旅ウサギクウちゃん、東海道をゆく その1
クウちゃんは、よく「あくび」をします。
背中をそらせて、前足を、一歩、二歩と歩ませては、体を長~く伸ばします。
そこからの大あくび。くかーと一発。
伸ばし過ぎたから、後ろ脚を急いで前に、ぴょこん、と戻します。
「そこまでのびなくていいよ、クウ」
はい、今日も元気に大あくび。
さて、お兄ちゃんは、とってもまじめで、病気になる前に、卒業に必要な単位を取り終わっていました。散々休みましたが、無事卒業です。就職活動は、ドクターストップ。
卒業後、アルバイトで働いた会社に、そのまま正社員として採用され、今では元気に暮らしています。
またまた、お父さんと、お母さんと、クウちゃんは、三人暮らしに戻りました。
丁度そのころ、勤続30年のリフレッシュ休暇がやってきたのです。
これは、旅に出よう!クウちゃんを連れて、長期のドライブ旅行だ!
ペットオッケーのキャンプ場、ホテルは結構あります。
でも、かなしいことにクウちゃんはウサギさん。わんこやにゃんこほど賢くはありません。だから、そのまま放し飼いはちょっと無理。
それでも、ゲージに入れっぱなしは可愛そう。シュタッと走りたいときもあるでしょうから。
そこで、お母さんは考えました。折りたたみゲージも案外重い。牧草が飛び散るし、おしっこを飛ばしちゃうかもしれないし、広くて、全面囲われていないと、クウちゃんは、ご迷惑をおかけしてしまうかもしれない。
そこで思いついたのが、クウちゃんテントの製作です。
ホームセンターに、ワンタッチテントなるものが売っていました。ひねると丸くたたまれ、袋のケースに入れるとペタンコになって、軽くて持ち運びにも最高なしろもの。
窓があり、内側にはメッシュの網戸まで付いています。入り口の開口は大きく、ここにもメッシュがついています。かなり優秀なのですが、底が閉じられません。
「ここから、クウちゃんが外に出ちゃうよなあ」
底を閉じちゃうと出入りが難しいし、どうしたものか。
このワンタッチテントには、屋外で使う時、ペグで固定できるようにロープを通すループが付いています。
お母さんは、テントの底部分のシート端に、ロープを取り付けました。このロープをループに通すのです。するとあら不思議、入り口に50㎝ほどの立ち上がりが完成。これで、クウちゃんが底から出る心配はありません。
中には、クウちゃんお気に入りの敷物を敷いてやります。大好きなチューブもセッティング。さて、クウちゃんは気に入ってくれるでしょうか?
テントに出してやると、クウちゃんは警戒感マックス。クンクンクンクンしながら、辺りを探検しています。
それでも、お気に入りの敷物と大好きなチューブですから、すぐに慣れ、定位置に座っています。
「これはいける」
クウちゃんに負担がないように、少しづつ進んで、一箇所に3泊ほどして進みます。
弥次喜多道中、開始は伊勢神宮から始まりました。
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