第3話 覚醒とあるしがないおっさんの記憶(1)




意識が徐々に覚醒してくる・・・・



「いててて・・・ここは・・・医務室か・・・中隊長ほんとに容赦なく厳しすぎでしょ。。。」



まだ痛む頭をおさえて起き上がってみる。


周りを見回すと今は医務室には誰もいないようだ。



・・・・・誰にも心配されてないみたいでレックスちょっと寂しい・・・・・



どうやら装備は誰かが脱がせてくれたみたいだ。


ふと見ると破損した兜も置いてある。







「それにしても兜割りって・・・中隊長の剣は同田貫かな?碁盤斬りは示現流だっけか?・・・・ん?」



ドウタヌキ?そんな種類の狸なんていたっけ?


そんなこと考えてると急にひどい頭痛が襲ってきた!



「あだだだだだ!!!んだーおっっっ!!」



言葉が言葉にならない!!


その頭痛の中で俺はある中年男の記憶を追体験していた。






思い出した男の名は、桂回 勇三朗。


ここではないニホンという国のしがないおっさんの寂しい一生の記憶だ。



生を受けたのはこのニホンという国におけるごく普通の家庭環境。


サラリーマンという種族の父親とパート勤めという種族の母親と少し年の離れた兄が2人。


これがおっさんの家族だった。






おっさんの幼いころのあだ名はゆうちゃんだった。


ただ同年代にゆうちゃんが3人もいたから、小学校という学校に入るころには「ゆうざぶ」っていうおかしなあだ名に変わってた。



そして心の乏しい奴らがつけたあだ名がアデ○ンスの中野さん(或いは「ハゲザンス」もちろん歌付き)。


どうやら苗字のカツラマワシのカツラがあだ名の原因らしい。


そう言われる度に大喧嘩した幼少期の記憶。



あまりに喧嘩ばかりするから、親から言われて精神修行の為に色んな武道を習うことになった。



空手・柔道・剣道・・・



親としてはどれか一つっていう思いだったのだが、結局全部やってみることになった。


生まれて初めての習い事におっさんは夢中になった。






それから中学校という学校に変わるころには喧嘩もしなくなっていた。


武道を3つもやってたおっさんには学校の不良という部族(多分ゴブリンの亜種)も絡んでこなかったからだ。



毎日ごく普通に学業をこなし、学校が終われば道場に通う日々。




・・・・サイン・コサイン・タンジェント・・・何それ美味しいの?


・・・・N・P・As・Sb・Bi・・・日か○ポルノ朝からサービス・・・うそつけ!!!




そしておっさんはこの頃に初恋と失恋を経験した。



といってもその初恋の相手は大学生になった一番上の兄が家に連れてきた女友達だったので当然なのだが。



ちなみにこの時の女性はその後一番上の兄と結婚した。


それまでどノーマルだったおっさんの性癖に兄嫁属性が生えてしまった原因である。



そうしておっさんの中学校時代は過ぎていく。







高校という学校に何とか合格し、入学から落ち着いてきた頃。


その時には武道を3つもやってたおっさんは3つの部活を掛け持ちするようになってた。


どの部活にも即戦力として期待され、断りきれなかった結果であった。



おっさんが人生で始めて挫折を覚えたのはこの頃だ。


というのも各武道の地方大会は何とかパスできるのだが、全国大会ではまったく勝ち進めなかった。



原因は圧倒的な練習不足。


無駄に3つもやってるから器用貧乏になってしまった結果であった。


普通に皆は1本に絞ってるから当然といえば当然である。



その後おっさんは受験勉強という生き地獄を経験して、Fランっていう種類の大学に行く事になる。


ショウガクキンっていう制度でお金まで借りてからの進学だった。





・・・・・っていうかこのおっさん才能ないのにこんなにたくさん勉強して何になりたいんだろう?





大学に入った後はアルバイトをしながら学業に専念した。



大学1年の夏に海に行った時に後に結婚することになる限界OLの朽草 薫さん(30)と知り合うことになる。


このときめでたく?童貞卒業。



野獣のように豹変した彼女にドン引きしながらの初めての行為。


結局コンドームは最後までつけさせてもらえなかった。



初体験は何故か腐ったバニラの味がした。



後で知った話だが彼女は安芸の座敷女と異名をとる有名人だったらしい。






そして付き合うことになったのだが、3ヵ月後彼女からの衝撃の告白。



「できちゃったみたい・・・」



今考えると彼女の計画性に脱帽するしかないが、彼女の目が怖すぎて堕ろしてほしいとはとても言えなかった。


そして大学2年になってから彼女が出産。


女の子だったので舞子と名づけた。



ちなみに1発で出来た事から周囲からのあだ名がスナイパーになった。。。もしくはゴ○ゴ。。。







学業をしながら養育費を稼ぐために睡眠時間を極限まで削ってのアルバイト。


さらに大学3年になるとそれに加えて地獄の就職活動が始まった。



就職氷河期といわれた暗黒時代、実に68回の圧迫面接を経て中規模企業の臼井商事営業2部になんとか内定。


養育費に加えてショウガクキンを返す為にインセンティブ重視の給与形態に魅力を感じての選択であった。



さらに卒業と同時に結婚。


それから妻の突然の専業主婦宣言。



そしてこの臼井商事に入った事が、おっさんの今後の人生の歯車を大いに狂わせることになる。





臼井商事営業2部、コンプライアンスもまともにない時代の飛び込み営業を主体とするこの部署は、ブラックを通り越してもはやダークネスといった様相だった。


休日出勤あたりまえ、パワハラとモラハラは標準装備、オプションでアルハラももれなくついてくる。



ここで新社会人になったおっさんの標準的な1日の流れを振り返ってみよう。




(5時)起床


(6時)早朝出社してからの残務処理(もちろん給料換算はされない)


(9時)タイムカード押印(暗黒)と朝一会議という名の嵐のようなパワハラとモラハラと吊るし上げ(体育会系風味マシマシ)


(10時)から(12時)アポイント業務(精神力を大根おろしにかける感じ)


(12時)から(17時)飛び込み営業部隊はアポ無しでもとにかく出動(昼食は移動時に済ませるし、実はここが1番の休憩ポイント)


(18時)タイムカード(強制)押印(ダークネス)


(19時)善意(強調)の反省会にモラハラを添えて


(20時)アルハラ分岐ない場合は新規プレゼン作成と事務処理(ぶっちゃけ業務時間内にやるべきタスク)


(23時)退社(タイムカードとは・・・)


(24時)帰宅(夕食と鬼嫁の射精管理)


(1時)就寝




ちなみに営業1部の方は学歴強者が集っている為に定時帰宅がデフォルトで、対外的にはこちらが会社の顔になる。



業務内容も新規顧客獲得の2部よりもかなり緩い感じで、基本的に既存顧客への提案と契約延長業務が主体の部署。


その為に社内では光の1部、闇の2部と呼ばれていた。





突然ですがおっさんがここで得た真理をもれなくQ&A方式でまとめてみました。



Q:24時間戦えますか?


A:無理です。。。4時間くらいは寝かせてください。本当に勘弁してください。。。



・・・・・こんなの死ぬしかないじゃない!!!



ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○

腐ったバニラ元ネタ・・・・・JAPAN WORLD CUP ソニア・ゾラ勝利集で検索してみましょうw

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