2.来る人・来ない人
●●●
「何なのさぁ、私は、詩季のために――」
「なに?僕のためなら約束ドタキャンして、別の男と会うのはアリなのかよ」
「もう、うるさい。出て行って」
僕には、彼女が居る?居た?
表現が曖昧になっているが、それも仕方が無い。
陽菜ちゃんを助ける前に、彼女こと
僕は、彼女こと琴葉に対してかなり我慢していた。
琴葉とは幼馴染だ。
僕のお父さんとお母さんは、8人の中で代表してイギリスでの支社作りに出ている。
4人で行動してく中で、大海と莉緒が中学2年の春頃にお付き合いを開始して、僕と琴葉も秋頃にお付き合いを開始した。
大海と莉緒は、元々、両想いだった事もあって僕と琴葉で、サポートしてくっ付けた。その最中に、琴葉が僕に惚れたみたいで、今度は、大海と莉緒にサポートされて付き合うことになった。
別に、琴葉とお付き合いする事が嫌ではなかった。
一緒に過ごしていて楽しかったし、琴葉に告白された時は、僕も好きだったので了承した。
そこから、順調な学校生活を送れたかというとそうでは無かった。
元々、4人居たら全員が同じ趣味趣向を持っているとは限らない。
僕は、インドア派で、他の3人は、アウトドア派だったので、3人に僕が付き合うと言う形がずっと続いた。
大海と莉緒は、アウトドアという事で趣味も合うし趣向も合っていた。でも、僕と琴葉は、趣味は僕が合わせる事で交際が順調に進んでいたが趣向まで合わせる事は、難しかった。
趣向に関してのすれ違いで喧嘩をする事があったが、全てにおいて、僕が折れていた。
それで、交際関係が続くなら良いと思っていた。
だけど琴葉は、趣味趣向が合う大海と莉緒との関わる時間を増やして行った。
デートの約束をしていたのに、前日にキャンセルさせる事に始まって、最近では、デート当日にドタキャンされる事も増えた。
何回目かのデート当日のドタキャンされた日に、少しイラつき気味に、街を歩いていたら琴葉が、クラスメイトの男と二人で歩いているのを目撃した。
これまで、琴葉と大海・莉緒カップルと歩いていたり、大海と二人でいるなら我慢してきた。
だけど、今回ばかりは、我慢できなかった。我慢できなかったので行動に移した。
琴葉が計画してくれていたと言う僕の誕生日パーティを当日にドタキャンしたのだ。しかも、何の連絡もせずに。
僕は、何度、デート当日にドタキャンされた事か。
ドタキャンされた、当日に、別の男と一緒に行動されたものか。
ドタキャンされた者の気持ちを少しでも理解して欲しかった。
だけど、琴葉は、自分の行ってきた事を棚に上げて激怒してきた。大海や莉緒も琴葉に同調してきた。
この前、会っていた男は、僕と趣味が同じだったらしく誕生日プレゼントのアドバイスを貰うために一緒に買い物に行ったそう。
確かに、その男とは、3人以外では親しくしてくれている男の子だったが、何か大義名分があれば、彼氏以外の男と2人で会っても許されるのか。
僕は、学校の用事でクラスメイトの女子に話しただけで浮気を疑われたが。
そして、陽菜ちゃんを助けた当日に、僕は、3人と話し合いを持った。
その際に、今、思っていた事などを告げた。告げる事で関係の改修に繋がると思ったからだ。
「何なのさぁ、私は、詩季のために――」
「なに?僕のためなら約束ドタキャンして、別の男と会うのはアリなのかよ」
「もう、うるさい。出て行って」
その際、最後は、琴葉の言葉を皮切りに、大海も莉緒も琴葉の味方をしたので居ずらくなった僕は大海の部屋を後にした。
○○○
「という事が、あったんですよ」
「何それ、ひどい。先に傷付けたのはそっち側なのに、それを棚に上げて――」
陽葵さんは、僕の話を親身に聞いてくれて怒ってくれた。
僕の考え・行動がおかしかった訳では無いと分かり少しばかりほっとした。
今日は、土曜日で学校はお休み。
陽葵さんは、学校で配られた配布物とノートのコピーを持って来てくれた。
陽葵さん情報によると、最初、担任の先生は、琴葉にお願いしていたようだが、琴葉が拒否した事で、陽葵さんが名乗り出たとのこと。
「先生が、お願いしても、頑なに断ってた」
「やっぱり、そうですか」
僕は、スマホを操作して、琴葉とのメッセージアプリのトーク画面を見せた。
「(白村詩季) この前の事で、話がしたいです」
「(ことは) じゃ、今から私の家に来て」
「(白村詩季) それなんだけど、事故に遭って入院しているから〇×病院まで来てくれないかな?」
「(ことは)はぁ?!嘘つくなら、もっとマシな嘘をつきなよ。先生まで巻き込んでさぁ」
「(白村詩季)嘘じゃない! 信じて!」
「(ことは)ほんと、有り得ない。そんなんならもう別れるから」
陽葵さんが、内容を確認し終えると、スマホを机の上に置いた。
「見事に振られましたね。嘘つき呼ばわりと言うオマケ付きで」
すると、陽葵さんは、僕に抱きついてきた。
「辛かったよね。私で良ければ、話を聞いてあげるから」
「――ありがとう」
仲間が居る。
そう思わせてくれた、陽葵さんには、本当に感謝だ。
「安心して、もう吹っ切れてる」
「ほんと?」
「でないと、こんなに明るく話せないでしょ?」
「そうだね。ところでなんだけど、白村くんのお父さんとお母さんは?」
2日に1回のペースでお見舞いに来てくれる陽葵さんは、いい話し相手になってくれている。
だからこそ、不思議に思ったのだろう。
祖父母だけがお見舞いに来て、お父さんとお母さんがお見舞いに来ない事に。
「1回も来てないよ。どうせ、じぃちゃん・ばぁちゃんが居るから大丈夫だって思ってんだろうね。どうせ、来ないよ。息子がこんな状態なのにね」
すると、陽葵さんは、また抱きついてきた。
「やっぱり、大丈夫じゃないじゃん」
「ごめん」
もう、琴葉――いや、高梨さんとは、恋人でもなんでもないのだ。
陽葵さんにハグをされたとしても問題は無い。今は、しっかりと甘えておこう。
――後書き――
〇〇〇:同時系列で視点切り替え or 場面切り替え
●●●:過去への視点切り替え or 場面切り替え
と思ってください( *´艸`)
第3話は、19:30頃投稿致します!
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