第12話 昔話っ!② 刺された三月

南「おにーさん!五月ちゃんにバキュームふ⚪らを教えても良いですか!?」

「ごめん…もう何から突っ込んだら良いのか…」


奇妙な同居人…南ちゃんは、俺の元カノ実乃里ちゃんの親友にしてあの子に下ネタワードを吹き込んでくる困ったちゃんだった。

最近は彼氏もいないはずなのに…南ちゃんの下ネタワードは相変わらずの威力で…今はその矛先がうちの五月と五月の作る同人誌に!


南「おにーさんに隠しても仕方ないですが、ぶっちゃけ中学生の頃は楽器の家庭教師さんにSM調教までされてましたからね。ネタはそうそう枯渇しませんよ」

「…ぶっちゃけなくて良い!枯渇しなくても封印しろ!」


当時、楽器の腐れ講師から南ちゃんを救いだしたのは、それこそぶっちゃけ俺と秋男だった…秋男の妹でもある実乃里ちゃんへの影響除去の為だったけど。


南「あの時は心まで支配されていたので『なんで!?』って感じでしたが…今は正しく理解して感謝しています」


うん、実は親御さんにも裏で物凄く感謝された。だから今回の避難同居もすんなりと親御さんの理解が得られたんだ。


南「ですので、五月ちゃんの趣味の賜物である『年の離れた愛欲兄妹』シリーズの制作には恩返しを込めて全力で取り組ませて貰いますから!」

「恩返しを考えるなら、全力でセーブしてくれ。あれの兄の鬼畜ぶりは見るに絶えないものがある!」

――

――

サオ「ねえ、みっちゃん。その同人誌って、妹ちゃんに頼めば今でも実物見れるのかなっ?」

「ごめん…頼みます…今すぐ綺麗さっぱり忘れてください!代わりに一つサオの言うことなんでもききますので」

――

――

「だいたい、なんであの話のモデルは、俺と南ちゃんなんだ?自分でやれは良いだろうに」

南「いや~恥ずかしいんでしょ?五月ちゃん」

「そういう南ちゃんは恥ずかしく無いのかよ?」

南「あたしは…似たようなこと、やってきちゃいましたから」

「……」


南ちゃん、五月にも実乃里ちゃんにも全く見劣りしない美少女。二人が少し大人びた魅力の持ち主なら、南ちゃんは正しく女子高生美少女だった。


「なあ…南ちゃんは彼氏は作らないの?」

南「何ですか口説いているんですか?おにーさん」

「口説いてません!」

南「…おにーさんだって彼女作らないじゃないですか…実乃里ちゃんの為なんでしょ?実乃里ちゃんがウィーンから傷付いて帰ってきたときの受け皿になるつもりなんですよね?実乃里ちゃんには『待たない』とか言っちゃって」

「…君に嘘言ってもしょうがないな…そうだよ。でも君は違う。君はもっと幸せになれるはずだ」

南「おにーさん…私は恋愛が怖いんです。人を好きになるのが…その時何も見えなくなる自分が…怖くて怖くて堪らない」

「南ちゃん…」

南「…ねえ?おにーさん。中学生のときの家庭教師がおにーさんだったら、私は幸せになっていたのかな」

「俺はごめんだ。実乃里ちゃんで苦労したんだ。あれ以上の下ネタトーク彼女なんて心労で死んじゃうよ」

南「あはは!おにーさん弱~い」

「うるさいわ」


…ある日の会社帰りに、俺は暴漢にナイフで刺された。泥酔していた俺はなす術もなく、一週間ほど生死の境をさ迷った。

幸いにも犯人はその間に捕まった。

南ちゃんのストーカーだった。



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