は更に強くなった。
「陽葵さん、抓るの止めて下さいよぉ~~」
「あはは、住吉さんも大変だねぇ~~」
「まぁ、私は、諦めていますから。詩季くんの人柄は、人が集まります。だけど、詩季くんは、一筋なんですよね。だから、信頼できる男の子です」
「だねぇ~~あっ、住吉さん。この後、一緒にお茶しない?美味しい、喫茶店あるんだ」
「……?解りました」
今日の生徒会活動は終了になった。
春乃さんは、松本先輩と喫茶店に行くようで、一緒には帰っていない。古河先輩も、今日に関しては、松本先輩に、「1人で帰れ!」とあしらわれて、涙目を浮かべていた。
「陽葵さん、機嫌を直してくださいよ」
「ふん、年上美少女に鼻をも伸ばしていた詩季くん。何か、用かな?」
陽葵さんのご機嫌は、斜めなご様子だ。
どうしたらいいだろうか。
「鼻は、伸ばしていませんよ」
「ホントかなぁ~~」
本気で怒ってはいないだろう。ただ、僕を揶揄っているのかもしれない。
だけど、陽葵さんには機嫌を直してほしい。
「……陽葵さん。1学期の期末試験で3位に入りましたし……何か、ご褒美いりますか?」
「!!それは、何でもいいの?」
「……高校生の常識の範囲内でお願いしますね」
「何にしようかなぁ~~」
陽葵さんのご機嫌は、一瞬で良くなったので、取り敢えずは良しとしよう。
まぁ、何をお願いされるのかが怖いが……しっかり、高校生の常識の範囲内で済むよね?!
〇〇〇
「またねぇ~~春乃ちゃん」
春乃ちゃんと喫茶店でお茶を終えた。
夏休み直前に生徒会に入って来た住吉春乃さんとお茶をした。
呼び方も住吉さんから春乃ちゃんに変わった。
にしても、彼女は初心だなぁ~~と思った。
白村くんとのエピソードを聞いたが、話さなくても良い所まで話してくれた。
まぁ、彼にスカートの中のスパッツを見られてしまって恥ずか死んだエピソードは、話さなくてもいいが、話してしまうあたり、純粋すぎる。
白村くんが、彼女に惹かれない事が不思議でない。
それほど、西原陽葵さんに惹かれているという事か。
それ以前に、白村くんが恋に関して無関心すぎるのが問題か。
私は、スマホで父親に連絡する。
「――あっお父さん。以前に、白村くんと接触出来ましたが、住吉さんとも接触できました」
――― 後書き ―――
藤宮高校生徒会との交流で、詩季には新たな人脈が……
そして、詩季の裏側で動く人物が……
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