第6話

「どうしたんだい、今夜は美穂ちゃんもつれて?」

深夜のバーで廣澤さんがわたしに

甘ーくささやきかけたの。

「うん、美穂ちゃんがついてきたいって

きかないもんだから。ねぇーえ、美穂」

「うっ、ううん、ちょっと杏奈のことが

心配になったもんだから」

「心配って?」

廣澤さんが美穂をじろりとにらんだ。

「いっ、いえ、なんか、杏奈頼りないっていうか、

そんな感じだから」

「なるほどね」

廣澤さんがタバコに火を点けた。

「どうもあやしいな」

「えっ?」

わたしは少し驚いて目をむいた。

「オイ」

廣澤さんがそう合図すると、黒服の男が

ふたりあらわれ、わたしと美穂の口に

ハンカチをあてた。

わたしはそして気を失ってしまったの。

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