第16話 星降る星霜

 星には手が届かない。きっと星も同じ。

――――――

 底知れぬ深海……。


(誰だ?…俺以外にも誰が居るのか)


 無防備に沈む身体に近付く影が、一つ。背を押すようにコツンと影とぶつかる。


《世話掛けさせよって…》


(聞いた声…。嗚呼、お前か)

《昔のお前はもっと張り合いがある生意気なガキだったが………つまらん男になったな》


 水面に映る青の光芒が目覚めの時を予感させる。久しく聞いた声にしるべが差す。


《二度目は無い…。に手を出しよって》


____ _ ____ _ ____


「そろそろ話してもらうぞ」


 カルム一行が去った後、おもむろにティアナが切り出す。当初はリオンが目覚めてから話すと言い納得していたが三日以上待たなければならない可能性が出現し我慢の限界を超えたティアナが居間で寛ぐスタファノに回答を促す。


「んーどうしようかなぁ?」

「僕も出来れば早く知りたいな。スタファノ、君の耳の事は昨日教えてくれたから知ってるよ。重要なのは何を聴いたか。霊族を退かせるほどの重要な何かを聴いたのなら教えてほしい」


 ティアナに同意しリュウシンも一昨日からの疑問を尋ねた。今この場に居ないのは天音とリオンの二人。天音はリオンの様子を見てくると言い残し、先程居間から移動したばかりだ。場合によっては彼女には重い話になるかも知れないと態々居なくなってから口を開いたのだから、口より先に手が出るティアナも人並みの配慮ぐらいは持ち合わせているのだろう。


(言う必要無いかな〜)

「忘れちゃった!」

「え?」

「は?忘れたとはどう言う事だ!?」

「そのままの意味だよ〜。何の事か……キレイさっぱり忘れちゃった!」


「あたし達を馬鹿にしてんのか!?もう一度言う。何を聴いたか教えろ!!」

「ティアナ待って!もしかして言えない事情でもあるんじゃ、…」

「全然っ。忘れただけだって」


「………ティアナ良いよ。殺って」

「そのつもりだ」


 ティアナとスタファノの相性は最悪だった。胸倉を掴み怒りを顕にする本日、二度目の行為だ。彼女の沸点を落ち着かせ自分なりの考えを冷静に話すリュウシンだったが満面の笑みを見せるスタファノに虚しく打ち砕かれ微笑みながら静かに合図を出す。


「わーーっ待って待って!!」

「ねぇみんな!…て、またまたどう言う状況!?」

「天音ちゃん助けて理不尽にイジメられるっ!」

「正当な理由だ!」

「急いでたみたいだけど何かあったのかい?」

「ああー…うん」

(みんな目が怖い…!)


 たった今、居間に駆け込んだ天音がデジャヴを感じ盛大にツッコむ。一つ違うところと言えばリュウシンの目元が笑っていない事である。状況を知らない天音が戸惑うのは当たり前だ。さり気無く目を逸らし、天音は急ぎ足の理由を口にした。


「実は…リオンが」


―――


「どう?」

「ふむ…。放っておいても大丈夫だけど心配なら熱に効く薬草採りに行こうか?」

「じゃあ私も一緒に行っていい?」


 天音の報告を受け急速に体調が変化したリオンを診て安心させる為に目線を合わせる。

 天音曰くリオンの様子を見ていると前触れがなく苦しみ出したらしい。あたふたと、暫く右往左往していたがリオンが汗ばんでいる事に気付き額に触れたら高熱だったとのこと。


「良いよ〜行こっ」

「その前に濡れタオルで冷やさなきゃ!お水汲んで来るね」

「オレにまだ何か訊く?」

「はぁ…もういい」

「信じた訳じゃないけど忘れた事にしておくよ。今は」


 漸く自分にも出来る事が回ってきた。出掛ける前に少しでもリオンが楽になれる様にポーチからタオルを出し側に置いてあった容器を持って、天音は水を汲みに表へ出た。


 健気な少女の登場により曖昧になった口論を持ち出すスタファノに目くじらを立てていた事が馬鹿らしくなりリュウシンもティアナも一応は彼の忘れたと言う言葉に妥協した。


「あたしはあたしの目的、母さんを殺した男と父親を探す為に此処に居る。是が非でもリオンには起きてもらう…。スタファノ!三日後の約束は忘れるなよ」

「やっと名前で呼んでくれた〜。忘れないように努力するよ」

「よし、リュウシン来い。特訓に付き合え」

「え?…ちょ来いって言うか連れられ」

(賑やかだなぁ)


 妥協したとは言え、怒りの矛先を失いティアナはリュウシンの外套を掴み特訓と称して連れ出す。巻き込まれたリュウシンは抵抗出来ずに桃髪のポニーテールが左右に揺れるのを眺めるしか無かった。


「あれ…?リュウシンとティアナは?」

「あの二人なら特訓しに行ったよ」

「特訓?ふーん」


 入れ違いに戻った天音は姿の見えない二人を探し余所見していた所為で足元に注意が向かなかった。…なので。


「あ…っ!」

「!危ない!!」

「うっ」

「ふぅー間一髪だった」

「あわ…わ」

(リオンごめんなさいーーっ!!)


 自分で自分の足に引っ掛かり態勢が大きく崩れる。天音が転ぶ前にスタファノが植物を模したような鞭を出し彼女を支える。

 スタファノにとって女の子の天音の方が優先順位が高くリオンは二の次だったので、容器に入った水は天音にかからないように鞭の先で弾いた。故に眠るリオンに思いっ切り容器ごと水がかかった。


 小さく呻き声を上げるびしょ濡れのリオンにやってしまった天音は膝から崩れ落ちた。濡れタオルの必要はない、既に濡れた。

―――

リュウシンSide


「今なんか凄い音しなかった?」

「余所見するな!〈法術…」

「だからちょっと待っ!?」


 一方その頃のリュウシンはティアナの特訓と言う名の暴力に襲われていた。

――――――


「と言う事でやってきましたー……崖?」

「そう。熱に効く二つの薬草アカゲソウとツキツボミの内、アカゲソウはは鮮度が大切だからね。直接崖から採るのが一番効果がある。オレが採るから天音ちゃんは見てて〜」


 てっきり薬草を採ると言うから草木の分け目を探すのかと思えば現実は実に峻厳しゅんげんだ。目を凝らしてやっと赤みがかった葉が見えるほど高い位置に生えてるアカゲソウ、鮮度以前に採取方法が崖を登って採ると言う何ともアナログな方法だった。


「いや私が採る!採ってみせる!!」

「天音ちゃんが?危ないよ」

「リオンの為だもん頑張る。不可抗力とは言え水、かけちゃったし…」


 絶壁と言い切れないにしても高い崖を見上げて唾を飲み込む。


(崖ってどうやって登るの!?ロッククライミングなんてした事ないし、学校にあったのぼり棒すらマトモに登れないのに)

「そっか〜ならコレで支えるね」

「これ…さっきの鞭?」

「バリエーション豊富で便利でしょ」

「ありがとう…!」


 何事も挑戦!とリオンに対しての罪悪感で崖を登る決意を固める。崖に手をついたまま放心する天音の腰に先程の鞭が絡まる。命綱代わりの鞭に感謝して、いざ岩壁登攀とうはんへ。



「もう…少しっ!採れ…きゃっ!?」

「大丈夫。お疲れ様〜」

「し、死ぬかと思った」

「あと三つぐらいよろしく〜」

「…ぇ」

「嘘ウソ冗談!」

「心臓に悪い…冗談で良かった」


 手足に無けなしの力を込めて崖を登る。登りながら気付く、アナログな方法だがこの世界の人間は法術を扱えるので崖登りも容易いのだと。スタファノが鞭で採取するのが一番手っ取り早く効率的と言われても反論は出来ないが、彼女なりに自分に出来る事を模索した結果なので多目に見てほしい。


 さて、そんな天音だがアカゲソウに手を伸ばし掴んだ瞬間、グラリと視界が反転する。元々降った雨で連なる岩石の状態は最高に不安定だった。故に崩れる。鞭を引き寄せ、天音と天音が手放したアカゲソウをキャッチし美味しいところは全て貰っていくスタイルを崩さないスタファノであった。

 …意味のない嘘は付かないのでは無かったのか。


―――

inメルメイス


「もう一つの…ツキツボミだっけ?は此処で買うの?」

「ツキツボミってガーディアンの里にしか咲いてないから里以外で唯一買えるのがメルメイスしかないんだ〜」

「へぇー!」

(ご当地品みたいなものかな)


 数日前に行ったきりのメルメイスに再び訪れた。相変わらずの賑やかさが街を彩る。メルメイスに関してはスタファノの方が何処に何が置いてあるのかの詳細を知ってる為、ツキツボミは容易に見つかった。

 満月を彷彿させる様な黄色い円形状の蕾は観賞用にしても満足なほど粋美だった。近付けると、どことなく甘い香りが漂うのが特徴的だ。


「因みにツキツボミは発熱だけじゃなくて他にも色々使えたりするけど蕾状態でしか効果が無いから繁殖が難しかったりするんだ〜」

「そんな貴重な物だったんだ…。出回して良いの?」


「『外との交流は大切だ』って言った人が量とか調整してるらしいから大丈夫だと思うよ。ツキツボミ以外にも交流品としていくつか出してるみたいだし。オレは交流の必要性が分かんないけど」


「交流…ねぇガーディアンの里ってどんなところ?いつか行ってみたいな……!」

「行っても面白くないよ〜。植物がいっぱい生えてるぐらいしか特徴無いし…」

(普通の人間は、そもそも里に入れないから)


「ええー?じゃあさ、あのでっかい樹木は?!樹齢けっこーするんじゃない!?」

「あれは…確か三千年だった気がする…」

「三千年!!?想像もつかないや」


 ガーディアンの里について話すスタファノは何処か一線を引くような近寄りがたい笑みを浮かべていた。些細な変化は上辺だけを見る人間には気付けない。天音が気付けたのかは定かでは無いが話をガーディアンの里から里の中心に聳え立つ巨木について替えたのはそれなりの何かを感じ取ったからなのかも知れない。


 少し間を開けてサラリと三千年と途方も無い暦を言い出すスタファノに天音は空を見上げ想像もつかない世界に思い馳せていた。


――――――


「リュウシン……髪焦げてない…?」

「はは、やっぱり?」

「ティアナも髪ボサボサだし」

「気にするな」

「あ〜あ折角、傷治したのに」


 日暮れ前に借宿に帰宅して、出迎えてくれたリュウシンとティアナの違和感に気付く。元からクルクルした髪質のリュウシンだが現在は更にカールがかかり所々プスプスと効果音がつきそうな焦げ目が毛先に目立っていた。ティアナもティアナでストレートな髪がボサボサと四方に散々していた。良く良く観察すれば擦傷がお互い数カ所出来ていた。


「ところで薬草は採れたかい?」

「うん。バッチリ!」

「ホラ、傷見せて手当するから」

「!必要ない。擦傷程度で手当するな」

「強いね。僕は手当てして貰おうかな」

「……男はあんまり診たくないけど……」


 超絶渋々、仕方無しと言った表情と仕草でリュウシンの手当をするスタファノ。何故か申し訳無くなり眉が垂れるリュウシン。


「ずっと気になってたんだけど…星の民と霊族の見分け方って何かあるの?初めて霊族に会って星の民も霊族も見た目の違いなんて見つからなかったし、街で擦れ違いざまに襲われたりしたら分からないかも……」

「全然違うぞ。右手と左手ぐらい違う」

「右手と左手…っ?!」

「ああーとね。アストエネルギーの質が星の民と霊族で違うんだ」

「質?」


 右手と左手は、譬え話にしては単純なのだが突拍子も無い言葉に天音がその筋を理解するには少々知識が足らなかった。自身の両手を見つめ混乱する天音に慌ててリュウシンが丁寧に訂正した。


「元々アストエネルギーに違いなんて無かったけど神話時代に起こった星の民と霊族の戦争のときに二種族を区別する為にアストを与えた霊獣が質を変化させたんだ。

アストを使いこなせば使いこなすほど、お互いが出会ったときに違いに気付きやすいんだ。だから擦れ違いざまに襲われる心配はないよ」


「なるほど…!!ティアナが言ってた事はそう言う事だったんだ。深い…!」

「深い……かな?」


――――――

―――

スタファノSide


 次の日、そのまた次の日もリオンは目覚めなかった。天音は昼夜問わず付きっきりで看病、と言うか早く目覚めるように見守っていた。アカゲソウ、ツキツボミの薬草のお陰で平熱に戻ったは良いものの約束の日付まで半日の猶予も無かった。


(明日で約束の日か〜。逃げるか!…いやいやでもなぁ……なんかこういい感じに早く起きてほしいな…オレ死にたくないし。死ぬとは限らないけど、…それにしても何で発熱症状が出たんだろ。配分間違えちゃった?)


「スタファノ、分かってるな?」

「もちもちー。約束でしょ分かってるよ〜」


(配分間違えたって事はやっぱし死ぬ可能性高い…?皆が寝てる隙に逃げ…て!?この足音は…)


 スタファノ以外は姿を見るまで近付く足音に気付きもしなかった。扉を開け現れた人は…。


?「……」

「君は…!?」


―――――― ―――


「あ、寝てた…いけない。ん……コレ…?」


 気張っていた心も日を追うごとに緩やかになってゆき、何時の間にかウトウトと寝落ちしていた。手を口元で覆いながら欠伸をし、肩に青の外套が掛けられている事に気付く。リオンの身に着けていた外套だ。


 次第に寝起きから脳が覚醒する。決め手は…。


「リオンが居ない……っ!?」


 すぐ側のベッドで眠っていたリオンが姿を 消していた。椅子から立ち上がり一度呼吸を整える。撫で肩な天音は外套がずり落ちない様に左右の手でギュッと握った。


「目が覚めたんだ…良かった」

(でも何処に…)


 空気を入れ換える為に開けていた窓から風がフワリと舞い込む。薄橙色のカーテンが揺れ外の景色が視界の端に映った。


(リオン…?)


 小高い丘の上に青髪の彼が居た。胡座姿の背中を追い、風吹く夜に外出する。


 メトロジアの夜は更けていく。

―――

 今宵の星は一等、美しく輝いていた。


「リオン」

「天音か、起きたんだな」

「それはコッチの台詞だよ。心配した…。でも目が覚めて安心した。隣いい?」

「ああ、腹の傷は残っちまったがな」


 名前を呼べば月を眺める双眸が此方を振り返る。リオンの隣に腰掛け隣を見上げる。改めて目覚めた実感が湧き天音の心に余裕を持たせた。髪を解いたラフな格好は普段の頼もしい元騎士団長よりよっぽどリオンらしい。


「ガーディアンの…スタファノって奴から全部聞いた。暁月の事もエトワールの事も」

(…霊族の目的もな)

「…そっか。私も色々教えてもらったよ。ん?首の模様みたいなのも傷痕…?」

「これは…まぁそんな感じだ」


 正面から見て首筋辺りにかけての箇所に何かしらの模様に見える不可思議な傷痕を発見する。

 暗がりでハッキリとは視認出来ないが小銭サイズの円形輪の中に逆三角形がすっぽりと収まっているだけでなく、雫を連想させる痕が三つほど同様の箇所で存在感を顕にする。傷痕と言い切るには少々無理がありそうだが謎の模様を手で隠されてしまったのでそれ以上、観察する事は叶わなかった。


 普段は黒インナーに隠れている位置だが、水をぶっかけてしまった際に大部分が濡れ、丁度乾かし途中だったので目視する事が出来たのだ。


「そうだ!リオンに見てほしい物があるんだった」

「?」

「じゃーん!コレ何だと思う?」

「それは……カラットか?」

「正解!カルムさんとマリーさんに貰ったの。綺麗でしょ!?」


 話題を変えるようにポーチから水晶玉に似た丸い透明なカラットを取り出した。数日前にお見舞いに来た二人が小包に入れサプライズ的に渡された物だ。カラットはエトワール製造に欠かせない物であると同時に透き通った透明度から宝石類の装飾品としても人気が高い。


「最初は断ったんだけどね…。あんまりもキレイだし、お礼だーって言われちゃって…あ、そういえば知ってた?カルムさんって元々エトワールを造ってたらしくて…だからカラットもこんなにキレイに加工でき……」


「天音」

「?なに…」


 貰ったカラットについて語る天音の話を隣で聴いていたリオンは意を決したように彼女の言葉を途中で遮る。カラットから視線を移しリオンの青目と天音の赤目が交差した。何時もと様子が異なる眼に息を呑み次の言葉を待つ。


「あんとき自我を保てたのは天音が居たからだ。助けられたな。…………ありがとう」

「ーっ!!わ、私が居たから?リオンの役に立てたの!?…間違ってなかったの?」

「ああ」


(ズルい…)

「水掛けたのに?」

「水?」

「崖から落ちそうになったのに!?」

「崖?」


 "あんとき"が如何様な場面を指しているのか分からない天音では無い。自分の所為で彼が昏睡したのだと一人で悩んでいた。振り払うように自分に出来る事を行っていた。リオンは天音が一番欲しい言葉を図らずも口にした。


 一気に心理を突かれ危うくカラットを落としそうになるが何とか耐え、代わりに脳内が僅かに混乱し必要のない事まで口が滑る滑る。


(…ほんとズルいよ。助けられたのは、お礼を言わないと駄目なのは私の方なのに)

(水…?崖…?)


 リオンの服は乾かしている最中だが、水を掛けられた事は知らない上に崖の出来事も知らないので天音とは別の意味で混乱していた。


「リオン助けてくれてありがとう…!」

「ん。そろそろ戻るか」

「待って。眠ってる間にずっと考えてた。 起きたら訊こうと思って…」

「?」


「私、まだこの世界の住人じゃないの。知らない単語、知らない土地、知らない力、知らない事が多すぎて…この世界で産まれて無いからまだ慣れない。百年前の戦争だって一夜戦争だってそう…だから知りたいの!この世界の事も、リオンの事も!!教えて、リオンはどうして騎士団長に?…何を想ってたの?」


 未だ、世界に慣れない。星の民に成れない。



「天音…」

「はっ!でも言いたくないなら無理して言わなくていいからね!!ね!」

「ふっ…夜は冷える。此処に居たら風邪引くぞ。部屋に戻ってからでも…」

「聴くなら此処がいい。だって今日も星が澄んでいてキレイだもん」

「!…長い話になる」


 ハッと魅せられた。夜空の中心で星の様に笑いかける天音に、形容し難い感情が一瞬生まれ風と共に柔らかに消えた。彼女の笑みは幾度となく、見てきたがこれまでとは違う受け止め方をした自分に戸惑いを隠し切れないでいた。


 星降る夜の幻想に惑わされた所為にしよう。


 星々と大河は今宵、地に降り宇宙そらを見上げる。

   宇宙そら漂えど見下げて願う星映し。



「一夜戦争やらそれ以前の歴史やらは俺は余り知らない」

「騎士団長なのに?そういうのって教官みたいな人とか親とかに教わるもんだと…」

「…俺が知らなくとも知ってる奴が隣に一人、二人いたから…十分だった。あと両親は俺が産まれた日に死んだらしい。親代わりのふざけた奴ならいるが……」




 星降る星霜、語り口調は優しく淋しく―。

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