無気力転生

NOみそ(漫画家志望の成れの果て)

第1話 ここが異世界か・・・はぁ・・・


 

「人生に、そして自分自身に疲れた全ての人へ、

 この物語をささげます・・・」




 ~~~~~~~~~~


「ここが異世界か・・・はぁ・・・」


 目の前に広がる平原と陽の隠れた曇り空、

 そして後ろの森を見ながら、

 俺はため息をついた。


 

 平原には一本の街道らしき道と、

 その向こうには壁で囲まれた街が見える。



「本当に生まれ変わったんだな・・・俺・・・」

 そうつぶやくと、

 俺は自分の手を見つめた。


 若い・・・。


 どう見ても、

 アラフォーのおっさんの手ではない。


 手の甲の皮膚をつまんでみると、

 プニプニとみずみずしいハリが実感できる。



「確か、15歳になったんだっけ・・・」


 俺は女神様との会話を思い返してみる。



 ――そう、女神様。


 白いオーロラのようなものに満ちた輝く空間で、

 対面した神様・・・。


 

 前世で死んだ俺は、

 そのまま女神様に招かれて、

 自分がこれから異世界に転生する事を聞かされた。


 転生するにあたり、

 異世界の簡単な説明や、

 新しい身体をどういったものにするか、

 色々相談もして・・・。



 そして、何とか話がまとまると、

 女神様は俺を異世界に送った。


 何かまぶしい光によって何も見えなくなり、

 俺は意識ごとどこかへ飛ばされる感覚がした。



 ――で、気が付くと、

 こうして平原に立っていた、というわけだ。



「とりあえず、

 持ち物の確認か・・・」


 俺は、その場で自分のナリをチェックした。


 

 着ている黄土色の服と茶色の靴は、

 いかにもファンタジーものの物語にありそうな一般庶民のだ。


 着心地はいまいちだが、

 頑丈そうな感触だ。


 

 腰のベルトには、

 革製の鞘におさめられたショートソードと、

 貨幣の入ったポシェットが装着されている。



「ショートソード・・・」


 これを常備する事が必要な世界・・・。


 

 女神様は言っていた。


 この異世界には、

 いわゆるファンタジーもののような魔物がいると・・・。


 魔物というのは、例えば・・・。



・・・か」

 俺は、後ろの森からこちらに近づいてくる生き物を見ていった。


 腰布だけの半裸・・・、

 成人の半分程度の背丈、

 猫背ぎみの姿勢・・・、

 二足歩行・・・、

 腐った葉のような皮膚の色・・・、

 汚物のような体臭・・・、

 醜悪な顔などなど・・・。



「ゴブリン・・・」

 俺はそうつぶやいた。


 前世で、あらゆるファンタジーものの物語で見てきたゴブリン・・・。


 そのイメージにあまりにピッタリだったからだ。


 

(髪はイメージよりふさふさだが・・・)


 

 そのゴブリンが、

 不格好なこん棒らしき武器を手に、

 下卑た笑みを見せながらこちらに近づいてくる。


 明らかにる気だ・・・。



 だが・・・、


(一匹だけ・・・?)


 ゴブリンといえば集団でリンチというイメージだが・・・。


 

 何にしても俺は、助かったと思った。


 女神様からもらった力を信じるなら、

 一匹くらいなら何とかなるはずだ。



 ・・・できればこんな戦いなんてしたくない。


 そもそも俺は、

 決して望んで生まれ変わったわけじゃない。


 転生してやりたい事があるわけでもなし。


 

 たぶん、

 この先を生きたとしても、

 前世と同じく何の意味のない人生を送るのだろう。



 それでも・・・、


「苦しまず、コロッと死にたいよな、

 今度こそ・・・」


 俺はショートソードを抜いた。


 

 ゴブリンを殺す。


 寿ために・・・。



【残り3600日・・・】




 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


 ??は語る・・・。


「こうして彼の物語は始まりました。


 どうか温かく見守ってあげてください。


 そしてどうか、


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