第2話 旦那様には、言えません……
「……それで、なんでここにいるのか教えてもらえるかしら?」
遡ること数年前。
現代日本で暮らしていた筈の、俺、
起きると同時に連行され、今は取調室のようなところで縛られながら座っている。
「えーと、それは、その、すみません。よく分からなくて……」
当然ながら、とてもとても困惑した。
元の世界で下っ端ホテルマンとして働いていた俺。
12時間労働を終え、夜勤明けでグッスリ眠りについたことまでは覚えている。
そこから、目を覚ましたと思えば知らない場所にいて。
そして現在、俺の眼の前には耳の尖った金髪豊満ボディのスーツを着た女性が座っている。
それはファンタジーの世界に存在する、エルフのようで。
思わず、夢やドッキリ、あるいは特殊な風俗を疑ってしまったものだ。
薄々は異世界転移?転移なのか?と思いながらも、即順応できるほど俺の要領は良くない。
状況を整理することもできず、しどろもどろに話してしまう。
彼女はそんな俺を見てハァー……とため息を吐いた。
「もう少し、自分の立場を分かったほうがいいんじゃない?アナタは本来エルフ以外が立ち入れない場所でお昼寝してたのよ?場合によっては殺されてもおかしくないわ」
「美男子の人間が捕まったんだもの、下っ端達の玩具にされるのは目に見えてる。……そんな立場の弱いアナタを性加害から守ってあげるために、特別な配慮をしてあげたのよ?本当のことを喋ってくれても良いんじゃない?」
「は、はあ……」
そんな事言われてもなぁ。
俺はただ寝ていただけだし。
雰囲気から察すると、小説などで度々ある異世界転移をしてしまった可能性はある。
しかし実際に起きてみると、何もかも分からなすぎて実感がない。
何を喋ったら良いかも、何について謝ったら良いかもわからない。
「ハアー……、拷問官に吐くまで犯されるアナタのことを思ってわざわざやってきたっていうのに、これじゃねぇ」
女性は、わざとらしげに手のひらを肩の辺りまで上げるとヤレヤレと振ってみせる。
そんな仕草ですら、どこか可愛らしかった。
「…………別に、拷問官の代わりに私がアナタを犯してあげてもいいのよ?」
「えっ???……どういうことですか?」
犯す???
こんな綺麗な女性が、ブサイクな俺を?
何かの聞き間違いだろうか?そんな訳ないよな。
「んぅ???…………仕方ないわねぇ、じゃあ、もう一度だけ言って上げる。…………もし本当のことを言わないなら。これからアナタの服を剥いで、アナタの乳首を舐め回し、この長い舌でアナタの前立腺を弄って、無理やりチンコを勃起させて、私の経産婦マンコでアナタがボロボロになるまで犯すって言ってるのよ」
「えっ???…………どういうことですか?」
聞こえてはいる。
なんか服を剥ぐとか、犯すとか聞こえた。
でもそんな訳ないだろう、俺の耳がおかしくなったのかもしれない。
いくらここが異世界だからと言って、彼女が俺を犯す理由などないだろう。
「…………そう、アナタはそう言う態度を取るのね。なら、もう、いいわ」
彼女は少し怒ったように吐き捨てると、上着をバサリと脱ぎ捨てる。
ただそれだけの行動で、ブラウスに包まれた巨乳はたゆんと揺れる。
思わずジッと見つめてしまった。
「ふふ、怖いものから目が離せないタイプ?でも、私を服を脱いだとき果たして直視できるかしらね」
「えっ?ええっ??!」
彼女は上下ともに下着の姿になる。
金髪巨乳エルフさんの、肌で視界が満たされていく。
そんな光景に、思わず俺は……。
大変、勃起してしまった。
「あれっ?あれれ??? う、ウソよぉ……。私で勃起できる筈が……」
「ご、ごめんなさい!で、でも急に貴女が、脱ぐから……」
彼女のほうを見ようとして、身を乗り出したのがまずかった。
机で隠されていた愚息は、パンパンに腫れ上がり粗末なズボンを押し上げて主張する。
こんなに興奮したことは、人生において初めてであった。多分、その先端は少し濡れているだろう。
「そ、そんなハズない!……だって、だって!夫だって私相手に勃起しなかったのよ!どうしても勃起できないからって!可愛い女を横に連れ込んで!私が妊娠したときだって!その女相手に出した精液を、泣きながら一人で塗ったのよ!……勃起できる筈ない!おかしいわよ!」
「い、いやー。その、そんな事言われましてもぉ」
「は、裸を見たら!アナタだって萎えるわよっ!これっ!これを、見ろぉっ!!!」
下着を二つとも脱ぎ捨てて、彼女は生まれたままの姿になる。
金髪エルフさんの突然のストリップ。
まあ、当然ながら限界を超えるくらい勃起した。
萎えるわけないだろ。
「……そ、そんな、……私で勃起できる男がいるなんて」
彼女は虚空を見つめ、信じられないと言わんばかりに口をポカンと開けた。
かと思えば、全裸で立ったまま俯向き、頭を抱え始める。
「……じゃあ、あの屈辱はなんだったの……?お前が悪いと言われながら、ドブサイクなクセに私の目の前で女に腰を振って、横で私はカス夫の精液だけ貰って、やっぱり、やっぱりお前のせいじゃないのよっ!……んううぅぅぅっっ……!」
そのままポツポツと呟いたかと思えば、彼女は泣き始めてしまった。
なんとなく気まずくて、思わず声をかける。
「……あの、よく分かりませんが、貴女は魅力的な人だと思いますよ。勃起しないほうが、おかしいと思います」
「…………ふ、ふふふ。この私が、魅力的、ですってぇ?」
壊れたように、泣きながら笑う彼女。
普通なら、怖いとか思うのかもしれない。
でもあれだけ綺麗な人が全裸でそこにいる状況に。
逆に芸術品のような神々しさと、背徳的なエロスを感じてしまった。
「じゃあ、……じゃあ私を抱いてみせなさいよっ!!!魅力的だって言うんなら、それくらいできるでしょっ!!!」
「あっ、はい。……その、貴女がいいなら……?」
◇
この日、異世界に転移した日。
困惑しながらも俺はニコお嬢様の母親。ドロシー様を抱いた。
ちなみに、彼女は精液を指で搔きいれ妊娠したことはあるが、男性器を受け入れたことはなく実質的には処女だったとのこと。
赤面し、はにかみながら、ドロシー様は教えてくれた。
そして、言うまでもないかもしれないが、俺もまた、彼女で童貞を捨てた訳で。
だから、俗に言う童貞と処女を交換した仲ってやつになるのだろうか。
そう言えば、いつの日かお嬢様が言われてたな。
『シモンの初めては、ボクが貰うからね!』
なんて、この世界の男からすればドン引きしそうなことを。
でもごめんね、お嬢様。
初めては、君の母親にあげちゃったんだ。
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