【二十首連作】第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部

夜海ルネ

君は大切な家族

はじめまして パッと笑った 君の顔

 名も知らないけど よく覚えてる


なまえはね…… その発音が 分からなくて

 人間だったら よかったなって


かわいいね 撫でくりまわす 君の手の

 煩わしさに 顔を顰めた


こらオマエ ぼくのおかしを たべただろ

 怒った君が 怖くて逃げた


ごめんねと 切なく君が 微笑んだ

 ボクの方こそと シュンと目を閉じる


いってきます 何やら着替えて 出かけてく

 その黒い服に 僕の存在


オマエなぁ せいふくよごすの やめてくれ

 そうは言っても 寝心地いいし


そこらへんに おくのがわるい ママも言う

 そーだそーだと 鳴いてみせた


あとでねと 君はまた家を 出ていくの?

 寂しいなって 尻尾を揺らす


おにいちゃんは いそがしいのよ ママは言う

 ボクより大事な 用事なのかよ


べんきょうの じゃまをするなと 手を払う

 構ってくれても いいじゃんかよ


こおひいが ぷりんとにかかった 君が言う

 ざまあみろって その場を去った


だいがくに うかったよって 笑う君

 だいがくなんて 知らないし


いえをでる 君はそう言って ボクを撫でる

 ボクのそばから いなくなるの?


どうしたの 君がボクの 名を呼んだ

 あれれどうして ふらふらするな


どうなるの? 君が誰かに そう言った

 ながくはないと 誰かが言った


ニャンタロウ 君は泣きながら そう言った

 ボクの名前は オマエじゃないの?


ニャンタロウ 泣きながら言う 君の目が

 悲しく揺れて ボクも鳴いた


ニャンタロウ ボクはやっと 気づいたよ

 それがボクの名 ひどい名だな


ありがとう 泣きながら撫でる 君の手の

 温もりが好き 今までありがとう

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【二十首連作】第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部 夜海ルネ @yoru_hoshizaki

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