41.順位
「おはよぉ~~テストどうだった?」
「今日、成績発表でしょ~~嫌だぁ~~」
先週の水曜日から金曜日に、中間テストが行われて、週が明けた月曜日に、全科目の解答用紙が返される。
今日の朝のホームルームのメインイベントは、これなのだ。
そして、昼休みに、学校の掲示板に、成績上位50位以内に入った生徒は、順位が、貼りだされる。
テスト最終日の金曜日に、守谷先生と話したが、土日は、テストの採点で時間が潰れてしまうそうだ。
本当に、先生方の働きには、感服致します。
「お前らぁ〜〜席に着けぇ〜〜今日は、お楽しみの成績発表だぞぉ〜〜」
成績発表に関して、純粋に楽しめる生徒は、居るのだろうかと言う疑問は胸の内に仕舞っておくとする。
守谷先生から出席番号順で、封筒に入れられた解答用紙を渡される。
「白村〜〜」
「はい」
教卓付近で、封筒を受け取る。
「点数的には、ほとんど上がる余地がないな」
「――頑張りましたから」
封筒を受け取って自分の席に戻るり、中身の解答用紙を確認せずに、カバンの中に入れる。
「採点ミスに関しては、今日の放課後までに申し出ること。あぁ、不正するなよ?解答に関しては、スキャンしてデータで保管してるからな」
守谷先生は、解答用紙の返却を終えると黒板に連絡事項を書いて朝のホームルームを締めくくって教室を後にして行った。
「詩季くんは、見ないの?」
陽葵さんは、封筒から解答用紙と答えを照らし合わせていた。
クラス中も、友人間で何点だったとかの見せ合いや、採点ミスを探していた中で、3人だけは、それをしていなかったのだ。
「まぁ、採点ミスとかは、放課後に確認すればいいですから。あくまで、今日中が採点ミスの申告期限ですから」
「そうなんだ、春乃ちゃんに、瑛太くんも同じ考え?」
僕に、春乃さんに、瑛太くんが、返却された封筒を開けていない3人だ。
「いやぁ〜〜お昼休みまで取っておこうと思ってなぁ」
「楽しみです!」
「早く、昼休みになるといいんですけど」
2人は、僕と同じ考えのようだ。
テストの自己採点で、50位の以内に入る自信はある。そして、上位10位以内に入る自信もある。
なら、自分の順位は、貼りだされたタイミングでまず、確認したいのだ。
そして何よりの理由。
それは、友人間であっても絶対に負けたくないのだ。
今、開封して確認すれば、友人間での勝敗がここでわかってしまう。
だったら、楽しみは、昼まで取っておこうと言う考えだ。
「ひまりん。多分だけど、あの3人、順位が貼りだされたタイミングで、誰が首席かを確認したいんじゃないかな?」
「――どんだけ、負けず嫌いなの?」
「でもさぁ、瑛太のあの表情。初めて見るなぁ〜〜」
「勝手に、惚気ないでくれる?」
「だったら、早く告白してくっつきなよ?」
「んなっ、詩季くんは、色々あったから慎重なの!」
「あはは、ひまりん可愛いぃ〜〜」
奈々さんのペースに乗せられてしまえば、誰も勝てないだろう。
お昼休みになり、食堂で昼食を済ませて順位が貼りだされる中庭に移動する。
順位の書かれた紙は、昼食を食べに食堂に向かう際に、貼りだされていた。
その際は、かなりの人が居たが、昼食を食べている間に、人数も減っていた。
人数が減ったのは、好都合だ。
1年生の順位が貼られている場所まで移動して、順位を確認することにする。
僕たちは、下から順位を確認していく。楽しみは、最後にとっとく?スタイルだ。
15位 桜井奈々
「15位かぁ〜〜まぁ、予想より良かったからいいか」
6位 西原陽翔
「俺は、6位か。まぁ、上出来かな」
4位 西原陽葵
「うぅ、首席は遠かった。詩季くんに、何でも1つしてもらいたかったぁ〜〜」
陽葵さんの悔し方を見ると、僕に、何をさせるつもりだったのだろうか。
3位 小原瑛太
「3位かぁ〜〜1つ順位落としたなぁ。って事は、2人の争いか?」
「わかりませんよ。何方かが、解答欄ズレて書いているかもしれませんよ?」
6人(特に、僕と春乃さん)は、気になる順位を見る。
2位 住吉春乃
1位 白村詩季
「はるるんが次席で、しきやんが首席かぁ〜〜」
結果的に、僕は、首席をキープして、春乃さんは、順位を1つ上げた形になった。
だが、負けず嫌いな3人にとって、勝ちに等しいのは、僕だけで、春乃さんと瑛太くんは、悔しがっていた。
順位を下から見て行ったが、幼馴染3人の名前が無かった。
進学クラスで、高等部に上がったことを考えると相当、順位を落とした事が、想像つく。
僕達は、教室に戻り5時間目の授業準備に取り掛かる。
「白村、首席おめでとう!キープすげぇよ。瑛太、惜しかったな」
「住吉さん。凄いね!ねぇ、良かったら、今度、勉強教えてよ!」
すると、順位表を確認したクラスメイトが、話しかけてくれた。
春乃さんにも、話しかけている人が居て、今回の事も、彼女がこのクラスに馴染むいいキッカケになっているのかもしれない。
「シンデレラストーリーだよな、白村。復帰してから首席になってそれを維持」
「そんな事無いですよ。今の僕が、学校に通えているのは、皆さんのお陰ですから」
クラスは、僕を中心にして和気藹々とした雰囲気だった。
ごく1部を除いて。
まぁ、そんな事を気にしてたらキリが無い。今は、クラスメイトとの交流を楽しむとする。
残りのお昼休みは、クラスメイトとの交流で時間が、過ぎって行った。
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