第3話 第三層 VS魔狼

 今日はアルスたちが昨日に引き続き第一ダンジョンの第三層に挑む日だ。


 そのため2人は第一ダンジョンに向かっている最中だったが


(視線を感じる...)


 2人は周りの人たちからチラチラと見られていた。


「ソフィ、俺たちなんか見られてない?」


 アルスがどうにも我慢できずつぶやきの様に漏らす。


「そうみたいだね」


「だねって、気にならないの?」


「全然、昨日の配信の影響だろうね、アルはヒューマンで可愛いし期待されてるから」


 ソフィエルは指でアルスのほっぺたをつつきながらそんなことを言う。


 ソフィエルのいう通りこの世界でヒューマンは可愛がられる傾向にある。ヒューマンは可愛らしい見た目とされており基本的に性格が良いので、受付や使用人として雇われていたり、嫌な話奴隷として最も人気のある種族とされている。


「人の兄ちゃん頑張れよー」


 いきなり男の竜人族に手を振られながら応援されたアルスは目を丸くする。


「俺ってそんな応援されてるんだ...」


「だから言ったでしょ」


 天空族の村から出たことがなかったアルスは外の世界でヒューマン族がどのような扱いをされているか知らなかったため、第二層でホーンラビットを倒しただけでここまでの応援をされると思っていなかったのであろう。


「よしっ!今日は魔狼10匹以上倒してやる!」


 やる気に満ち溢れたアルスを見てため息を吐くソフィエルであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「魔狼は力強いから正面から攻撃受けないでね?分かった?」


「はいはい...」


 ダンジョンに入ったあとだというのに未だにくどくどと説明を受け少しテンションが下がるアルス。


 そう話しているとついに初めての魔狼が姿を現した。


「きたっ」


 魔狼に対し剣を構え迎撃体制をとる。そんなやる気のアルスを見た魔狼が飛びかかるが


「え?」


 目の前で爆ぜた。


 後ろのソファエルから放たれた火魔法によって魔狼は消し飛ばされたのだ。魔狼との初戦闘は事構えることすらなく一瞬にして終わったのだ。


「なんで手出したんだよ」


 後ろを振り向きながらジト目でソフィエルの方を向くアルス。


「あのままじゃ無理だった、アルの力じゃ受けきれない」


 邪魔されたと思っていたが実は助けられていたことに気づき少し不貞腐れる。

 

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