第13話 待望の男児誕生~我が家の暴れん坊大将~
昭和49年、ついに私、飯藤芳三の家にも待望の男児が誕生。
妻の幸枝が産んだその子は、大輔と名付けられた。
我が家に新たな生命が誕生し、家族の絆がさらに強くなったのだ。
大輔は生まれた瞬間からその体力と気力の強さを見せつけ、まさに私の血を引く者だと確信した。
大輔は幼児期から他の子供を圧倒する存在であった。
彼は私譲りの体力と強さ、そして幸枝譲りの活発さと決断力を兼ね備えていたのだ。
保育園や幼稚園でも彼の存在感は圧倒的で、他の子供たちを泣かせることなど日常茶飯事だった。
彼は他の子供を押し倒し、時には相手が流血するような喧嘩を繰り広げるなど、元気者だったのだ。
だが、どの時代になってもバカ親というものはいた。
その流血したガキの親が「うちの子に何をするんですか!」と声を荒げて我が家に怒鳴り込んできたのだ。
こういう輩には一歩も引いてはならないのが我が飯藤家の家訓である。
私は毅然として「子供はのびのび育てるのが一番だ。喧嘩を通して強くなる。」と正論を主張。
その言葉に幸枝も賛同し、「いじめられる子も世の中には必要だがや。おみゃーさまんとこの子はいじめられる役なんだわ」と堂々と意見を述べた。
これだけ正しいことを言っているにも関わらずまだ騒ぎ続けるバカ親二人を我ら夫妻は腕ずくでたたき出してやった。
自分の子供を守るのは親の役目だからな
幸枝も「あの子は元気で活発だから、他の子供たちよりも一歩先を行っているのよ」と自慢げに言い、近所の母親たちの間で話題になるたびに、その強さを誇っていた。
私たち夫妻は、息子の行動が周囲に迷惑をかける問題児だという誹謗中傷など一切気にかけない。
子供たちが自分の強さを他の子で試すのは、成長する上で必要な過程であると信じていたからだ。
大輔の行動は全て彼自身の成長の一環であり、彼は迷惑をかけているのではなくリーダーシップを発揮しているのである。
昭和51年には、長女の栄枝も誕生した。
栄枝はまだ幼いが、その瞳には早くも幸枝の強さと私の賢さが宿っているように見える。
大輔と栄枝、この二人がどのように成長していくのか、私は楽しみでならない。
大輔はその後も幼稚園や小学校で他の子供たちを圧倒する存在であり続け、彼の積極的で活発な性格はますます際立つようになる。
あまりの元気ぶりに肝っ玉の小さい教師たちから「大輔くんが他の子供たちを怖がらせています」と何度も言われたが、そんないわれなき苦情など知ったことか。
だいたい学校といいうものは子供たちが社会を学ぶ場である。
強い者が勝つのが自然の摂理という社会の常識を他の子供にウチの大輔は貴様ら軟弱な教師にかわって教えてやっているのだ。
私がそうであったように。
私は「自分の道を突き進むことが大事だ」と、大輔には常に言い聞かせていた。
あの時代、私たち夫妻は自分たちの子供がいかに強く、そして独自の道を歩んでいくかを見守りながら、その成長を楽しんでいた。
こうして、昭和49年から始まった我が家の新たな物語は、さらなる波乱と笑いに満ちた日々を迎えることとなった。
私、飯藤芳三と妻の幸枝、そして大輔と栄枝の四人家族は、これからもその独特の絆を持ち続け、強く生き抜いていくのである。
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