第2話:咲耶と荷々木野 誠との出会い。

さて、ここで四大神霊について少し、触れておこうかな。


神霊って言うくらいだから太古の昔から存在してるわけで、言ってみれば、

神霊は霊って言うくらいだから形のない魂みたいなもの。

神通力で擬似的に人間の姿に実体化しているだけ。


だから出で立ちも、その時代に即した格好をしてるわけで、平安時代には

平安時代の容姿、江戸時代、明治時代、それぞれの時代にあった格好をしている。


だから今、咲耶さくやと一緒にいる神霊は当然、今の時代の格好をしてるわけ。


だから神霊なんて言っても、そのへんのいる普通のお兄ちゃんと変わらない。

で、四人とも超イケメン・・・イケメンになってるだけなんだけど、まあ、それでもイケメンであることには違いない。


花屋の春さん夫婦は咲耶と神霊君たちが一緒にいるところを何度も目撃している。


入れ替わり立ち代り、四人のイケメンが現れるもんだから花屋の春さん夫婦は

咲耶ちゃんにはイケメン君の彼氏が四人もいると思っている。

まさかのこの世に神霊がいるなんて知りもしないで・・・。


ただ神霊は基本的に召喚することによって現れるのが常なんだが、この四人は

呼び出してもいないのに勝手に現れるから始末が悪い。


まあ、それでも水は花に栄養を・・・火は台所やガスの給湯器で、風は花に新鮮な

風を、土は花に栄養のある土を・・・それぞれ役目を果たしてくれていた。


それがうまい具合に花屋と言う場所で活かされていて咲耶と神霊はトラブルもなく

仲良くやっていた。


そしてある日。

咲耶が花に水やりをしている時のこと、ひとりのお客さんが花屋(アンジュ

フロール)にやってきた。


「あの・・・すきません」


背後でいきなり男性の声がしたので咲耶が振り向くとそこに、ひとりの青年が

立っていた。


「あ、はい、いらっしゃいませ」


その青年は、ひょろっと細くて背が高めで、黒のバケットハットを被っていて、

ポロシャツに真新しいジーンズを履いていて、肩から洒落たショルダーバッグを

提げていた。


まるで浅見光彦?って思うような、見るからに好印象な青年だった。

しかも四大神霊にも負けないくらいのイケメン男子だし。


注:この小説には美人とイケメンしか出てきません。


「あの〜、プレゼントに花を贈りたいんですけど?」


「どなたかのお誕生日ですか?」


あ〜いや、そうじゃなくてお世話になってる方が今度、絵の個展を開くので、

そのお祝いにと思って・・ 」


「ああそうなんですね・・・じゃ〜花籠なんてどうでしょう?」


咲耶が青年に選んだ花は白い胡蝶蘭の花籠だった。


「胡蝶蘭です」


「ああ、いいですね・・・綺麗だ・・・」

「で?・・・それおいくらですか?」


「15万円です」


「え?・・・・じゅうご?まん?」

「そんなにするんですか?」


「10本立ちですから」

「あ〜そうなんですね・・・」


「個展会場なら、映えると思いますよ・・・」


「はあ・・でも予算が・・・あの〜もう少し、安い花は・・・」


「いかほどなら、よろしんですか?」


「高くても2万から3万円程度なら・・・」


「じゃ〜こちらの胡蝶蘭なら・・・これなら3本立ちで2万5,000円です」


「あ〜じゃ、それにします」


「承知しました・・・少々お待ちくださいね」

「お祝いの立て札に送り主様のお名前を記入しますから、さしつかえなければ

お客様のお名前、教えていただけますか?」


「え?、ああ名前?・・・え〜と僕、荷々木野 誠ににぎの まこと・・・です」


「ににぎの様?・・・すいません、間違えるといけないのでメモにお名前を

漢字で書いていただけます?」


「あの〜僕、このお店の前、よく通るんですけど・・・」

「君、最近入って来ましたよね・・・一ヶ月前くらい前にはいなかったと思った

けど・・・」


「はい私がこの花屋さんで働くようになったのは最近のことです」


「そうなんだ・・・」


「美人さんだから、一度見たら記憶に残ってて・・・」

「あ、ごめんなさい、余計なことでした」


メモにはあまり美しいとは言えない、彼の体と同じでひょろっとした文字で

荷々木野 誠ににぎの まこと」と書かれてあった。


それが咲耶と誠のはじめての出会いだった。


つづく。


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