第8話 実はプロポーズは成功したのだが、家族挨拶が待っていた

沙織「ふ…ギャーーっ」

サオは不測の事態の前では、すぐ猫になる。

総毛を逆立てて威嚇してくるサオは本当に可愛い。

ここは西調布のサオの1LDKのアパート。

夜中の2時にたどり着き、リビングのソファーで寝ていた俺は、サオの威嚇の叫びに叩き起こされた。

※「サオ」は沙織の愛称。但しそう呼んでいるのは俺だけ…一般には「鶴姫」だか俺が呼んだ日には!…

「たかしって誰だ」…この疑問が長年の悪友である秋男や沙織の直属の部下だという達也によって解消された俺は、彼女とのGWを利用した北海道旅行の最後に沙織にプロポーズをして…俺たちは晴れて婚約者にレベルアップした。

これは、そんな思い出の北海道旅行から日常に戻って…最初の日曜日の早朝の話である。

沙織「み…みみみみ」

「ふぁ~~、お…おはようサオ…そこまで驚かなくても…」

沙織「お、驚くよ!!何でいるのよ!流石に昨日は来ないと思ってたよ!」

「今日は迎えに行くって言ったじゃん」

沙織「…あのさあ、みっちゃん?まだ朝の5時半だって知ってる?」

「それは知らないけど、昨日ここにたどり着いたのが2時だったからさあ」

※「みっちゃん」は婚約と同時に授かった俺の呼び名…「みつき」だからだそうな。


流石に寝ているサオを起こす気にはならす、寝室の隣のリビングのソファーで寝ていた次第である。

当時のサオの西調布のアパートは、独り暮らしには贅沢な1LDK。

新宿で遅~い仕事が終わると、北柏の我が家に帰るより、どうしてもサオのアパートに行きたくなる。

リビングのソファーに寝ている俺にサオが驚くのはこれが初めてじゃない…最近は俺用の毛布がソファーに掛かっていたりする。


沙織「もう少し一緒にベッドで寝る?」

「寝ない」

沙織「何でよ!」

「今、サオのベッドに一緒に入ったら…襲いかかっちゃうよ。そしたら今日の予定は絶対台無しだ」

沙織「…」

「それよりさ、サオには早く着替えて欲しいんだよね」

沙織「こんな朝早く?何故に?」

「サオのそのシルクのパジャマ姿…どストライク過ぎてムラムラするの!」

沙織「…みっちゃんの…エッチ!…きゃあっ!」

り…理性が飛びました…思わずサオをソファーに押し倒しました。

沙織「あっ!やっ!まっ…まっ…て、あっあっあっあっあ~~っ」

今日の日曜日。

「うち(実家)に行こう、迎えに行くよ」ってサオと約束していたんだ。

沙織「みっちゃんの…バカっ!」

「…ごめんて」

ソファーで良かったと言うか…夢中でお互いを求めあった俺たちは敢えなくソファーから転げ落ち…ギリギリで理性を取り直した。

ベッドなんか行ってたら、半日は戻って来なかっただろう。

だから…お前のエロ装束?は怖いの!

「…」

沙織「な…なに?…この格好おかしいかなあ…」

「いや…全然おかしくはないんだ…本当に安定の可愛さなんだけど…」


俺の懇願を受けて朝から着替えてくれたサオは、純白に虹色のコントラストが映える襟つきブラウスに明るいグレーのシンプルなスカート。

セミロングのサラサラの髪を軽く後ろで束ねて、前髪をシンプルなピンで留めて、後はただ涼やかに風にまかせて。

(画像)

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093078710055889

可愛い…本当に可愛いんだけどさ…サオお前…自分がどれだけロリ顔か分かって…そのお姿でうち(実家)に?

沙織「…なんか物凄く失礼なこと…考えてるでしょ、みっちゃん!?」


大丈夫かな…うちお袋も妹も思い込み激しいから…年齢思いっ切り誤解されそうだな…

せめて、スーツの時みたいに髪を纏めて…

「……」

沙織「?みっちゃん?」

…ちくしょう…可愛いなっ!


婚約者サオの我が家デビューが始まる。

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