第3話 「《ぬこ》のこと」 後編
そういう訳で《ぬこ》は我が家の一員となった…。とはいえ、《主》は子供の頃実家で犬は飼っていたが猫は初めての経験。しかもこんな掌に乗るほどの赤ちゃん猫である。
翌日、育児(育猫?)相談も兼ねて、とりあえず病気や怪我がないか動物病院に連れて行って診てもらった。
幸い病気も怪我も見つからず、獣医さんの推定では生後1ヶ月くらい。離乳して間もない頃ではないかということだった。
こんな小さなうちからお母さん猫とはぐれちゃってかわいそうに…ウッウッ(涙)などとセンチメンタルな気持ちになっているのは《主》だけで当の本猫は見るもの全てが面白いのか、座椅子に飛び乗ってはゲラゲラ笑い、ティッシュを際限なく引っ張り出してはゲラゲラ笑い、《主》の足に飛びつき悲鳴をあげさせてはゲラゲラ笑いと、やりたい放題なのであった。
こうして始まった《ぬこ》との出会いからはや12年が経つ訳だが、今ではすっかり落ち着いて(この世の全てを知っている)かのような顔つきで今日も《主》を上から見下しているのだ。
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