第8話 雨上がりの後、伝えるキモチ
雨が上がった。路地裏の奥、人気の無い所で両膝を抱えて1人の少女が蹲っていた。
顔を上げるといつの間にか日が昇っていて、太陽の光が射し込んで来る。
昨夜負った傷は法術で治したが心の傷は治せないまま。すると左手に嵌めている指輪が話し掛けて来た。
[……サツキ、気が付いたか。]
「うん……。」
屍使いが去った後、辛うじて残った体力で彼女は此処へ来た。土砂降りの雨の中に1人座り込んでずっとこうしていたのだ。
[学舎には行かぬのか?鍛錬はどうする。]
「…行きたくない……。」
冴月は、ふるふると頭を横へ振って断る。
視線を前へ向けると通りを人が行き交っていた。
彼等は何も知らない…化け物が、死徒がこの街の人間を喰らったりしている事なんて知る由もない。
「ステュクス…ずっと胸が苦しい……。」
[…?体調でも悪いのか?]
「そうじゃない…でも…何故か解らない……。」
自分の胸の中にあるこの感情は何なのか。
吐き出したいけど吐き出せないこの感情は何なのか…それが解らない。彼女は立ち上がると1人でフラフラと歩き出し、人の居る通りへ出ると力無く歩いて行く。
何処へ向かう?
解らない。
何をする?
知らない。
今、冴月の中に有るのはやり場の無い感情と何故か沸き立つ怒り…それは誰に対する物なのか。
悩む事なんて無かった…悩む必要なんて無かった。
でも、何かがそうさせてしまった。
あの日…彼と出会って言葉を交わした日から。
道なりに歩いていると誰かとぶつかって倒れてしまい、冴月は尻餅を付いてしまった。キッと強く睨み付けると目の前の相手を強く見据える。
「え、えーっと…ッ、ごめんなさい…大丈夫ですか…って、貴女…確かお兄ちゃんの……。」
「ッ…お前……誰?」
冴月が視線を向けるとそこに居たのは橙色の髪をした歳下の女の子。そして差し出された手を冴月は不思議そうに見つめていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
同じ頃、学校では日本史の授業の最中。
周囲に居る誰もが前を向いて黒板の字をノートへ書き写しながら教師の話を聞いていた。
今日のクラスは至って静かで皆真面目に授業をしている。普段なら
『そこから何行目の項目が違う』
だの
『正しい史実と全然違う。何だったら書いてある事とズレてる。』
とか冴月に色々と突っ込まれるがそんな事もない。それが何処か物足りなく感じている自分の姿があった。
(冴月……。)
シャーペンを持つ手を止め、彼女の机を見つめる。
隙間から見える引き出しの中には教科書も筆記具も入ったまま。必要が有れば取り出して捲る位の認識でしかないし、ノートすらまともに取っている所を見た事がない。
(いや、僕には関係ない…。例え死徒や化け物達が現れても冴月が全て倒してくれる……だから何も心配しなくていい。)
何気ない日常はゆっくりと少しずつ過ぎて行った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「こんな格好で歩いてたらダメですよ?変な人に声掛けられたらどうするんです?」
「そッ…その時は何とかする。」
「例えば?」
「……斬る。」
「えぇッ!?絶対ダメですよ!?」
その頃、冴月はショッピングモールにある服屋に居た。葉山朱音と名乗った少女と共に破れた服の代わりに色々と見繕って貰っていたのだ。試着室の中で女子2人が色々とあーでもない、こーでもないと話をしている。
「髪は後ろで縛って…服はコレとコレで……。」
「ねぇ、服に意味なんて有るの?」
冴月が不意に朱音へ尋ねると彼女は振り返る。
「有りますよ?例えば…出掛ける時とか、好きな人とデートする時とか……他にも色々。」
「好きな…人?」
「冴月さんは居ないんですか?好きな人。」
朱音が彼女の背後へ回ると長い黒髪を手で梳かしながら左手に付けていたヘアゴムで彼女の髪を結う。
冴月は「解らない」と一言呟いた。
「それより朱音は…学校行かないの?」
「今日はテストで午前で終わりだから平気です。取り敢えずこんな感じでどうですか?」
鏡を見ると黒色の半袖シャツと下は白のスカート。
髪はポニーテールに結ばれている。普段の自分とは異なる姿がそこには有り、彼女は少し戸惑っていた。
「うん、完璧♪似合ってますよ!」
「……でも私、お金あまり持ってない。」
「大丈夫、足りない分は私が出しますから!それに服がないと困まりますよ?さっき着てたのはこの中に入れておいて下さいね?」
手渡されたのはビニール袋、その中に制服やニーソックスを畳んで入れると朱音は店員を呼びに行く。
更衣室の中に冴月だけが残されてしまった。
[…変わった[[rb:女子 > おなご]]だな。]
「うん……でも…悪い子じゃない。」
少し経つと試着室のカーテンが開かれ、女性の店員が服のタグを全て外した後に靴を履いて更衣室を出てからレジへ。
会計を済ませてから服屋を後にすると朱音と並んで建物の中を歩いていた。
「お、思ったより高かったなぁ……。」
「えっと大丈夫…?」
「何とか…平気です、未だお小遣い有りますから。それより何か食べません?私お腹空いちゃって……。」
朱音は微笑むと冴月の右手を握り締め、微笑む。
当の本人は不思議そうにその様子を見つめていると駆け出した朱音に手を引かれてそのまま連れて行かれてしまった。彼女から伝わる手の温もりは温かく、握っていると落ち着く様な気がした。
2人が向かったのはモール内の2階にあるファミレスで服屋から少し歩いた位置に有る場所。
4人がけの席へ向かい合って腰掛けると朱音は冴月へメニュー表を渡して来た。
「……これは何?」
「この中から好きなのを頼むんです。もしかして…初めてですか?」
「来た事無いから…こういう所。」
冴月がそう話すと朱音は何度か頷くと彼女は無理に納得している様な様子を見せた。
「じ、じゃあ同じの頼みませんか?コレとか!」
「…スペシャルジャンボデラックス…パフェ?」
朱音が見せて来たのは頭の悪いネーミングセンスと共に描かれていたのは大きなチョコレートパフェで
値段は2000円近くだった。
「これで良い。」
冴月が呟いて小さく頷くと朱音は店員へそれを注文し2人は暫し待つ事に。その間も朱音は冴月の事を色々聞いて来た。学校の事や身の回りの事等を色々聞かれたが冴月の場合は「解らない」か「知らない」が殆ど。唯一、まともに答えたのは「学校は退屈だが悪くは無い」という事位。
「へぇ…結構変わってるんですね。冴月さんって。」
「…私はあまり人の事を知らない…今まで考えた事も無かった。でも何故か…ずっと胸が苦しい……昨日、アイツ《竜弘》と少し言い争っただけなのに……ずっと嫌な気持ちがする。」
「胸が…苦しい?」
朱音は冴月を見てキョトンとしていた。
そして1つの答えを出した。
「……もしかして、謝りたいんじゃないんですか?」
「謝る……?」
冴月は両目を瞬きし、金色の瞳で彼女を見ていた。
「その人の事が大切だから…そう思っているから胸が苦しくて…ずっと痛むのかもしれない。喧嘩して仲直り出来ないままなのは私だって嫌だもん。」
「ッ……。」
この嫌な気持ちの意味が正体が漸く解った。
ずっと抱えたままだったから余計に苦しかった。
『……その事は気にしなくていい。』
『僕は人間なんだよな!?答えてくれよ冴月!!』
『竜弘は人間!!それ以上でもそれ以下でも何者でもない!!』
知らないから、解らないから、言葉が足りなくて彼を傷付けてしまった。今までに無かった事が突然目の前で起こったから…自分でもどう声を掛けるべきだったのか解らなかった。考えていた冴月は重い顔をしたままずっと下を向いていた。
「…あの…冴月さん?」
「な…何?」
「パフェ来ましたよ。先ずは食べてから…ね?」
顔を上げた時、朱音から差し出されたスプーンを受け取った彼女は小さく頷くと、漸く答えを見つけた。後はこの気持ちを彼へ伝えるだけだ。
今の自分の正直な想いを。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
すっかり日も傾き、夕日の街中を竜弘は部活を終えてから1人で通りを歩いて帰っていた。
ポツポツと街灯の明かりも灯り始めると行き交う誰もが帰路へ着く様に歩いていた。
「冴月…今頃何処で何をしてるんだろう……。」
何故彼女の心配をするのだろうか?
自分にはもう関係ないと何度も言い聞かせた筈だ。
忘れた方が楽になれる…冴月と出会った日の事を全て無かった事にすればそれで済む。
強くなりたいと思って続けて来た鍛錬も昨日で終わり。もう木刀を振り回したり、彼女の攻撃動作を見切ったり、戦い方を教えて貰う必要もない。
「きっと今も戦ってるのかな…1人で。」
俯きながら歩道を歩いていると突然、目の前から1人の灰色のスーツを着た中年の男が竜弘の前へ来て止まった。
そして突然現れた彼は黒い縁で丸いレンズ付きの眼鏡を左手の指先で上げて話始める。
「美味しそうな…人間ですね……食べても…宜しいでしょうか?良いですよね?」
「な…何を言って…まさか…死徒!?」
「おやぁ、我々をご存知なのですね?ふふ…嬉しい限りですよ……では特別サービスだ…貴方は手足から順々に食べて差し上げましょう!!そうだ、それがいい!!」
そう言った男は両目を血走らせ、竜弘を見るとニタァッと口角を吊り上げて笑った。
竜弘が後退って逃げ出そうとした瞬間に身体が突然重くなる様な感覚を感じたがお構い無しに来た道を引き返す。だが後方にも若い男女の死徒らしき者が立って退路を塞いでいた。
「逃げなくても良いじゃありませんかぁ…ねぇ?」
「た、助けてッ…助けてくれ…冴ッ──!?」
今、自分は誰の名を呼ぼうとした?
あの黒い髪の少女の名前を呼ぼうとした。
自分が関わる事を辞めた少女の事を。
もう彼女は居ない…自分の事よりも他の死徒を狩りに行っているのだろう。故に自分の元には絶対来ない……このまま目の前の男に喰われて死ぬ。
それが彼の…竜弘自身の末路。再び振り返った時には男との距離も縮まりつつ有った。逃げようにも通りの幅の関係上、無理だ。
「イヒッ、イヒヒヒッ!!では頂きま──おぐぼぉおッ!?」
直後にドスッという鈍い音がしたかと思うと目の前の男の動きが止まった。彼の胸からは銀色に輝く何かが飛び出している。
「え……ッ…?」
「うッ…後ろ……から…なんて…ひ、卑怯……。」
何が起きたのか全く解らない。
竜弘はその光景をただ見ている事しか出来なかった。
「これから死ぬ癖に…卑怯も何も有る訳ないでしょう?バカなのお前。」
聞き覚えのあるその声に竜弘は我に返った。
僅かに未だ幼さの有る凛としたその声は彼の良く知る人物の声と全く同じだった。
「まさか…!?」
「……消えろ。」
一瞬の内に男が斬り裂かれて消えてしまった。
彼の目の前に居たのは風に靡く後ろに纏められた黒い長髪と共に艶のない黒いコートを黒い服と白いスカートの上から羽織った瞳の紅い少女がそこには居て、足元は黒の靴下に茶色いローファーだった。
「冴…月……。」
「たつ…ひろ……その…ごめん……。」
「え…?」
「あの時……私は竜弘の気持ちも知らずに…気にするなとか…忘れた方が良いだなんて言って……お前を困らせた…私が……私がもっとちゃんと…伝えておくべきだった……なのにッ──」
竜弘は自然と冴月の元へ駆け寄ると彼女の事を知らぬ間に抱き締めていた。強く抱き締めたら折れそうな程に細い身体と彼女の温もりが伝わって来る。
「僕の方こそごめん…冴月を責める様な言い方をした……それに…殺してくれだなんて……ッ…。」
「竜弘……私は…竜弘を守りたい。竜弘はずっと私の事を気に掛けてくれていた…だから私も…竜弘の為に出来る事をする…お前の事は私が守るから……!!」
冴月は彼の腕の中で彼を見て呟く。
そして竜弘はそれに対し彼は頷いた。
「冴月…僕は……。」
「…竜弘は人間、私も人間。そこに何の違いもない…だから傍にいて欲しい…私の傍に。」
彼は冴月から離れると彼女の後ろに立つ。
そしてお互いに目の前の死徒を見据えていた。
間合いを図っているとステュクスが冴月へ問い掛ける。
[サツキ、もう平気か?]
「大丈夫…嫌な感覚も胸の痛みも全部消えた。」
[そうか……ならば妾も心置き無く御主と共に戦える 。]
「ありがとう…ステュクス。さっさと終わらせてやるッ──!!」
冴月は刀の柄を両手で握ったまま深呼吸してから駆け出し、その最中に刀身へ青い炎を纏わせる。
そして前方の女性が彼女へ襲い来る最中、その刃を振り翳し斬り裂いた。
「はぁあぁあぁぁッ!!」
「ギャアァアァァァッ──!?」
人とは思えない悲鳴を上げて女性が燃え盛り、続く2人目が動く前に間合いを詰めた上で刺突し同じ様に青い炎で燃やしていく。
「……まだ居る。」
睨み付けた先に居たのは方刀を持った白いマネキン、頭部に髪は生えていない。そしてマネキンが先に仕掛けると冴月へ刃を振り下ろして来た。
繰り出される攻撃を彼女は幾度も片手で弾いて受け流して行くと相手の刃を自身の刀で下の方へ向けて力押しで下げて行ったのだ。
「……そんな腕で私と張り合おうだなんて…バカにするなぁあッ!!」
そして力強く頭上へ勢い良く蒼月の刃を振り上げるとマネキンの身体を大きく斬り裂く。真っ二つにされたマネキンは地面へ落下した末に青い炎に撒かれて焼かれていった。冴月は刀を下ろして離れた位置から竜弘の方を振り返ると呟いた。
「……これで終わった。」
「うん、お疲れ様。それと…ありがとう冴月。」
「……帰ろう、竜弘。」
蒼月や法衣をそれぞれ片付けた冴月は元の金色の瞳へ戻ると、彼の近くへ駆け寄る。
そして共に並んで歩いて帰路へとついた。
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竜弘と共に歩いて彼の家の付近へ来ると
冴月は玄関の先で立ち止まった。
そこに居たのはショッピングモールで出会った朱音だったのだ。
「朱音!?何で…。」
「嘘、冴月さん!?お兄ちゃんも一緒だ。」
冴月に気付いた朱音が竜弘へそう問い掛けると
サッと目を逸らす。一方で気になるのは先程、朱音が発した言葉の方。
「竜弘、これ…どういう事?」
「あぁ、朱音は僕の妹なんだ。全然似てないけどね…でも冴月と知り合いだったのは意外だったけど。」
何度も冴月は2人を見比べたが、確かにあまり似ていない。
「冴月、良かったら上がって行く?」
「…ううん。また今度にする…今日は疲れたから。」
「そっか…それじゃあ──」
「明日の朝7時にまた屋上で鍛錬するわよ!!遅刻したら許さないんだから!!」
冴月が彼の言葉を遮る様に話すとじっと見つめる。
そして竜弘は頷く。朱音が「あ、そうだ」と何かを思い出した様に駆け寄ると冴月へ制服を手渡して来た。それを受け取ると冴月は頷く。
「……これ、渡しそびれちゃって。」
「あ…うん……ありがとう。」
「それと…今度はちゃんと遊びに来て下さい、待ってますから♪」
軽く握手を交わした冴月はその場で別れ、竜弘と朱音は家の中へ入って行く。すると家へ戻った筈の竜弘が街灯の近くへ差し掛かった冴月へ声を掛けて来た。彼女も振り返ると彼の方を見つめている。
「冴月ッ!!」
「何?」
そして一言だけ、彼は冴月へ伝えた。
「……また明日、学校で。」
「……うん、また明日。」
その言葉を交わした彼女は何処か嬉しそうな表情を浮かべたまま何処かへ去って行く。
新たな決意をその小さな胸に秘めて。
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綾崎市の街中に有るとあるビル、夜景を見渡す事が出来るその会議室に居たのは未だ冴月と面識は無い3年生の
生徒会長、天ヶ瀬隼人と他2名。
男子2人と女子1名という意外な組み合わせだが、何れも選挙により選ばれた者達。
そしてドアが開くと白い仮面を付けたスーツ姿の男性が1人入って来る。明かりの点いていない部屋に対しその姿は不気味そのものだった。
「…どういうつもりです?夜中に学生をこんな所へ呼び出したりして。犯罪ですよ…倉橋先生。」
隼人にそう呼ばれた彼は仮面を外す。
ボブカットにした黒い髪を少し手直しして3人を見つめていた。
「こんな夜分遅くに済まなかったね。実は…この間、焼却者と接触して来た。」
「…焼却者?やはり学校の中に。」
「……黒い髪と目付きの鋭い金色の瞳をした女の子だ。」
「…1年の佐藤が話していた子と同じでしょうか?」
「恐らくそうかもしれない…それと既に4臣下の内、3人がこの街へ降臨なされている。我々信徒の役割は禁術を用いて現世と隠世を繋ぐ事……その為には焼却者を排除する必要がある。恐らく彼等もそれに気付いてこの街へ訪れるだろう……。」
秀一がそう告げると隼人は頷く。
すると今度は横に居た結愛が口を開いた。
「…それより例の3人はどうします?未だ利用価値は有ると思いますけど。」
「……ゴミは放っておけ。今、我々が優先すべき事は法術を利用したサバトによる大規模な生命の変換。そして変換した生命を隠世の4神へ捧げ…」
「この世の理を破壊し新たな世界を想像する。」
結愛、隼人の2人の横に居た俊が口を開く。
黒い学生服と同じ黒い髪と吊り上がった左右の紫色の瞳が秀一を見つめていた。
「……その為の信徒。そして校外以外の信徒達も考えは皆、同じだ。私は3神と接触し更なる判断を煽る。焼却者の監視を怠るなよ。必要なら屍使いを使っても構わない。」
「お任せを……。」
「……それと1年の葉山竜弘君…彼から成る可く目を離さない様に頼むよ。彼は面白い逸材だからね。」
隼人が頭を下げると秀一は再び仮面を身に付けて
姿を消してしまった。そして残る3人もまた何かを企てるかの様に不気味に笑いながらその場を去る。
この街の裏側など、誰も知る術はない。
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