第4話 覚醒とあるしがないおっさんの記憶(2)


それでもおっさんは家族を養うためにも、理不尽なこの仕事を続けていくしかなかった。


そして覚悟ガン決まりのおっさんは、このどうしようもない悪環境の中でも徐々に頭角を現わしていく事になる。



そのきっかけになったのは、教育係を勤めてくれた10歳上の先輩である課長補佐 頭竹 廻(32)との出会いであった。





ここでそのきっかけになった男 頭竹 廻(32)の基本スペックを見ていこう。




課長補佐 頭竹 廻(32)


バブリッシュな時代を颯爽と駆け抜けてきた敏腕営業マンで臼井商事営業2部のクローズエース。


特によく頭が回り芸術的な話術の切り替えセンスを持つ。(物理的じゃない)


離婚暦2回独身。



装備品 スーツ   :ア○マーニ

    シャツ   :ナ○バー

    ネクタイ  :ル○ヴィトン

    靴     :フェラ○○

    時計    :オ○ガ

    鞄     :マ○ジェラ

    財布    :○ンヒル

    タバコ   :コ○ーバクラブ

    ライター  :デ○ポン(チ○ン製)


    アクセサリ :ア○ランス(かなり分かりやすいが未カミングアウト案件・かなり分かりやすいが未カミングアウト案件・大事な事なので2回ry)


    必殺技   :う○こ転送(バスや電車に乗ってる時に急激な腹痛に襲われた場合、近くにいる美少女の腸内に自分のう○この転送を妄想し強く願う事で少し痛みを誤魔化すことが出来る)


    必殺最終奥義:いきなりカミングアウト(特殊な帽子を取って頭を下げる事によりどんな難しいクレームも収めることが出来るし最低でも1回持ち帰れる)(回数制限1回)




ただ、この頭竹という人物は新人潰しと言われるほど教育面でかなり・・・特にマナーに厳しい人だった。



まず彼の斜め45度後ろには絶対に立ってはいけない。


(かなり気になるらしい・・・ゴ○ゴ並みに気にする)



ズレる・外れるという言葉は超厳禁。


(例1:今日の契約「外し」ちゃいましたよ。「これではいけませんね」・例2:予定が「ズレ」ちゃいました。「これではいけませんね」)



必ず目を真剣に見て話をしないとかなり機嫌が悪くなる。


(特に目線が少しでも上に向いた場合は機嫌が悪くなる速度が加速する)



雨の日は率先して傘も差さずに外での作業をしようとする。


(不毛な地毛アピール・・・毛だけに)



笑ってはいけない社用車が不定期に開催される。


(彼の後に運転するとルームミラーが不自然に頭頂部のみ全重視で映されてる等)



ボーナス後に新しい帽子(かなり分かりやすいが未カミングアウト案件)を装備していると扱いにすごく困る。


(褒めてほしそうな犬みたいな目で見てくることがある・・・・・本当にどうすりゃいいの!?)

.


休日出勤した時に会うと帽子に帽子を被せている。


(はじめて見た時には運悪く牛乳を飲んでるとこだったので思わず鼻牛乳してしまった・・・あれは反則)




ダークネスな環境にありながらも上司への過剰な忖度を強いられる日々、おっさんの心はすでにボロボロだった。







そして入社から5年が経ち、おっさんの役職は主任に、頭竹の役職は課長にと順調に出世を果たしていた。


この頃になるとダークネスすぎておっさんの同期は一人も残ってなかったので、課長の頭竹と営業コンビを組まされる事が多くなっていた。



そしておっさんは頭竹と組む事によって急激な成長を果たすことになる。


ここで営業先でのおっさんの一般的なやり取りの様子を見てみよう。




「はじめまして。臼井の頭竹 廻です。」



「部下の桂廻です。」



「・・・・w・・・・」(目線↑)




この自己紹介だけでつかみはばっちり。


契約成功率は脅威の9割越え。



気がつけばおっさんは社内において自己紹介の魔術師と呼ばれるほどのクローズエースに成長していた。


思えばこのおっさんの全盛期はこの頃だった様に思う。







さらに12年が経過した時、リー○ンショックという世界的不景気が襲ってきた。


おっさん39歳の時、不惑の40代一歩手前の事であった。



個人の成績のみでは覆せない世界的不景気、


臼井商事も決して例外ではなく事業縮小も視野に入れた延命を考えないといけない事態に陥っていた。


ちなみに役職的にはおっさんが課長、頭竹が部長に昇格している。



頭竹が3位派閥のトップ、おっさんが派閥第一席という立ち位置であった。


おっさんとしては養ってる家族の為にも、今まで滅私で尽くしてきた会社存続の為にも、ここで起死回生の一手がどうしても必要になっていた。







そしてリー○ンショックから1年後、事業縮小に舵を取った臼井商事に唐突にチャンスは訪れる事になる。


世界的大手一流企業の長期契約のコンペティションへの参加権が臼井商事に舞い込んできたのであった。



臼井商事の下馬評は体感で5社中3位。


プレゼン内容としては競合他社との差別化が図りにくく、当時の臼井商事首脳陣は頭を悩ませることになる。



悩みに悩んだ末に会社の顔である光の1部よりも、


日々数々の困難な営業に立ち向かっている闇の2部の起用を決定することになる。


そして運命の歯車は神(髪)隠(しんいん)の 頭竹と自己紹介の魔術師 桂廻の二人を表舞台に立たせようと廻り始めるのだった。






ところで頭竹は神隠(しんいん)と呼ばれてることに気がついてはいるが意味は理解してなかった。





「桂廻君。最近私にしんいんっていう二つ名がついてるみたいなんだけど、どういう意味かわかる?」



「しんいんですか。。。しんと言うのは真っていう字ですかね。いんって言うのは隠れるという字でしょうか。。。


真に隠れる・・・裏番的な意味合いで困った時に裏から助けてくれる頼れる人っていう意味合いじゃないでしょうか。」(犯人)





「やはり君もそう思うかね。皆にこれだけ慕われたら困ってしまうよ。」



「いや、部長の人徳の成せる業ですね。流石です。」(主犯格)




こんな感じで全く気がついていなかった。






そして迎えたコンペティション当日。


向かい風を全面で受けながら頭竹(若干心配・・・物理的に)とおっさんはコンペ会場入りを果たす。


絶対に負けられない戦いがそこで繰り広げられようとしていた。(CV:川○慈英)



「はじめまして。臼井の頭竹 廻です。」



「部下の桂廻です。」



「・・・・・まわすなwwww」(目線↑)




(つかみはばっちり。。。ただこのプレゼンは社運を左右する重大案件。。。ここはもう1手つかみを踏み込んでおくべきか。。。)




そしてこの行動が後におっさんの人生を転落に導いていくとはこの時のおっさんには知る由もなかった。




「社長・・・ちなみに私の座右の銘は『実る程、頭『が』(わざと間違える)『ズ』(鼻をすする音)れる稲穂かな』です。」



「!?!?!?!?」



「wwwwwwww」(目線↑)




多大なインパクトを与えた結果もともと企画案自体そこまで優劣がなかったコンペティションは大成功。


営業2部は無事長期契約を勝ち取ることに成功した。


そして臼井商事の業績は営業2部を中心にV字回復していくのであった。



臼井商事首脳陣は契約を勝ち取った営業2部を再評価するに至る。




さらに5年後、世界的大手一流企業の長期契約を契機に臼井商事は新規事業を拡大。


世間的なコンプライアンス整備の波もあり闇の2部は事業企画部に名を変え、昔のダークネスな様相は序々に薄れていた。


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