【結婚四年目】 ハワイっ!!②天文台は…寒っ!
…何故、俺たちは説教されているのだろう。
時間はお昼、ハワイ島ヒロの街のとあるレストラン。
人の良さそうな店主さんが、言い聞かせるようにコンコンとお説教?してくるんだけど…英語だから途中から全然わからない(笑)。
横でウンウン頷いているサオが、理解を諦めてさじを投げていた俺の足をテーブルの下で蹴ってきた。
…痛いっての!
―
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「…で、店主さんなんて言っていたの?」
サオ「…その格好で、マウナケアの星空観測に行くのか…凍死しに行くのか…と」
「あ~」
サオ「…まあ、富士山より標高の高いところだからね」
前回の車内窃盗で貴重品以外の荷物の大半を失った俺たち。必需品を求めて立ち寄ったABCマートに売っていた衣類はファッションに疎い俺にしてからに
「(…これは日本に帰ってから着ることはないな)」
と思わざるを得ないサイズとファッションだった。
…と、言うことで、ハワイ島ではお互いほぼ一張羅のアロハシャツでやりくりしていたんだけど。
「…どうする?」
サオ「あそこまで言われたら…ねえ…」
マウナケア天文台の星空観測は本旅行最大のイベント。
バスツアーは夕日を目指して出発する。
高山病対策でゆっくりゆっくりの移動だから、あんまり出発までの余裕は無いけど。
俺たちは、ツアーまでの合間に、親切な店主さんが紹介してくれた衣服店に向かったんだ。
―
―
「(騙されたっ!)」
バスツアーが始まってすぐ、搭乗員の方からのありがたいお話が…
搭乗員「皆さま~、天文台は富士山より標高が高いですよ~、地上とは全く違います~、今から完全防寒具を配りますね」
「「(服なんかいらないじゃん!)」」
また一つ、外国の世知辛さを知った。
―
―
「さ…サオ!寝ては…駄目だっ!」
サオ「…はううっ!」
バスは気持ち良い~でも寝るのは禁止。
何故なら
搭乗員「お休みになられると…高山病は一気に気分が悪くなっちゃいますよ~」
…しっかし、眠い…うと…うと…「がん!」
いってぇ~サオに脛を蹴られた…本日は足癖悪いですね沙織さん!
―
―
―
サオ「うわあ~」
「…寒っ!」
夕日の落日ショーは素晴らしかった。
そして…夜空には…満月が…明るいわっ!!
「「……」」
搭乗員「いやあ~、新月だと天の川銀河が凄いんですけどね~」
「「……」」
道理で思ったより人が少ない訳だ!
サオ「クスッ」
「…サオ」
サオが可愛いイタズラっぽい瞳を寄せてくる。
サオ「…ま、うちらしいねっ!みっちゃん?」
「…ん?」
サオ「また来ようねっ!」
「…ああ!」
それでも満天の星空…思い出には充分!
また来ようねっ!サオっ!!
―
サオ「…ねえ…みっちゃん?」
「…ん?」
帰りのバスの中…サオが呟いた。
サオ「ホテル帰ったら…エッチしたいなっ」
あの…流産の日から…俺たちはやってなかったんだ。
サオ「駄目?もう私のこと嫌になっちゃったかな(涙)」
「ばかを言うな」
俺はサオの耳元でささやいた。
「お前…ずっと溜まってた俺のをナメるなよ?それで赤ちゃんなんか出来ても絶対溺れちゃうからな!」
サオ「それは困っちゃうけどさっ!」
サオ「今度こそ、パパとママに…なりたいなっ!」
―
―
―
―
その言葉は…結構長い間、俺たちを…サオを苦しめた。
出来たってことは、種も畑も問題が無い…はず…でも、何故か出来ない…そんな日々が、ここから続くなんて、俺たちは考えもしなかったんだ。
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