歯磨きが長すぎるのに虫歯

 父は、歯磨きがやたら長い。息子の私は、やたら短い。そんな私には定期的に虫歯もあり、歯磨きの質が低ければ虫歯になるという根拠にもすぐに結びつきやすい。父の場合はどうだろう。朝も夜も歯磨きはしている。恐らくどちらも同じ長さだろうが、夜は周りが静かなだけに余計に長さを感じる。

 こんなに歯を磨くなら、さぞかしきれいなのだろうと思うが、全くそうではなかったりする。歯ブラシも、父に握られ、歯に対して非情なまでの圧をかけられる。もう悲鳴を上げるほどだ。父の歯ブラシは決まって、消費期限切れのような様子を呈している。

 歯医者に行くと、歯磨きを教わることがあるが、父のように歯ブラシがたわしとして使われた後のように、扇形に先が広がったりするほど強く磨くことは教わらない。足つぼマッサージの強さに近いと思う。よくテレビで見る足つぼマッサージは、「痛い!痛い!」ってあれだけ言っているのに、ひっこめている足を「逃がすか!」的に追いかけてくる感じで、まだ強く押してくる、あのマッサージのことだ。

 こっちは、金を払ってマッサージを頼みに来てるのに、凝ってるから痛いのとぎゅうぎゅう押されて、痛みを訴え続けるサービスって、どんなサービスだろうか。少なくともサービスというのは、客が「喜ぶもの」「求めるもの」「何かを解決するもの」「それを頂いた後に、ハッピーになれるもの」でなければならない。「凝っている」とか、「内臓が悪いから痛い」という問題を「解決」するための「押し」なのかもしれないけど、大抵、足つぼマッサージの後に、「治った感」を感じることはなく、痛みに翻弄された疲労感に苛まれる。

 メディアも悪い。こぞって健康を売るかのように「足つぼマッサージの効用」を取り上げられる。テレビだと、足つぼマッサージの後に「何か体が軽くなった気がします」とか言わせられているけど、「嘘つけ!」って思う。

 空気清浄機も同じだ。私は慢性的に咳が出る人でなかなか止まらない症状を持っている。私の咳を心配して母が、空気清浄機をネットで購入してくれたことがある。翌日に到着したものを、箱から取り出し、そのままスイッチオン。母は、「空気清浄機をかけていると体が軽くなるから」と言われていたが、全く軽くならない。寧ろ、体重が増え体は重たくなった。

 母が私の家に来ることはめったにないが、空気清浄機を購入してから初めて家に来た時、「やっぱり、空気清浄機しているせいか、体が軽く感じるね。」と言ってきたが、相変わらず体は軽くなっていない。

 購入からしばらくして、部屋を掃除している時に、空気清浄機のフィルターを掃除した。その時気が付いたのだが、フィルターにビニールがかかったままだったのだ。つまり、母は体が軽くなったのではなく、気持ちが軽くなったに過ぎない。 後日、実家を訪れた時にそのことを話したら、母は黙ってキッチンへと姿を消した。空気清浄機の目利きではないことがバレて気まずくなったに違いない。

 話が脱線しかしていないが、今までの話をまとめると、父は歯磨きが長いのに虫歯で通院。歯磨きの長さは、私が小学校の頃からの記憶から50近くになるまでの記憶を総合してのものである。

 

父の行動パターンから学ぶ経営のノウハウ

努力の方向性と効果の重要性

父は非常に長い時間をかけて歯を磨いていたが、その結果が虫歯であることから、努力の方向性や方法が間違っていると効果が出ないということを示しています。これは経営においても同様で、ただ努力するだけでなく、正しい方法や戦略を用いることが重要ということである。


適切なツールと方法の選択

父が歯ブラシを強く握りしめて使うことで、歯ブラシが早く劣化してしまうのは、適切な道具の使い方を知らないからだ。同様に、ビジネスにおいても適切なツールやリソースを正しい方法で使用することが重要となる。適切な方法を学び、実践することが求められる。


顧客満足とサービスの質

足つぼマッサージの例で示されるように、顧客が求めるものや喜ぶものを提供することが重要である。痛みを訴える顧客に対してさらに強く押すことは、良いサービスとは言えない。経営においても、顧客のニーズや期待に応えるサービスや製品を提供することが成功の鍵となる。


真の効果を測定することの重要性

空気清浄機の例では、フィルターがビニールで覆われているために実際には効果が出ていないことが判明した。これは、表面的な結果や効果ではなく、真の効果を測定し、それに基づいて改善を行うことの重要性を示している。ビジネスにおいても、実際のデータやフィードバックに基づいて効果を評価し、必要に応じて改善を行うことが必要である。


客観的な視点とフィードバックの受け入れ

父の行動や足つぼマッサージ、空気清浄機の例から、自己満足や誤った信念に基づく行動が問題を引き起こすことがわかる。経営者として、客観的な視点を持ち、フィードバックを受け入れて改善する姿勢が求められる。


父の歯磨きに関する行動パターンから、正しい方法と方向性の重要性、適切なツールの選択、顧客満足の追求、真の効果の測定、客観的な視点の維持が経営のノウハウとして学ぶことができたのは、この上ない喜びである。これらを実践することで、ビジネスの成功と持続的な成長を目指すことができと確信している。貴重な教えをありがとう。

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