笑顔
紗希は、遠慮深い。
遠慮深い紗希のことだから新しい服が欲しくてもオレに訴えかけては来ない。
やっぱり小学生と中学生じゃ服装かわってくるよね。
だから今度の週末に洋服を買いに行こうと誘ってみた。
勉強をしていた紗希の部屋をノックした。
紗希から明るい返事が返ってきた。
紗希の部屋は、なんだかとても落ち着いた別世界のように感じるのはオレだけなのだろうか…
…
「紗希、今度の週末紗希の新しい洋服買いに行こう。」
すると紗希は、
「洋服よりも中身が大事。それにお金かけなくてもかわいくみえる方法があるっておかあさんから教わっていたので。」
と紗希は持っていたペンをゆっくり置いて、オレに優しくにっこりと微笑んだ。
ドキッ
オレは紗希のなんとも言えない笑顔に心を奪われた。
え、なんだよ…その笑顔反則だろうよってドキドキしていると、紗希がオレを覗き込んだ。
「どうしたのですか?おにいちゃん?」
…
「え、あぁ…うん。大丈夫。てか、お金をかけなくても可愛くなる方法ってなに?」
まさか、いもうとにドキドキしてしまったなんて言えないから慌てて話をふった。
すると紗希は、一瞬遠くを見つめたかと思うとオレの目をじっと見て、
「笑顔です」
と、またも抜群に心を打ち抜く笑顔をオレに向けてきた。
うっっ…
笑顔の破壊力…半端ねー
…
確かにどんなにおしゃれしてても顔が沈んでいたら台無しだ。
紗希の恐るべし破壊力でオレの心はもう…もうさ…ヤバいよね。
そんな紗希の笑顔で納得する単純なオレ。
「なるほどなー。でも、ほんとに欲しいものとかあったら我慢しないでいいなよ?」
と、紗希の目を見ながらいうと紗希は
「はい、ありがとうございます。今のところは大丈夫です。」
と嬉しそうにオレをみた。
紗希がかわいい…
知れば知るほど紗希は、天使みたいだ。
はぁ…
なんか…最近さ…
最近オレはどうかしている。
いもうとをみてドキドキするとか…オレヤバいやつじゃん…。
…
紗希がどんどん可愛く見えてきちゃってるのってなんなん?
怪奇現象なん?
…
「紗希…さぁ、あー…やっぱりなんでもないわ」
「え?なんですか?気になるんですけど?」
…
なんか女の子って彼氏できると、どんどん可愛くなるって聞いたことあるんだよね。
まさか…彼氏できたのかな…?
でも…そんなこと聞けるわけないっしょ…
でも気になる…
紗希は、オレがよく笑うように心がけていたら、あまり紗希もひとりで塞ぎ込んだり泣いたりしていないように思う。
というか…むしろよく笑うんだよな。
やっぱり彼氏効果…?
「あのさ、紗希は…その…あれだな…うん…あれだ」
…
「どれですか?」
「あれだよ。あのー…料理上手」
「え、いまさらですね」
「あー、なんか急に思ってさ」
「そうですか。ありがとうございます」
「うん。いい奥さんになるよ」
「えっ⁉︎それって…プロポーズ…ですか?」
⁉︎
「えや…、あんのー…いもうとにプロポーズは、ないだろ…」
と、慌てて答えたんだけど…思わず、えやって言ってしまった。
…オレどんだけ動揺するんだよ。
「そうですか…ですね。」
と少し寂しそうな紗希。
「あの、いや…嫌いとか結婚したくないとかじゃなくて…いもうとだし…家族だし…やっぱりさ……ね?なんかほら………あ!オレ配信しなきゃだ、、、」
と慌てて部屋へと戻った。
イヤイヤ、紗希があんなにがっかりするから…オレテンパっちゃったじゃん。
なんなんだよ
オレ…最近どうかしてるわ…
…
がっかりされるってことは…もしかしてこれって…ミャクあり…ですかね?ってそんなわけあるはずないんだよね。
てかさーー…
いもうとだからね?
オレの大切な家族‼︎
そんな大切な家族を一人の女性としてみてるとかって…紗希が知ったら絶対キモい‼︎ってなるやつじゃん…。
あー、もう、オレのバカバカ‼︎
配信しながら人の人生相談とかしてる場合じゃなくね⁉︎
なんならオレが誰かに相談したいくらいじゃね⁉︎
いもうとが…義理のいもうとがかわいくてヤバいんですけどってさ…。
誰かこのキモい気持ちを鈍器で殴ってかち割って、海にドボンしてくださいって感じだ。
…
でも、ほんとどうしよう…
オレの脳みそが暴走して、紗希を押し倒しちゃったら…どうしよう…。
…
いや、ダメだ‼︎
そんなことしたら紗希の居場所がなくなってしまう‼︎
オレの大切ないもうと…
だからオレは絶対に紗希を幸せにしなきゃだめなんだ‼︎
と、自分に喝をいれた今日この頃なのであります。
続く。
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