4‐1
わたしは
当の
「……えっとぉ」
わたしは苔むした地面にへたり込んだまま口を開く。
だけど言葉が続かなかった。
なんて話せばいいかわかんないよ。
「味方を信じろとは言ったけど、無茶しろだなんて言ってないぞ」
「ごめんなさい……」
ほんとは『助けてくれてありがとう』ってつけ足すべきなんだと思う。
できっこない。
ふたを開けると
助けてもらえてこんなに嬉しいのに。
「ったく」
わたしは彼の視線を目で追った。
すると、倒れてる不良男子と法務官の男性が視界に入ってきた。
ふたりともおだやかな呼吸をしている。
でも
彼らの近くで両手を後ろについて座ってる毒々しい人のほうだ。
「で、おまえがうるみに無茶させた元凶ってわけだな」
「ハッ、煮るなり焼くなり好きにしろよ」
威勢が感じられるのは口調だけ。
毒々しい人はどっと疲れた様子だった。
「オレはここまでよ。見ろよ女、<
「魔力切れってこと?」
「……言わせんなよ」
「よしとりあえず聞くぞ。おまえは何者だ?」
「
「そんな言い方ないだろ。女がすたるぞ」
言われた本人もびっくりしたようだ。
もう一度口を開くまでしばらくぽかんとしていた。
「……ふざけんなよ。おまえ、オレが女だってわかんのかよ?」
「秒でわかるぞ」
「細かいしぐさに魔力の雰囲気、加えて――っと、その格好にまどわされたら判断に困りそうだな」
「
「なんだうるみ、気づいてなかったのか?」
「しょ、しょうがないじゃんっ」
「人を見かけで判断するな。赤点」
「採点しないでよぉ」
「じゃあ追試」
「悪化した!?」
「ハッ、フフ……」
毒々しい人はまるで毒気を抜かれたかのように笑いだした。
「んだよ、強えやつの味方は見る目からしてとんでもねえのかよ。こんなの勝てるわけねえだろがよ」
「
「ああ」
「なら
「異論はねえよ」
わたしの予想よりも話がスムーズに進んでる。
『煮るなり焼くなり好きにしろよ』なんて言ってたけど本気みたい。
「
「いや、寝ててもらったほうが運びやすい」
「<
「さあてな。あいつのやる気次第だ」
いざ試してみると、木々がかさかさする音の向こう側にリズミカルな遠鳴りが聞こえてくる。
やがてわたしの名前を呼ぶパワフルな女子の声が駆けてきたことで、わたしはその遠鳴りの正体を知った。
確かに彼女なら
「そうだ、<
それとできれば
「うるみ」
「ひゃっ。な、なに?」
「よくやったな」
「ぇ」
「この調子で頑張れよ」
ほめてくれた?
人のことをアホって言いがちな、あの
さりげなく顔をほころばせて――。
「…………うひひ」
<
味方してくれる人にまたこうして、笑いかけてもらえるんだったら。
変なそわそわ感。
じゅくじゅくメンタル魔熟字使いは粛々たらざる塾通い 水白 建人 @misirowo
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