第9話 昨日までの自分に、ごめんなさい



「も、申し訳ございませんでした……!」



 全裸姿の女性は、見慣れたと思っていたが。

 全裸で土下座をするところを見たのは、生まれて初めてかもしれない。



「……いいって、風呂の件忘れてたんだろ?」



 隙を見て、脱衣所から連れ出したジニー。

 いつ人が来てもおかしくなかったので、服を着せる余裕もなく。

 バスタオルで身体を巻いて、二人で廊下を駆け抜けた。

 空き部屋に入るまで誰にも会わなかったのは幸運としか言いようがない。


 バレなくて良かったよ。

 俺含め、色々と問題になるだろうしな。


 しかし、安堵して笑う俺とは裏腹にジニーは謝罪しっぱなしだ。

 巻いていたタオルもはだけ、現在は全裸になっているが、気にした様子もなく頭を下げている。



「は、はい……!すみませんっ……!!!……し、しかも先輩の。先輩にっ、あんなことまで……!」


「別に、俺は気にしてないよ。まあ他の人は怒るかもしれないけど」



 ここは貞操観念が逆転した世界。


 自分が逆の立場で考えたならば。

 目と鼻の先に女性の裸がある状況。それに耐えられるだろうか?

 特に、免疫のない童貞時代ならば?性欲の強い年頃だったなら?非現実的な状況で混乱していたら?


 俺がジニーの立場なら、同じことをやらないとは言い難い。

 だから、いいのだ。俺の場合は。



「い、いえ。それでは納得できません、どうか私を叱るか、なにか罰を与えてくれませんか……?」


「いや、だからいいって」



 個人的には、可愛い女の子の裸も見れてハッピーだったので全然オッケーなのだが。

 ジニー的には自分を許せていないのか、それでは納得出来ないようだ。

 頭を下げたまま、虚空に呟くように彼女は続けた。

 




「……私、真面目だけが取り柄だったんです。間違って風呂場に入ってしまったことも、先輩にあんなことしたことも。どちらもちゃんと真面目に生きていれば、防げたハズなんです……。なのに、なのにこんな美味しい思いだけして、お咎めなしだったら、私、またやってしまいそうで……」




「お願いします!私を罰して下さいっ!」





 ゴン。と頭を打ち付けるような音が部屋に響いた。

 痛いだろ、それ……。


 慌てて彼女の肩を掴み、起き上がらせる。



「や、やめなさい。分かった、分かったから……」


「うぅっ……」



 顔を上げた彼女は、ポロポロと泣いていた。

 この状態の少女に、罰しろというのか……。

 しかし、罰か。うーん、やったことないな。



 ……いや、待てよ。

 あれは確かドロシー様とのプレイの時のこと。


 ドジっ娘メイド、ドロシーちゃんがお皿を割ったとき、罰としてなんかやったなぁ。

 あの時は、確か……。



「じゃあ、ジニー。これから罰を与えます。立ちなさい」


「はい……」



 フラフラと、彼女は立ち上がる。

 その顔は苦しげだが、先ほどまでと比べると、いくぶんかスッキリした顔をしていた。



「そこの壁に手をついて、尻を出しなさい……」


「はい、………………んっ?いや、まさか…………まさかね」



 壁に手をつき、尻を突き出すジニー。

 細身ながらも、ぷりんと肉のついた尻。

 俺は、それに右手を添え。



 大きく、振りかぶった。



「い、いや先輩!それじゃ罰には!」







 パチンッ!




「ぴゃああぁぁぁっ♡」




 パチンっ!パチンっ!




「あああぁっっっ♡ひぃぃん♡」




 パチンっ!パチンっ!パチンっ!




「ひいいぃぃぃぃっっっ♡」





 …………。

 …………………。

 …………………………。






「ふぅ、どうだこんなもので?」


「…………あは♡あはははははっ♡」



 ジニーは、全身から汁という汁を噴き出し、泣きながら笑っていた。

 その顔はどこか狂気的で。

 このまま続けることを躊躇させた。

 もう、良いよな。十分彼女は罰されたよ。


 もう、いいだろう……?



「……なに、言ってるんですか?」


「えっ?」




「こんなのじゃ、全然足りませんよぉ♡ほらぁ、もっと私を罰して下さいっ♡もっと♡もっと♡」


「えぇ…………」



 この上なく、彼女を罰したつもりだったのだが、まだ納得しないようだ。

 フリフリと誘うように、尻を振る彼女。


 彼女の尻は、もう赤い紅葉だらけだ。

 痛々しくて、これ以上はなぁ。


 ……仕方ない、終わったらお尻に治癒魔法使ってやるか。



「じゃあ、またいくぞ」



 パチンッ!



「ひいぃぃぃんっ♡」




 ◇





「もう!シモンくんおっそーい!」


「ごめんなさいっ!仕事が忙しくて……」


「職場体験のガキなんてほっとけばいいのに、も〜、真面目なんだからぁ♡」



 普段はお嬢様のいない間に会っている俺とドロシー様。

 夜間のプレイは中々できないため、お嬢様がスベリアの家に行っている間は、昼に仕事を終わらせて夜に会う。

 そういう手はずであった。

 色々あって、20分遅刻してしまったのだが。


 まさか、一日に2回も放尿されるとはな……。

 掃除に時間がかかってしまった、現代っ子は恐ろしい。



「それで、今日はどうしようか?シモンくんはなにがしたい?」



 今日のプレイは何にする?という問い。

 結構、この質問をされるのだが、ちょっと困るのだよな。

 実際のところ、何したってドロシー様は可愛い。

 スーツだろうと、バニーだろうと、よだれかけだろうと。

 何着ても似合っちゃうのだ。


 でも、何でもいいとか言ったら怒るよなぁ。



「うーん、ドロシー様に合わせますけど。特に希望がないなら……」



 ◇



「パパぁ、お小遣いちょうだぁい♡」



 甘い声がドロシー様の部屋に響く。

 彼女が着ているのは、ニコお嬢様の学校の制服の予備。

 小柄な彼女の服を豊満なドロシー様が着ているものだから、パッツパツだった。

 それが、逆にエロい。



「ああ、それじゃ、3万でいいかな?」


「やったぁ♡今日は、一段とサービスするからね♪」



 懐から財布を取り出し、金貨を3枚渡す。

 これはプレイだが、お金はフリではなく、本当に渡している。

 そのほうが、ドロシー様が喜んでくれるからな。


 彼女の長い耳をコリコリと弄りながら、耳元で囁く。



「今日は、疲れたから癒しておくれ」


「はぁ〜い♡パパにご奉仕しまぁす♡」




 ◇



 一方その頃、ノーヴィ家に来た3人は自室にて。



「シモン様っ♡ああっ♡そこはっ♡違う穴にございますぅ♡」


「ああっ♡あの感触がたまらないっ♡アタシのおヘソ食べてぇっ♡」


「お尻っ♡お尻がジンジン♡ビリビリジンジンっ♡うひひひぃ♡うひいぃぃぃんっ♡」



 お風呂に入ることも忘れ、周りの2人の目も気にせずに。

 ただただ、自分を慰めていた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る