第16話 これもアナタのためなのよ……
「ニコちゃん?そんなんじゃ、高校でやっていけないわよ?」
「ひ、ひぇぇ……」
最近、ドロシー様が少し厳しくなった。
中等学校を卒業したニコお嬢様は、高等学校に入学を予定している。
学校場所としては、馬車で通うには中々しんどそうで、『とても離れている』とまでは言えないが、屋敷から毎日通うことはできないんだろうな。と思うような位置関係にある。
だからお嬢様は、学校では寮生活を送るらしい。
これまでは毎日屋敷に帰ってきていたが、その生活はもうすぐ終わりを告げる。
何かあっても、ドロシー様が助けてくれる訳ではない。
ならばこそ、目の届かなくなる娘を思い、今のうちに教育しておこう。という、気持ちなのだろうか?
多忙なドロシー様が、時間を捻出してまでも。自らお嬢様に教鞭を振るっていた。
「きゅ、休憩っ!休憩を、求めるっ!」
「却下します」
「っ……!」
助けを求めるような目で俺を見つめるお嬢様。
しかし…………
『シモンくん、これはニコちゃんにとって大事なことなの……。成績が悪いと私達親子が一緒に居られないかもしれないの、……だから心を鬼にする。アナタも、協力してくれるよね?』
昨日キンタマをしゃぶられながら、ドロシー様に脅されているんだ。子孫を人質に取られたら、流石にノーとは言えない。
お嬢様、ごめんなさい……。
俺は、スッと明後日の方角を向いた。
「そ、そんな…………」
「さ!、引き続き魔法学から始めるわよ。無詠唱ができないと実践じゃ使えませんからね。できるまでご飯あげないから」
「ひ、酷いよママ!無詠唱なんて、一日で出来ることじゃないよっ!」
「『できない』は嘘つきの言葉よ。良い?可能性にゼロはあり得ないの。つまりは全ての事柄は可能、ということよ」
中々、ひどい理屈だとは思う。
……でもドロシー様に魔法教わった俺からすると、確かに一日で無詠唱ができてしまったから異論は唱えられない。
無理ですよ、なんて言ってニコお嬢様に限界を作りたくないしなぁ。
「……ま、ママの馬鹿ぁっ!」
結局その日は、半ベソをかきながら授業を受けていた。
でも、日が沈む頃に無詠唱は習得できたようで。
3人で食卓を囲む中、お嬢様はドロシー様を睨みながら、俺が口に運ぶスプーンに食いついていた。
「もう、明日はやんないからねっ!!!後、こんだけ頑張ったんだから、夜のシモンはボクのもんだかんねっ!」
固く固く、願いを叫ぶお嬢様。
しかしながら。
当然のように、明日も授業は始まって。
お嬢様は泣きながら、毎日授業を受けて。
俺は毎晩、ドロシー様に抱かれていた。
◇
「良いんですか……?お嬢様も、そろそろ限界なのでは?」
「……シモンくんも、私が悪いって言いたいのぉ?」
頬を膨らませ、プクーとむくれるドロシー様。
こうしていると、やっぱり年上に見えない。
可愛いなぁ。
モチモチの頬をツンツンと軽く突っついた。
「いえ、理由があるのは分かってますよ。ただ、そろそろ飴をやらないとお嬢様が暴れ出すじゃないかな、と」
お嬢様は、褒めて伸ばすタイプ、ではない。
叱られたり、厳しくしたほうが成長することは、ここ数日の成果が物語っている。
だが、人は正しいからといって、それに従えるとは限らない。
嫌いだけど体に良い物。だけを食べて、生きることは現実的に難しい。
たまには好物を食べないと、心が保たないのだ。
ならばこそ、飴。ご褒美か、もしくは休養日を作ってあげたほうが良いのではないか?
とは、思っている。
そんな懸念を伝えると、彼女はどこか寂しげにポツリと呟いた。
「……あの子ね。学校にシモンくんを連れて来たい、連れていけないなら、勉強はもうしないって言ってるんだ…………」
「あー、それっぽいこと言ってましたね。……でも、俺には屋敷の仕事があるから。学校にまでついていくのは流石に無理ですよね」
お嬢様のお付き。
という仕事ではあるものの、あくまでドロシー様からの貸与のような扱いであるし。
ドロシー様次第にはなるが、ご主人様が俺を求めるならば。お嬢様と一緒に学校に行くことはできないだろう。
「…………正直ね、迷ってるの。そりゃ、シモンくんに居てほしいけど……。これから忙しくなるから毎日シモンくんを呼べないし。ニコちゃんが勉強しないのも困るしぃ……」
それは、少し意外な言葉だった。
光栄なことに俺はドロシー様に気に入られていて。
彼女はプレイ時間捻出のため、文字通り死ぬほど働いていた。だから、ニコお嬢様についていくことまでは許さないかな、と思っていたのだが……。
「……ドロシー様はどうしたいんですか?理想でもいいので、教えてほしいです」
「……理想を言えば、ニコちゃんが真面目に勉強してくれて、それで、……シモンくんと、たまには遊びたい。でも、学校って片道8時間は掛かるから、両立するのは厳しそうでね……」
彼女の理想。
ニコお嬢様にやる気を出させつつ。
その上で、この関係を維持したい。という訳か。
ふむ…………。
「なら、俺はニコお嬢様について行って。週2回の学校の休日に屋敷に戻って来る、というのは如何でしょう?」
「ええっ!?いや、それじゃ、シモンくん本当に自由な時間なくなっちゃうわよ……?休日は好きなことをする日、なんだから、それは駄目よ……」
ナイスアイディアと思ったのだが、叱られてしまった。……うーん、しかしなぁ。
「ドロシー様、でもね。……休日は好きなことをするって言うんなら。俺はまた、ドロシー様を抱きに行くと思うんです。好きだから、それをやってるんです。……それでも、駄目ですか?」
俺はもう彼女の味を知っている。
彼女との行為が日常であるし、それがなくなって困るのは俺も同じ。
なくなるなんて、耐えられないのだ。
だから、ドロシー様さえ良いのなら。
きっと、彼女を抱きに行く。
「えっ……?」
「駄目、ですか……?」
もし学校に行ったとして、屋敷から片道8時間かかるとして。一体、それがなんだというのだ。
たった8時間でドロシー様を抱けるならば、喜んで行くさ。
それに勝るものなんて、今の俺には思いつかない。
熱く熱く、思いを込めて、彼女の瞳を見つめた。
「…………もう、本当、シモンくんったら、私を喜ばせるのが上手なんだから……」
「あー熱い熱い」なんて呟く、彼女の顔は真っ赤。
耳まで赤く染めながら、手で顔を仰いでいる。
「なら、好きにしなさいよ……休日までは口出しできないから。シモンくんがそうしたいってんなら、私には止められないんだから……」
彼女は意外と分かりやすい。
ドロシー様は、興奮すると汗をかくのだ。
また、額にはしっとりと汗がながれ、長い金髪を貼り付けている。
短く呼吸を繰り返す彼女は、ベッドに座る俺の後ろに回り耳元で甘く囁いた。
「でも、わざわざ休日に来てくれたなら……
いっっっっっぱい、奉仕、してあげるね♡」
ちゅっ
汗が滴る彼女の顔が、俺の頬にぶつかり。
瞬間、俺の顔面も彼女の汗でしっとりと濡れた。
「じゃあご主人様、今日は、何をご所望ですか?」
「……獣みたいに、交尾しよっ♡」
お互いの服を脱ぎ終わるのに、10秒もかからない。
全身ビチャビチャの彼女の身体に後ろを向かせ。
彼女の柔肌に、抱きつくように飛び込んだ。
…………
……………
「産むっ!産むからっ!もう、産んでいいからっ!だから、出してっっっっ!!!」
今日のドロシー様は一段とプレイに熱が入っていた。リップサービスがすぎますよ、ご主人様。
でも、後で避妊魔法かけるんだろうから、俺も彼女のプレイに乗ってあげた。
「ドロシーっ!孕めっ!!!」
「あああっっっ♡♡♡」
俺はただ、獣のように。
真っ白な彼女のキャンパスに、白い絵の具を塗り続けた。
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