笑い
後先考えないでとったオレの行動。
…
いきなり小学生の義妹との生活がスタートした。
…
どうすりゃいいんだ…
…
高校生と小学生…
とにかくオレにはお金はある。
でも…そんなのいつかそこを尽きる。
じゃあ、やっぱり稼がないといけないわけなんだけど…小学生を家にひとりにするわけにもいかない。
だからって、バイト先に連れていくのも…
…やっぱりあれか…
家にいながら稼げるってなると配信者とかかな。
でも…どうやるんだよ…。
いつもみる側だったからなんとなくは、わかるけど…うまくできるかな。
…まぁ、やるしかないか。
とにかくオレができるとこって限れてるからな…
あーもっと勉強して大学入って資格とって…とかしたらきっと将来安泰だったんだろうな。
でも、そんなこと考えても今現在ただの高校生は、大したことできないからな。
勉強してこなかったけどゲームはしていて、なんとかよかったわ。
ひとりゲームをしながら配信した。
ひとりで小言みたいに喋ってとにかくみている人が一緒にゲームしている感覚になるように楽しくやった。
何かゲットしたら、ほんとにゲットしたかのように喜んだ。
はじめは、ぽつりぽつりの登録者。
でも、一日一日と毎日根気強く配信していると中毒性があるのか、配信を楽しみにしていまーすという声がぽつりぽつりきこえるようになった。
学校に行っている間は配信できないけど、休みの日は撮り溜めをしている。
ご飯とかは、一応オレが作っているんだけど…家庭科で調理したいがいは、あまり料理してこなかったから大したものは作れないけど。
なんなら、紗希のほうがお手伝いすると言って手伝ってくれるんだが…手際がいいように思う。
休みの日、昼ごはんも終わって配信休憩のため、台所で小腹を満たす何かを物色していると、台所の隅で紗希が携帯をみているようだった。
「これなら自分で作れるかな…?おかあさん…ひとりでピーラーってやつならつかっていいよね?包丁じゃないし…いいよね?」
と亡き母の写真に向かって話しかけていた。
「なに…してんの?」
ビクっ
オレの声にビックリした紗希は、ゴシゴシと目の辺りをふいてこっちを向いた。
「あ、ううん。虫…虫さんがいたから…見てただけ…です。」
と言った。
…
話…聞こえちゃってたし…てか、泣いてたんだ…?
そうだよな…。
紗希は、しっかりしてるけどまだ小学生なんだもんな。
寂しいよな。
「あのさ、晩御飯なんだけど…運ぶだけじゃなくて今日は、一緒につくる?」
と恐る恐る聞いてみると紗希は、
「えっ?いいの⁉︎やったぁ‼︎」
とバンザイをした。
「ふっ」
オレは思わず紗希の無邪気な笑顔に顔が綻んでしまった。
「あ、おにいちゃんが笑った」
…
あぁ、オレ紗希に言われて気づいたけど…ゲーム配信意外で久々に笑ったかもしれない。
それも心から…
それからは、なるべく紗希の前では笑うように心がけた。
そしたら、紗希もひとりで泣くことも減るんじゃないかって思ったからさ。
で、オレは紗希と料理してわかったことがある。
紗希は、料理がめっちゃ上手だったのだ。
オレは今まで家にほとんどいなかったからわからなかったのだけれど、紗希はよく料理のお手伝いをしていたらしい。
どうやらオレの父ちゃんが紗希の料理を褒めたことで嬉しくて今まで以上に頑張っていたんだとか。
紗希が幼い頃いなくなったパパには、おままごとで作ったお料理しか作ってあげられなかったから、おとうさんには本物が作れて嬉しかったと教えてくれた。
パパとは、本当の紗希のお父さんだ。
料理が完成して、並んで夕飯を食べた。
そういえば、紗希のほんとのおとうさんって…なんでいないんだろう。
そんなこと聞いたことなかったな。
「いまさらだけど…紗希のパパは…もうこの世にいない…のかな?」
オレの言葉に紗希は、コトリとスプーンを置いて、
「うん。お病気で…」
と俯いた。
「あーわりい。ほら冷めちゃうから食べようか。」
とスプーンを渡すとまた無邪気な顔で美味しそうにスープを頬張っていた。
紗希は、強いんだな。
…いや、強いんじゃなくて必死に試練を乗り越えているのかもしれない。
そんな紗希をオレはもっと守ってやらなきゃと改めて強くおもった。
続く。
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