第15話 新たな遺跡
次の日の朝、俺はギルドに捜索依頼の終了の報告に行った。
ギルドの入口を入ってすぐのロビーは、ちょっとおしゃれなホテルの様な雰囲気だ。
左側に受付の窓口があって、その前にはソファなどが並べてある。そこには依頼をしに来た人や、少しでも良さそうな依頼が出た時に先に取ろうと待ち構えているレリック・ハンターたちが数人座っていた。
俺は先程、受付の女性に依頼の終了の報告をして、今はロビーで事務手続きが終わるのを待っているところだ。
ロビーの壁側には誰でも受けられるような依頼が貼り出してあり、俺はそれを見て時間を潰していた。
どんな依頼が残ってるんだ?
えーっと……牧場に出没する魔物の駆除か。あいかわらず、あそこは魔物が出るんだな。
魔物の駆除は結構厄介なんだよな。
一匹だと思っていたらもう一匹いて、挟み撃ちにあったりとか。怪我のリスクが大きい割には依頼料はそれほど高くないし。
倒した魔物から得られる魔晶石の分を入れても大した額じゃない。積極的には受けたくないな。
ああそうか。今はシールドが使えるようになったから、楽かもしれないな。
今度、暇なときにでも受けてみるか。
あとは……土木工事の手伝い、それと……これはザナス・シティの鉱山で鉱夫の募集か。
昔は薬草の採取なんていう簡単な依頼もあったらしいけど、今は薬草は畑で栽培されているから、そういうのは無さそうだな。
「ショウ・アキカワ様。お待たせしました」
「はい」
俺は呼ばれて、受付窓口に行く。
「依頼の完了について、依頼主であるスミス様と、軍部の方から連絡が来ておりました」
ああ、リスル少佐からもギルドに連絡してくれたんだな。
女性が続ける。
「スミス様からは、担当されたチームに大変感謝していることを伝えて欲しいとの伝言も承っています」
よかった。
俺たちも体を張った甲斐があるというもんだ。
「そうか。喜んでもらえたようでよかったよ」
「今回の依頼は完了です。報酬はいつもの登録口座へ振り込みでよろしいですか?」
「そうしておいて」
「はい。あと、今回はプリア・シティでのお仕事でしたが、この件には窃盗団は絡んでいなかったようですね?」
「窃盗団?」
「向こうの指名手配の掲示板にも貼り出してありますが、今プリア・シティではご存知のように領主の不祥事で混乱が続いていまして、そのスキを突いて窃盗団による事件が何件か起きているようなんです。もし窃盗団の情報があれば、情報に応じて報奨金も出ますので」
「そうだったんだ」
俺は依頼関係の手続きが済むと、帰る前にその指名手配の掲示板を見に行った。
掲示板には窃盗団の情報提供や捕獲に対する報奨金の金額などが書かれている。
プリア・シティの盗賊に関する情報提供は、最高百万ギル。もし捕獲すれば一千万ギルだ。
もし捕まえたら、けっこういい金額だな。
でもまあ、俺たちは当分プリア・シティに行く用事はないだろうな。
俺が事務所に帰ってくると、エレナ博士とイーサンがなにやら書類を作成していた。
「何やってるんだ?」
俺が聞くとエレナ博士が手を止めてこちらを見た。
「ああ、おかえり。実は昨日のバロア男爵邸の地下の事なんだけどね」
「ん?」
「あのトロルがハンマーで開けた穴が妙に深かったから、あの地下室のさらに下に自然の空洞があるのではと思ってね。それでもしかしたらと思って、穴の中にカメラを入れて撮影したんだけど」
エレナ博士はそう言って、魔導カメラの画像を紙に焼いたものを俺に手渡してきた。
その写真には、浮き彫りの装飾がされた遺跡の扉のような物の一部が映っている。
昨夜、俺がリスル少佐に説明などをしている間にエレナ博士とイーサンが何かしていたのは、これだったわけだ。
「まさか、これって」
「そう、おそらく未発見の遺跡」
「やったじゃないか!」
「そうなんだけどね……」
エレナ博士は何かを懸念しているような言い方だ。
あっそうか。あそこは私有地だ。しかも貴族の館の下。
「そうか。男爵邸の地下だったな。発掘できるのか?」
「それでさっき、アデル教授を呼んだから、一緒に考えましょ?」
「なるほど」
現在のステイシアの法律では、遺跡などを発掘する際には考古庁の許可と考古庁が認めた考古学者の同行が必要になっている。
どうせ考古学者が必要なら、知り合いのアデル教授を、というわけだ。
まだ発掘出来るかどうかはわからないが、アデル教授なら考古庁に顔が利くし、男爵邸の地下でも発掘許可をもらう良い方法を知っているかもしれない。
それでエレナ博士たちは、遺跡発掘の許可をもらうために必要な資料をまとめていたようだ。
そしてその日の午後、アデル教授が俺たちの事務所にやってきた。
アデル教授にソファを勧め、俺が教授の前に座り、エレナ博士は教授の横に座った。
イーサンは紅茶を
「なに? なにかいい話?」
アデル教授が期待を込めて聞いてきた。
「実は昨日、依頼でプリア・シティに行ってきたんだが……」
俺が昨日の経緯を話せるところだけ話す。一応依頼には守秘義務などもあるからだ。
「……それで、俺たちがバロア男爵邸の地下室に侵入して怪物と戦ったんだ」
「男爵邸に侵入なんて、あんたたちも
「それで、怪物と戦っている最中に床に出来た穴にカメラを入れて撮影したんだが……」
そこからの説明は、エレナ博士にバトンタッチする。
「これを見て。穴が深そうなので、下に何か有りそうだと思って写真を撮ってみたのよ」
エレナ博士がそう言って、二枚の写真を机に並べた。
土が崩れているのか、全てが見えているわけではないが、その模様や質感はやはり遺跡の扉に見える。
アデル教授の目が大きく見開かれる。
「……これってまさか……遺跡なの!?」
「扉の一部が見えているんじゃないかと思って、呼んだわけ。資料で見た他の遺跡の扉の模様にそっくりだわ」
「これは間違いないわ! ○X△□※△!」
アデル教授がソファから飛び上がって、何言ってるのかわからないぐらい喜んでいる。
「まあまあ、落ち着いて」
エレナ博士が、アデル教授を座らせた。
アデル教授は、ソファに座って息を整える。
「私、手付かずの遺跡を発掘するの初めてなのよ」
「そうよね。最近は新しい遺跡の発見なんて、ステイシアでも旧大陸でもほとんど無くなったからね」
この十年、新しい遺跡が発見されたというニュースは流れていない。
だから、最近の考古学者は図書館で過去に発掘されたものの資料を再検討するぐらいしかなくなっていたはずだ。
それで考古学は下火になっていて、研究予算も少なくなっているわけだ。
「上に屋敷が建っているから、今まで見つからなかったのね。すぐに発掘申請出してくるわ。資料を頂戴」
「一応、用意はしてあるけど……」
そう言って、エレナ博士は先程イーサンと一緒に作成していた資料をアデル教授に渡した。
「なに?」
しかし、アデル教授は興奮していて、この場所のことを失念しているようだ。
「問題はここが男爵邸の地下だということなんだ」
俺が言った。
「そ、そうか……」
アデル教授が肩を落とした。
「過去の事例とかで、発掘許可を得る何か良い方法はないの?」
エレナ博士が聞いた。
「貴族の屋敷の下に見つかったのは、今回が初めてだし……」
「ところで男爵邸の地下だと、所有権とかの問題はどうなるんだ?」
今度は俺が聞いた。
「それは大丈夫よ。今のステイシアの法律では、遺跡の所有権は国にあることになっているから、どこにあっても国から許可さえ出れば発掘はできるわ。でも男爵邸だと、その許可が出るかどうかは微妙ね……」
そこに、ユリーが帰ってきた。
「ただいまー」
手に持っている荷物をみると、どうやらケーキを買いに行っていたみたいだ。
「おかえり」
と、俺。
ユリーはテーブルの端で包を開けて、皆の前にケーキを置いていく。
「はい、どうぞ」
「ユリーちゃん、ありがとう」
どうやら、アデル教授をもてなすために買いに行ったようだ。
「どうしたの? なんかアデル教授がふさぎ込んでる?」
ユリーが聞いた。
「地下に遺跡が見つかったのはいいんだけど、あそこは男爵邸だから、発掘許可が降りないんじゃないかって」
俺が説明した。
「バロア男爵邸なんて、破壊しちゃえば?」
「ちょ、ちょっと」
「というのは冗談だけど、それなら私のお父様に頼むのは?」
それを聞いて、アデル教授の顔が明るくなった。
「そうか。ユリーちゃんのお父様って、そうか!」
「そう。それにバロアが逮捕された今なら、すぐに許可が出る可能性が高いわ」
ユリーの父の公爵は、学術部門の最高責任者だ。考古庁の決定にも権限がある。
しかし、本来なら公爵と言えども男爵の私有地の発掘許可は簡単には出せないものだが、バロア男爵は昨夜リスル少佐たちが王宮に連行していたから、もしかしたら領地や男爵邸も没収になるかもしれない。
そうなると、新しい領主が決まるまでの間はあの屋敷も国の管理になって、さらに発掘がしやすくなる可能性が高い。
「やったー! さっそく行ってくるわ!」
アデル教授は資料を抱えて飛び出していった。
どうやら、公爵に直訴するみたいだ。
普通なら公爵に直訴なんて気後れするところだが、アデル教授は目的の為なら手段を選ばない。
「大丈夫なのかー?」
俺は、ユリーに聞いた。
「あとで、お父様に連絡をしておくわ。先日のこともあるから、融通を利かしてくれるんじゃない?」
公爵が黃のオーブで催眠暗示に掛かった時に、アデル教授も解決に協力しているからだろう。
「それなら、大丈夫そうね」
と、エレナ博士。
でも、エレナ博士は何かまだ気になるところがありそうだ。
「どうした?」
俺が聞いた。
「許可が降りたとして、経費をどうするかね」
「あー、経費か」
「車はうちのを使うとして、あとは掘削機をレンタルしたり、すぐ上に男爵邸があるから土台が崩れないように補強したり」
「なんやかんやで最低でも五、六十万ギルは掛かるか」
「レリックが何か出てくれば御の字だけど、何も出てこない遺跡もけっこうあるから」
「俺たちの会社で自主的に発掘なら、何も出てこなかったら赤字というわけだな?」
「発掘権をアデル教授に渡して、うちが依頼として受ける手もあるけど。でも、大学の予算は少ないみたいだから、依頼料はあまり期待できないし」
「そういえば、もし依頼で新しい遺跡を発掘する場合は、本来はいくら貰うんだ?」
俺も、新規の遺跡の発掘は初めてだ。
俺がレリック・ハンターになった頃は、新規の遺跡の発見なんてもう無かった。
「依頼料としてもらうなら、一億ギルが相場ね。それに加えて、かかった日数分の経費が上乗せされるわ」
「え? 一億!?」
「多くの未発掘の遺跡は、侵入者を防ぐトラップがあるのは知ってるでしょ。だから、それで過去には多くのレリック・ハンターが重軽傷を負ったからね」
「なるほど」
「今は出てきた半分を国に収めないといけないから、もし発掘品で受け取るなら、十分の一というのが相場よ」
「それでも、もし貴重なオーブが出てきたら、十分の一でもべらぼうな金額になるんじゃないか?」
例えば黃のオーブの場合、遺跡の中から二十個発見されたわけだが、その十分の一なら報酬は二個だ。
黃のオーブの過去の取引価格は百億ギルぐらいが相場らしいから、二個なら二百億ギルになるわけだ。
そして、銀のオーブは過去に五百億ぐらいで取引されていたらしい。
なかなかオークションなどに出てこないが、先日オート・シールドの機能が確認されているから、さらに値段が跳ね上がるかもしれない。
「もしオーブならね」
「そうか。イーサンみたいな、何の役にも立たない魔導人形が出てくるってこともあるか」
俺はそう言いながら、横で聞いているイーサンの方を見てニヤッとした。
「イーサンって私以外にもいたんですね?」
イーサンが返してきた。
「おまえしかいないだろ?」
「私がいかに役に立っているかを、これからすべて申し上げましょうか?」
「いや、いいから」
「それで、アデル教授に一億なんて予算は無いわよね? となると、やはり私たちが主導で発掘になるのかしら」
と、ユリー。
「
すると、エレナ博士の目が光る。
「こうなったら、大学で経費を持ってもらって、もし発掘品がでたら、それもすべて私たちがもらいましょうよ」
「経費も発掘品もなんて、いくらなんでも欲張りすぎだろ」
「ショウくん。ローンが残ってること忘れないでね。それにアデル教授は、新しい遺跡の発見という功績だけで十分満足するにちがいないわ」
「そうだろうか」
翌日、アデル教授から魔道フォンで連絡が来た。拡声モードにして皆で聞く。
「発掘の許可が下りたわよ!」
と、アデル教授が嬉しそうに。
「やったな」「やったじゃない」
俺とユリー。
「経費や発掘品分配はどうする?」
エレナ博士が確認した。
「ふふーん。聞いて驚かないでよ。王様が今回の依頼料を全額持ってくれることになったわ」
「ほんとー!? やったじゃない」
「へー!?」
意外だったので、俺も驚いた。
アデル教授が続ける。
「あなたたち、昨日言っていた怪物の事件とか他にも何かを解決したらしいわね。それで話を聞いた王様が、今回の一連の事件解決のお礼も含め、あなたたちに依頼料を相場通りの全額を出してくれることになったそうよ」
この場合、発掘されたものはすべて王様に収めることになるが、もし何もレリックが出なくても高額の依頼料が入る。
一億ギル、プラス経費だ。
エレナ博士が、それを聞いて胸をなでおろす。
「あーよかった。もし何も発見されなかったら、赤字になるからどうしようと思っていたのよ」
「よかったわね。私はもちろんだけど、あなたたちにとってもいい結果になったわ」
俺たちは早速、発掘の準備を始めることにする。
このところ遺跡の新規発掘は無かったので、穴を掘る重機や測量機器などは手放していた。これらはレンタルで借りなければならない。
それ以外にも、古いランタンの買い替えや携帯食の購入など、準備することは多い。
俺たちは手分けして準備した。
発掘に出発する日の朝になり、アデル教授も加わって俺たちの事務所で出発前の最終の打ち合わせをすることにしていたので、俺はソファでアデル教授がやってくるのを待っていた。
そして打ち合わせのあと、こちらをフロンダーで午後に出発すれば、時差の関係もありプリア・シティには夜に到着する。
フロンダーには船室がいくつかあるので、そこで休んで朝早くに現場に向かう予定だ。
俺が事務所のソファで待っていると、後ろの階段の方から、
「おはよ」
と、アデル教授の声がした。
振り向くと、アデル教授とエレナ博士が、俺たちの事務所の上にある住居の階段から降りてきたところだ。
「あれ? アデル教授、ここに泊ったんだ?」
俺が知らないうちに来ていたみたいだ。
上の居住階には、使っていない部屋が何部屋かある。
先日ユリーが引っ越してきて一部屋使っているが、それでもまだ三部屋ほど空いていた。
それに、この建物は第二空港の横にあるから防音性が高くなっていて、他の部屋で多少騒いでいても聞こえないことが多い。
「今日は、朝早いからね」
すると二人から、俺が苦手なものの匂いがする。
「なんか酒臭くないか?」
俺が聞いた。
エレナ博士が、右手を自分の口に持っていき、自分の息の匂いを嗅いだ。
「あれー? ばれたー? ……夕べ盛り上がっちゃってさー」
なるほど。エレナ博士が、酒の飲み友達を見つけたようだ。
二人の後ろからイーサンもやって来た。
「社長も来れば、面白いものが見れましたのに。昨夜アデル教授が酔っ払って……」
アデル教授が、イーサンの言葉を遮る。
「そこのヒューマノイド。余計なことを言わない様に」
「はい……」
たはは。それにしてもアデル教授は「イーサン」という名前を呼びたがらないな。
でも、アデル教授が酔っ払って何をしたというんだろう? ちょと気になる。
そのあとユリーも上の自分の部屋から降りてきて、事務所のソファに全員が集まった。
エレナ博士が机に資料を広げる。
まずは男爵邸が建っている丘の全景の図面だ。
「この地形からすると、もう少し高い丘だったのを半分ぐらい削って、そこに屋敷を建てたって感じね」
「プリア・シティの南側を一望できるいい場所だったな。あそこに屋敷を建てたくなるのもうなずける」
と、俺。
「でもそのおかげで、今まで遺跡が発見されなかったのよね? これは、幸運ってこと?」
ユリーが聞いた。
疑問形になっているのは、遺跡にはトラップがあるからだろう。
過去にレリック・ハンターたちが何人も死傷しているから、俺たちが発掘するのは果たして幸運と呼べるのかどうか。
「そうよ、幸運よ! 日頃の行いがいいからだわ! これは私たちが発掘する運命だったのよ!」
アデル教授はちょっと興奮気味だ。
次にエレナ博士が、男爵邸の地下の部分を描いた図面を見せる。
「遺跡の入口は、この図面の位置で間違いないと思うわ」
先日撮った写真などを元に、遺跡の入口の場所やその後ろに続く想像図が描いてあった。
入口付近の構造は、どの遺跡でもだいたい同じなのが分かっている。
まず入口が一番上にあって、その後ろには小さな部屋があり、その部屋の奥の扉を開けると下に続く階段が現れる。
「上の建物の配置からすると、男爵邸の建設時に遺跡が壊れて潰れてしまっているということもなさそうだわ」
と、アデル教授。
「それじゃあ、男爵邸の裏庭のこの当たりから下に掘って、十メテルの位置で水平に掘ればいいな」
俺が言った。
「それでいいわ」
「あとは、トラップ対策ね」
エレナ博士がそう言って腕を組んだ。
それを聞いてユリーが聞いた。
「この奥に階段があるんでしょ? 入口のトラップを回避して、扉の向こうに外から直接穴を掘っちゃダメ?」
ユリーは、トラップをできるだけ避けたいのだろう。
「入り口以外の場所は、石が分厚いから穴を開けるの大変ね」
「もしトラップが厄介そうなら、少し時間がかかっても、ユリーの言う通り途中の階段まで穴を掘るのもいいかもしれないな」
俺が言った。
どうせ、トラップの犠牲になるのは俺だろうから。
「一応は学術調査なので、まずは正面から掘って入り口を見てみましょ? それ次第で、後は現場で考えるしかないわね」
アデル教授がまとめた。
そのあと細かいことを打ち合わせしてから昼食を取り、それが終わると俺たちはフロンダーに乗り込んだ。
横穴を掘るための掘削機とショベルカーはすでにトラックに積んで、さらにそれごとフロンダーに積んである。
今回はユリーが増えて人数が多いので、七号遺跡の時に使った探査車も積んでいくことにした。あれがあれば休憩室としても使えるし、車の中の簡易ベッドで寝ることも出来る。
そしてフロンダーの貨物室は、大型の車を四台は積める広さがあるので、まだ余裕だ。
さらに今回は、エレナ博士が過去に発掘された遺跡のトラップを研究して作った、トラップ対策の器具も何種類か積んである。
例えば、扉が開いているのに、閉まっているように見せかける器具などだ。
俺たちは、貨物室で機材の最終チェックをしてから、フロンダーで飛び立った。
フロンダーでプリア・シティに移動中、アデル教授とエレナ博士は船室で爆睡していたようだ。一度も操縦室に姿を見せなかった。
今回ユリーには副操縦席に座ってもらい、ナビゲーターはエレナ博士の代わりにイーサンが担当した。
その後、プリア・シティの空港には予定通り現地の夜に到着したので、俺とユリーも朝までそれぞれ船室で眠ることにした。
明日は午前五時起きで朝食をとり、それから出発の準備をして、トラックと探索車に分乗して男爵邸に向かうことになる。
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