第3話 才能無しは最弱


翌日、イースはいつもと変わらずにマリンと遊んでいた。


すると、そこにアックとファマ、 ウズの3人が歩いてきた。


アック「マリン!能無しと遊ぶな!俺達は選ばれたんだぞ!」


ファマとウズはアックの後ろに立っていた。


ファマ「イース!マリンとアックは選ばれたんだ。お前はマリンと遊ぶな!」


ウズ「そうだぞ!」


マリン「マリンが誰と遊んだって良いじゃん!」


アックはマリンに近づくと、右手でマリンの左手を掴むと引っ張ってイースから離す。


マリンは拳王の才能があっても、まだ力がない子供のため、アックの手を振り払えなかった。


イース「マリンを離せよ!アック!ひどいよ!」


イースがアックに叫ぶ。


アック「うるせぇ!能無し!お前らやっちまえ!」


すると、ファマとウズがイースに飛びかかり、二人がかりでイースを殴り付けてボコボコにする。


イース「やめてよ!痛いよ!何でこんな事するの!?」


イースは泣きながら叫んだ。


アック「才能無しなんて、将来何にもなれないんだってさ!世界一弱いんだって父さんと母さんが言ってたぞ!お前はマリンといちゃダメなんだよ!」


マリン「手が痛いから離してよ!」


マリンも泣きながら叫ぶ。


アック「マリンも能無しと遊んじゃダメだ!もし、遊んだら能無しをもっと殴ってやるからな!」


マリン「やめてよ!」


ファマとウズはイースが泣いても、殴るのをやめなかった。


アック「ファマとウズは俺の家来になったんだ。俺が大人なったら、偉くしてやるんだよ!能無しは何やってもダメだから、家来にもしないぞ!マリンもイースを殴るのやめて欲しければ、もう遊ばないって誓え!」


マリン「やだよ!何でひどいことするの?」


アック「じゃ、ファマ、ウズ、もっとやれ!」


イース「痛いよ。やめてよ。」


アック「ハッハッハッハー!どうするマリン?能無しが泣いてるぞ?やめてほしけりゃ遊ばないって誓え!」


マリン「分かった。分かったからイースをいじめないで!」


アック「分かれば良いだよ!マリン。能無しに言う事あるだろ?」


マリン「・・・イース。もう遊ばない。」


アック「ファマ、ウズやめろ。」


ファマとウズはイースを殴るのをやめたが、イースは痛さから泣いていた。


アック「能無し!二度とマリンに近づくなよ!行くぞ!マリンも来い!」


マリン「・・・イース。ごめんなさい。」


泣いているイースを残し、四人は離れていった。


イースは殴られた痛さと、自分だけ取り残された寂しさを感じて泣き続けた。


その日以降、イースとマリンは遊ばなくなった。


なぜなら遊んでるのを見られると、イースがいじめられるからマリンはイースに話しかける事もできなくなった。


イースの両親は、イースがいじめられた事を知ったが、何もしてやれなかった。


それはイースに才能が無く、アックには王立クローバー学園に入学できる程の才能があったからだ。


クローバー王国では、才能がある者が才能が下の者を使うのは当たり前で、国とすればアックが言ってる事が正しいと判断するため、アックの両親に言いつけたとしても、国から睨まれるのはイースなのだ。


そんな状況からイースの両親は、イースを守るためにも何も言えなかった。


イースはその出来事以降、1人で過ごすようになった。


そして、才能無しの自分は世界一弱い事を知ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る