「平氏」と「平家」の違いとは? 「祖先神」と「氏神」についても解説
@tataneko
第1話
「平氏(へいし)」「平家(へいけ)」と読みますが、「平清盛」は「たいらのきよもり」です。
平氏は、桓武天皇から出た「桓武平氏」が主流となります。
和訓(訓読みに漢字を当てたもの)では「多比良」と表します。
私たち日本人は言葉遊びが好きで、昔からあるのが「掛詞(かけことば)」で、現代でいえば「ダジャレ」です。また、言葉を略して短くしたり、言葉の並び順を入れ替えて隠語を作ったりします。
「大和言葉」で詠む和歌にも、「掛詞」がたくさんあり、一つの歌に複数の意味を持たせます。
漢字の音読みには、多くの同音異義語があり、「掛詞」を作るのに便利なので、日本人は受け入れやすかったのでしょう。また、音読みの方が、なんとなくカッコいいという感覚もあります。
現代でも、政治家の名前を音読みにして、ニックネームのように呼ぶことがあります。
森喜朗(もりよしろう)元首相は「モリキロウ」ともいわれます。歴史上の人物でいえば、徳川慶喜(よしのぶ)は「けいき」、伊藤博文(ひろぶみ)は「はくぶん」とも呼ばれます。
「平氏(たいらうじ)」よりも「平氏(へいし)」や「平家(へいけ)」の方が一般的なのは、あえて音読みで呼ぶという文化の影響と、圧倒的に呼びやすいからでしょう。
さて、平氏の中で伊勢を拠点とした「伊勢平氏」から出て、平氏政権を打ち立てた平清盛とその一族を特に「平家」と呼びます。
したがって、大まかにいえば、「平氏」とは、「平」を名乗る氏族すべて、「平家」とは平清盛とその一族を指すのです。
つまり、有名な「平家物語」とは、「平氏」の中の「平家」と呼ばれた一部の人たちの話なのです。すべての「平氏」の物語だと勘違いしていた人も多いのではないでしょうか?
「平家物語」に出てくる平安時代の武将、平時忠の『平家にあらずんば人にあらず』という一節も、「平氏」ではなく「平清盛」の一族を指しています。
「平氏」が桓武天皇から出たということは、その「祖先神」は天皇の祖先神とされる「天照大御神」ということになります。
一方で、「平家」は「厳島神社」の神様を信仰したことが伝わっていますが、こちらは「氏神」です。
平清盛は安芸守(あきのかみ)に任命され、現在の広島県西部にあたる安芸を治めました。そして、瀬戸内海の海上交通の安全とご加護を得たいと考えて信仰したのが「厳島神社」です。
氏族として信仰するのが「祖先神」で、土地とのつながりや、その地におけるご加護を願ったのが、現代でいう「氏神」です。少し、ややこしいですね。
「氏神」がよく分からなかったという方も、平清盛が厳島神社を信仰した歴史を見れば、あなたにとっての「氏神」もイメージできるのではないでしょうか?
現代では、あなたの住所によって「氏神」が決まっています。自宅から最も近い神社が「氏神」ではない場合もありますので、神社庁や近くの神社で確認してみてください。
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