詩集①『黒くて丸いもの』

@mayonakataiyou

第1話詩集①『黒くて丸いもの』

「神様と悪魔はゲームを楽しんでいるんじゃないのかな」


 と僕が呟く。


「神と悪魔はお前の人生というゲームを楽しんでいるのさ」


 と奴が呟く。


「じゃ、神様が白で、僕の幸せの数だね」


 と僕が言う。


「じゃ、悪魔が黒で、お前の不幸の数さ」


 と奴が言う。


「神様の次の一手で、僕の人生が逆転ホームラン、てこともありえるよね」


 と僕が微笑む。


「悪魔の次の一手で、ゲームオーバーがオチだろうよ」


 と奴が微笑む。


「神様が、“なかなかやりますなぁ”と頭をかいていたりして」


 と僕が爆笑する。


「悪魔が、“いやいや、そっちこそ”と頭をかいていたりして」


 と奴が爆笑する。


 どこからともなく聞こえてきた テレビの笑い声さえ、僕たち2人はたじろぎ、視線を落とす。


「 冗談にしては、少々きつすぎだね」


 と僕が苦笑する。


「冗談ならいいけどな」


 と奴が苦笑する。


 ふと気づくと、この狭い部屋には黒くて丸いものがあまりにも多すぎるような気がした。


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