君がいるから頑張れる ※着ぐるみオーナー様向け小説

2016年12月24日。軽い食事を済ませ、ファンクローことファンのいる部屋で。


アニメキャラクターがクリスマスデザインされた外装を開けると、白色の蓋のされた瓶にリンゴジュースの炭酸のような液体が入った瓶が顔を出す。


「あー……それが前言ってたやつ? ワクワク、ワクワク!」と、ファンが上機嫌に今か今かと開封を待っている。


「そうだよ、じゃ、改めて!メリークリスマスッ!」


ポンッ!!


「わぁ~ パチパチィッ」


ファンと迎える初めてのクリスマス。


お酒はあまり好きじゃないので、子供向けのジュース、シャンメリーの封を開け、蓋を家の壁に向けて飛ばす。ファンは予期しきれなかった蓋の勢いに目をぱちくりさせたが、すぐに好奇心で拍手と歓声をあげる。


雰囲気を盛り上げるため、ワイングラスをミニテーブルの上に置き、それらに均等に注ぐ。


「わぁー……綺麗だねぇ…… 甘くていい香り……クンクン」


「あと四日で2ヶ月だなぁ……」


しみじみ思う。ファンが来てもうすぐ60日が経とうとしている。


二回イベントに出した。一般参加では得られない感動がそこにはあったし、一緒に活動すればするほど「自分の子可愛い!!」という気持ちは強くなっていた。たまに気まぐれな性格の人に会い、「どうしたもんか……」と困ることもあったが、数人の友人がいろいろとフォローしてくれて、二回のイベントは大成功に終わった。


「はぁ……幸せ」


そう言ってから、ズルルッとシャンメリーを啜る。


「うん? …… どしたのぉ?」と、不思議そうにファンが上目遣いで見る。


(ああ……うちの子可愛い、本当に可愛い、世界一可愛い……)


拍手をした先ほどの姿が脳裏に過り、思わずにやける。


「ファン君ーっ」


そう名前を呼んで手招きをする。


「んぅっ?」


ファンは首をかしげるが、自分に抱かれるのを察したのか、ちょっとだけ笑って、そっと自分の胸にダイブしてきた。


「好きっ……大好き」


今までにない甘い声、たまらない。


「ああ……自分も大好きだよ、ああファン君……ファン君……」


「んっぅぅ……、名前呼ばれるの嬉しい」


照れているのかうっすらと頬が赤くなっているような気がする。


しばらくギュッと抱きしめた。


それから、ファンの好物の魚肉ソーセージとサラミを持った皿をシャンメリー片手に二人で摘まみながら、素敵な聖夜を過ごした。


「また、飲みたいな……」


「んっ? ああ、良いよ、今度は何本か買って腹いっぱい飲もうな」


「ほんとっ? ありがとーっ!」


再びガバッと抱きつかれ、軽いいちゃいちゃをしてから、同じベッドで眠る。


「これからもよろしくな?」


「うん、ずっとずっと……よろしく」


そう言うと、ファンは恥ずかしそうに目を閉じてから、がむしゃらに自分の額にマズルの先を付けた。


「……っっぅ……」


これは、おやすみのチューなのだろうか? 


数分後、ファンのすやすやと心地よい寝息を聞きながら、徐々に落ち着きだした鼓動で改めて幸せをかみしめ、その幸せに包まれるような感覚を味わいながら自分も眠りについた。

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