どうやらリアルおままごと拒否したせいで神様に見放された模様です

猫の集会

いきなりの展開

 オレの名前は、藤也とうや

 

 

 中学二年生だ。

 

 

 そんな思春期を間もなく迎えるってときに父ちゃんが新しい家族を迎え入れた。

 

 …

 

 うぜえ

 

 

 なんで今なんだよって父ちゃんに聞くと、もうすぐオレが受験だから、その前にと思って…とかなんとかほざいていた。

 

 

 オレが受験だからなんだよ⁉︎

 なんかそれって、めっちゃプレッシャーなんっすけど。

 

 

 圧をかけられてる?

 

 

 …やっぱうぜえ

 

 

 まぁ、どうせ受験なんて適当にやるし。ってか、別にどこの高校行ってもやりたいこととかなんもねーし。

 

 

 

 とりあえず適当に暮らし、ほとんど勉強もせずにオレは誰でも入れるような高校に進学した。

 

 

 そしてあまり家にいつかないようになっていった。

 

 

 だって…めっちゃうぜーんだもん。

 家族ごっこみたいなやつ。

 

 てか、アレは…リアルおままごと…。

 

 

 なんで高校生になっていまさら家族ごっこなんかしなきゃならねーんだよ。

 

 

 知らないおかあさんと名乗る役の人から毎日気を遣われて、なんならそいつのつれ子とやらもいて、妹役みたいなやついるし…

 

 

 オレが息子役と兄役やるなんてアホくせー。

 

 

 だから家にいたくない。

 

 てか…居場所なんかねーし。

 

 

 

 本当の母親は、病気でとっくに他界している。

 

 だから新しいおかあさんが来るってきいてどんなもんかと思ったけど…めっちゃ楽しくない。

 

 

 家って…普通落ち着く場所なんじゃねーの?

 

 

 やることもないし高校入ってからは、だちとつるんで夜遊びとかしてたんだけど…なんか金もないし、遊ぶのも飽きたしバイトを始めることにした。

 

 

 バイトが始まると、とりあえず金は貯まる。

 

 でも使い道もないし、とにかく学校の他はバイト金バイト金みたいなエンドレスだった。

 

 

 

 そんなある日…

 

 

 いきなりオレのバイト先に義妹の紗希さきとやらが青い顔をしてオレの元へやってきた。

 

 

「あのっ、おにいちゃん‼︎おとうさんとおかあさんがっ…病院にっ…それで…っ」

 

 

 妹役の紗希は、目にたくさんの涙を溜めてオレに訴えかけてきた。

 

 

 その様子を見ていた店長がとにかく病院へ行きなさいと促してくれたのでオレたちは、急いで病院へと向かった。

 

 

 

 …

 

 

 両親は、事故でこの世を去った。

 

 

 

 …

 

 

 

 なんでもない毎日から離脱した気分だった。

 

 

 バチがあたったのかもしれない。

 

 

 せっかく神様が新しい家族を用意してくれたのに…オレは家族ごっこを拒否した。

 

 

 だから、家族ごっこは終了と神様に言われたような気がした。

 

 

 …

 

 

 

 当たり前の毎日がいきなり終わった。

 

 

 オレの隣では、必死に涙を堪える紗希がいた。

 

 

「泣けばいいじゃん」

 

 オレの言葉に紗希は、

「えっ…でも…おかあさんがあんまり泣いてると大人になれないって…だから…だから…」

 と、必死に堪えていた。

「さっきも泣いてたじゃん。それに今は別だろ?泣きたいときに思いっきり泣けばいいんだよ」

 と言ってやると紗希は、

 ポロポロ涙を流して泣いた。

 

 

 

 …

 

 

 オレは泣かなかった。

 

 

 

 母親が亡くなったときに、たくさん泣いて泣きまくって…オレはその後感情に蓋をしたんだ。

 

 あんまり人と関わると別れが辛いから…だからもうあんなおもいしたくないからって…みんなから距離をとることを無意識にしていたのかもしれない。

 

 

 

 それからバタバタと葬儀がとり行われて、親戚たちがオレたちをどうするかって話し合っていた。

 

 

 …

 

 

 あーあ。早く大人になりてー…。

 自分の居場所ってどこなんだよーー……

 

 

 …

 

 

 オレは親戚の叔父さんにうちにおいでと言われたがお断りした。

 

 そして家に残ることにした。

 

 

 紗希は、まだ小学生だから当然あちらの親戚と暮らすのだろう。

 

 

 

 そう思っていると…やっぱり大きな荷物をまとめている紗希。

 

 

「おまえの親戚どの辺に住んでるの?」

「遠いところです。」

「じゃ、転校するんだ?」

「はい。」

「そっか。で、何県?」

「県と言いますか…インドっていうところです」

 

 

 ⁉︎

 

「インド⁉︎」

 

「はい。あ、一緒に行きますか?」

「いや、いかねーし。ってかインドって…なんかすげーな。」

「はい。でも、ほんとは…インドよりもここにいたかったです。やっとお友達もできたのに。」

 

 

 …

 

「あー…」

「でも、大丈夫です。心の中におとうさんとおかあさんたちいます。それじゃあ、おにいちゃんもお元気で。」

 

 荷物を持って出て行こうとする紗希の腕をオレは咄嗟に掴んでいた。

 

 

「オレは?」

「え?」

「オレは心の中にいないんだ?」

「はい。すぐ隣に居ますから。」

 

 …

 

 そう…なんだ。

 

 

「なるほどね。」

 

「あの、カレーおくりますね。インドから」

 

 

 …

 

「そんなのおくらなくていい。てか、転校したくないならここに残れば?」

 と、オレはいつのまにかそんな言葉を発していた。

 

「えっ?いいの⁉︎ここに居てもいいのっ?」

 

 紗希は、感情が抑えられないとき敬語からタメ口になる。

 

 あまりの無邪気さにオレは、後先考えずに

「あぁ、いいよ」

 と返事をしてしまった。

 

 

 何してるんだ…オレは…

 

 …

 

 でも、なんだか放っておけないって思っちゃったんだよね。

 

 

 …

 

 

 

 続く。

 

 

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