第4話

「えっ、歌舞伎町のバーで働かないか?」

廣澤さんに会社の屋上で

そう誘われたとき、わたしは耳を

疑ったの。

「いやね。知り合いがそこのバーを経営

しててねいい子がいないか探してるんだよ」

「ジーっ」

わたしは廣澤さんの顔を穴があくほど

睨んだわ。

「なっ、なに」

「廣澤さん、なにかよからぬことを

企んでるんじゃありませんか?」

「よっ、よからぬことって?」

廣澤さんがどもってキョロキョロしだした。

危ない、危ない。これは廣澤さんの

危険信号なの。

「お誘いありがたいんですけど、キッパリ

お断りさせていただきます」

「いいのか」

「なんですか」

「おまえの恥ずかしい写真をバラまいてもいいのか?」

「あなたって人は」

でも惚れてる弱み、わたしはそれ以上

非難できなかったの。

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