3‐1
でも結果は
レンガの石畳を次々破って出てくる竹の生長スピードに対して、<
わたしなんかは<
すり抜ける効果でどうしろっていうの?
だから結局、わたしと
『よくもちこたえた。あとは我々に任せなさい』
そう言ってくれた
まるで力不足が許せないかのように歯がみしていたから。
今日の竹騒動だけど、日が暮れる頃にはほとんど収束した。
都市中の竹もひととおり片づけられた。
そして夜になった今、セントラリオンの見回りをしているのは警務官庁ってところの職員さんだけじゃない。
万が一の事態に備えてるんだと思う。
オオカミのような太陽もとっくに眠りにつき、
一望するのに
塾生はみんな帰ってるし、気がすむまで眺めていられる。
「ふへぇ。ああいうのはもうこりごりだよ」
お世話になってる
かといって
わたしが元いた世界だと道具次第で気安くできることも、
<
実際、竹騒動では役に立てなかった。
悔しがってた
「変な悩み方。どうせ失敗するじゃん。……なんでかかわっちゃってるんだろう、わたし」
「ここにいたのか」
わたしの背中に声と明かりがかかる。
振り返ると
彼の頭上近くには
「
「こっちのせりふだ。というか一回帰ってる」
「おふくろから『うるみちゃんは一緒じゃないのね』なんて聞かされてな。セントラリオンを探し回ってたんだ」
「おばさんに心配かけちゃったかな」
わたしは
「おれを待ってたならこのとおり仕事はすませたぞ。
「どうしたうるみ? 眠いのか?」
「ぁ、ううん、聞いてるよ」
「ああなるほど。サボりの件なら初犯ってことでおふくろには黙っててやるよ」
「ご、ごめんね……?」
「それじゃ大手を振って帰ろう、な?」
「……
「今度はなんだよ」
「<
「気にしてたのはそっちだったか」
そしてバルコニーの手すりに背中を預けた。
「
「天使さんだなんてっ」
「少しは慣れたかと思ったんだけどな」
「全然だよぉ」
わたしは気晴らしにセントラリオンの夜景をふたたび眺める。
「<
極めないとわたしはいつまでも
「いいかうるみ。一度でも使えた
「それ、授業で聞いたかも」
「確かな事実ってことだ。少しは自信持てよな」
「……
「うん?」
「わたし二年も塾通いしてるのに、<
「悪い、フォローできてなかった」
「まあ<
簡単に言ってくれるなぁ、もう。
「
「可能性なんて」
わたしは気重に答えた。
「見えた気にさせておいて、肝心なところでだましてくるし……信じたくない」
「ずいぶん後ろ向きじゃないか?」
「
「そりゃ言いすぎだ」
「みんながみんな笑うわけないだろ。おれなら絶対に笑ったりしない」
「
「じゃあうるみは笑うのかよ」
「えっ」
「違うだろ? おまえはそんなことで誰かを笑いものにする女じゃない」
わたしは言葉に詰まってしまった。
まるで
いや、過去を見透かしてるかのようだったから。
「不安なら今は可能性を意識しなくたっていい。その代わり、味方を信じろ。どんなときだって助けになるはずだ」
「味方なんて……!」
たったひとりで
家族や親戚とは離ればなれ。
友達にいたっては言うまでもない。
「アホ、おれが見えてないのかよ」
「……
「成り行きで二年も一緒に暮らしてきたわけじゃないぞ。おれはおまえを見定めて、信じられる存在だと思った。だから味方だ」
「ぁ、ぇぅぅ……」
わたしが感動のあまりほろっとしてしまった、そのときだった。
「その心の弱さまでは面倒見きれないけどな。なにも泣くことないだろ?」
「そういう涙じゃないのぉ!」
「じゃあなんだ? 疲れ目?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
「うーん??」
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