Chapter 2 : 運命的な出会い?

私がどうしてここに来たんだろう? ここでの私の役割は一体何なの? ただ単にヒロインの一人ということかな?


数十回もクリアしたゲームで、このゲームに存在するすべてのヒロインの攻略方法を知っているが、今の私のようなヒロインは一度も見たことがない。


「私も知らない隠れたヒロインがいたということか? そんなはずが… 業績達成率100%だったのに。」


本当に私の推測が正しいとすれば、私は実際のゲームで具現化されていないヒロインだという結論しか下せない。


そして悩みがさらに深まる。 私の役割は一体何なのか?


私がそのように悩んでいると、誰かが声をかけてきた。


「あの…」


私がびっくりして後ろを振り向くと、誰かが視線を避けたままぐずぐずしている。


私はしかめっ面をする。 先に声をかけておいてあんなに恥ずかしがる理由は何だろう? いや、先に声をかけたから恥ずかしがるのが正しいのか? 私もさっきあのメイドに声をかける時、ぐずぐずしていたじゃないか。 警戒せざるを得ない。 ゲームの中の世界に入ってきたことにただ感激していて、とても緊張をほぐしていたようだ。


私はこらえきれずに首をかしげて聞き返す。


「どうしたんですか?」


「ずっと探し回りました。」


私は平気なふりをしているが、不安に襲われて胸がどきどきする。 私の正体に気づいたのか? そんなはずがないじゃないか? 疑われるようなことは特にした覚えはないが… 私がきょろきょろと周りを歩き回ったのがそんなに怪しく見えたのか?


それとも…


私がその男をもう少し詳しく見てみよう。どこか見慣れた感じがする。


確かに初対面の人なのに、どうして見慣れた感じがするんだろう。 どこかで見た気がするんだけど…


しばらくじっくり考えてみると、主人公のキャラクターを作る時、カスタマイズ画面が思い浮かぶ。 そう、そこで見たよ。 目、顔の形、髪型、服、全部。 何を選んで組み合わせを完成させたのか、大体分かりそうだ。 1番目の目、3番の鼻、2番の髪かな? そして… また…


「これがプレーヤーということか? 主人公?」


「はい?今、何とおっしゃいましたか?」


「何も言ってません!」


私は慌てて、ただにっこり笑いながら答える。


その男は何か疑わしそうに首をかしげる。


「そうなんですか?」


私は変なことに気づき、早く話題を変えようとしている。


「ところで、なぜ私を呼んだのですか? 目的は何ですか?」


頭の上に浮かんでいるクエストマークを見ると、主人公が合っているようだ。 もしかしたら、私がずっと自分にしていた質問に対する答えを提示してくれる人かもしれないという気がする。 私がヒロインであるかどうか確信が持てなくて少し迷うが、この男が何を望んでいるのか大まかに分かるような気がする。


「誰かを訪ねて行かなければならないんです。 ただ、道がよく分からなくて…」


あるヒロインと重要なイベントができる過程で、私が存在するんだ。 二人をつなぐ橋の役割をしてくれるのかな?


このゲームの本質を考えてみれば、主人公という人の目的はただ一つだろう。 ゲームをクリアして、あるヒロインと恋人の関係になること。 それなら、私の役割はそれを助けること?それとも妨害すること?


私も直接プレイしたゲームで、私のようなヒロインがいないということくらいはすでに知っていたが、大きく期待したのでやはり失望感も大きい。 無性に悔しい気持ちになって我慢できない。


このゲームの中心には私がいなければならない。


どうやってこの気持ちを解決すればいいのか悩んだ末、目の前にいるこの男に意地悪をしてみたいという気がする。


クエストマークをじっと見つめると、ゲーム進行のどの地点に来ているのか大体分かる。


それなら、どうすればヒロインとのつながりを妨げることができるかも分かる。


単なる腹いせに過ぎないが、このように果敢に行動することで気分がはるかに良くなりそうだ。


この男には少し申し訳ないけど、ただ運が悪かったと思うしかない。 今この瞬間に私に会ったのが誤った運命だと受け止めなければならない。


せっかく美少女になったのに、単にゲームの進行を助ける役割に過ぎないというのは話にならない。


私は攻略不可のヒロインだが、単に攻略されないだけでは満足できない。 それで本当のヒロインが攻略されないように、私がその罠になる役割を自任するのだ。 主人公がヒロインと重要な分岐に迎える時は、私にとっても重要な分岐になるわけだ。 私を選ばせて、そして容赦なく捨てるんだよ。 目標は単に主人公を誘惑するのではなく、徹底的に主要ヒロインとの結びつきを防ぐことだ。


固く決心してから、本格的に行動に移す。


森の中に木の実を取りに行ったヒロインが魔物に襲われ、この男がその魔物を退けながら二人の間に接点ができる展開。 今私がしなければならないのは、この男がヒロインを危険から救えないようにすること。 そうだよ。まさにそれだよ。


私はこっそりと笑い、森に向かって指をさす。


「全くの偶然ですね。 私も実はその方に会いに行くところだったんですよ。」


「そうなんですか?」


「それでは、私たち一緒に行くのはどうですか?」


「どんな理由で会いに行くんですか?」


私は突然の質問に当惑し、すぐに彼の視線を避けて言い訳に悩む。 どう反応すればいいんだろう? 変な返事をしたらきっと疑われるだろう。 ヒロインが実は山に行ったのに、私が今ここから海に行くと言ってしまうわけにはいかない。 この状況でゲームの内容を思い出す。 明らかに…


「森の中に木の実を取りに行ったのですが、かなり長い間出てこなかったんです。 この森は凶暴な魔物がたくさん生息しているので、どうしても心配です。」


「そうです。私も心配です。 もしかしたら魔物に攻撃されたのではないかと。」


「森の道はよくご存知ですか? 森の中はかなり広くて複雑で、道に迷いやすいんですよ。」


「そうなんですか?」


「私が道をよく知っているので、迷惑にならなければ案内します。 私についてきてください。」


「本当ですか? ありがとうございました! 迷う心配がなくて助かります。」


私が先に手招きしながら足を運ぶと、彼もやはり何も言わずに私の後にぴったりついてくる。


淡々としたふりをしながらしばらく歩き、彼をちらりと見ると、彼も平然とした表情をしている。 それほど演技が上手というわけではなさそうだが、幸いにも特に疑ってはいないようだ。 順調だ。 だまされてくれることを感謝しなければならないのか?


じっと森の道を歩くだけで退屈だからか、頭の中に色々な質問が浮かぶが、実際には余計な疑いを呼びそうで、頑張って我慢しようとする。


私たちが森の中に入ってからある程度経った頃、分かれ道に差し掛かる。 彼も立ち止まり、右と左を交互に見ているだけだ。 やっぱり私の決定を待っているんだよね。




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