とろぐらむ/チェック柄とドッド柄の缶 ―交響曲第735時数学の線―

昼下がりの数学 

チャイムと先生が

扉のカーテンを開けて始まる

 

始めまりの挨拶で

指揮者と楽器たちが挨拶する


プリントの楽譜を開き、

指揮者がタクトを振る。


この楽譜の主人公は、

xとYのダブルヒーローだ。


丸括弧の敵と

上付き文字の武器で戦う。

イコールが答えで彼らの心で

結果なのである。


私達は楽器 


指揮者がストーリー的に

合ってる答えを映し出す

音程があってる楽器は

赤いリボンを、

音程が間違ってる楽器は

直そうとする。


指揮者と彼の楽譜は

楽器たちに

全く同じシナリオにする。

違うシナリオにすると、

彼の青いタクトが

強制的に修正させようと、

音程があっている楽器も

集まって問題を修正する。


ただ一つの道を

ずっと演奏させられる。

音だって乱れていいじゃないか。

高校生になっても変わらずに

この曲を演奏してる。

別の曲を弾きたいと思った


別の曲を弾けば?


まぁまぁ、

そんなに怒らないで

落ち着いて

それはとても難しいのだ。


楽譜のお陰で、

この世界は成り立つ。


この楽譜が好きな人も

いるかもしれない。


だから、

私はカーテンの後ろに隠れて

こっそり別のことする。


カーテンと透明の仮面の

向こうには青空が広がる



私は楽譜にペンで絵描く、

お規則お正しく並んだ線は

信号無視しましょう

それが楽しむための魔法だ。


私が持っているペンは

黒と赤と青しかない


それだけでも十分だ。


三色で彩られた

信号無視な楽譜


何も縛られない 

自由に飛ぶ幸せの音


私は夢中で絵筆で

大好きな空を描き続けた。


好きな形 好きな服

好きな瞳 好きな髪

好きな体 好きな物


好きをいっぱい楽譜に

音とともに生まれた。 


だけど、

こんなにも信号無視な楽譜

指揮者に見つかったら大変だ


大好きな空を守るため

指揮者の緑の背に書かれた

文字と青のペンの線で

ヒミツのカーテンを紡いだ。


指揮者が書いた白い文字は

固くて紡ぐのが大変だ。

いちいち長くて

セットするのも大変だ。


指揮者が書いた文字だけでは

うまく隠せないし

可愛さもない。

だから

青いリボンでうまく隠す。


指揮者は何故か

上空からも監視する

こちらも楽譜のうえから

やっと紡ぎ終えた

カーテンを閉じて隠す。


これは指揮者と私の勝負だ。


私はペンと定規と消しゴム

それにペンの弾丸を、

大好きな空を守るために。


私は指揮者が生む文字を

定規でカットして

ペンで紡いで

消しゴムでカーテンの

ほつれているところを治す。


真面目に演奏しながらも

カーテンを作る


非常に猫どころか、

セールスマンの手も

借りたいような……

借りたくないような気もする。


そして紡いでいくと…

回って時を示すハトが

ベルを鳴らしてくれた。


つまり、フィナーレである。


勝利のフィナーレ


私は指揮者の交響曲から

大好きな空を……!

守ることができた


帰還したときの空は

大好きな空の色だ。

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