第8話 「6こあんねんけど4ことったあんねんのこと」《主》
すごく面白い夢を見た。
目が覚めても可笑しくてクスクス笑っていた。
寝床の中で今見た夢を忘れないように何度も反芻したのだが…。
歯を磨く頃にはきれいさっぱり忘れていた。
《主》の夢には特徴があって、それは自分が出演しないものが多いということで、例えれば、(テレビを見ているような感覚)であろうか。
寝る前には(今日はどんな夢を見るだろうか)と楽しみにしている時すらある。
若い頃は事細かに覚えていたものだが!と悔しがりながらも、何とか捻り出した記憶は、
(6こあんねんけど4ことったあんねん)
というセリフだった。
標準語に訳すと(6個あるのですが、4個取ってあるんですよ)というほどの意味である。
しかし、誰が言ったのか、何が6個あるのかさっぱり思い出せない。
6個のうち4個は取っておきたくなるほどの(モノ)とは何だろうか。
なけなしの記憶力がしがみついていた台詞を、この日は1日中考察していた。
しかしこんな手掛かりだけで何かが閃くわけもなく、ただ徒らに空を眺めるだけであった。
(空が青いな。夏も近いのかな。)
などど全然関係ない事を考え始めている始末。メモの切れ端のような(色んな)記憶が《主》の中にはぎっしり詰まっているというのに。
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