第7話 沙織ちゃんと一つになったら、別の問題が勃発した

秋男「…先般はお楽しみだったようで」

「…うるせえ」

しょっぱなからこれだ。この大学からの付き合いの悪友には女関係の隠し事が通用しない…まあ逆もまたしかりだが。

秋男「…で、速見と幸せいっぱいのはずの三月さんはなんの電話なんだ?」

「…単刀直入に聞く。『たかし』って誰だ?」

秋男「…速見が話したのか?」

「…いや…彼女はしゃべったの覚えてない」

秋男「お前なあ!もう寸止め尋問とか…」

「やってません!」

沙織『あ~逝っちゃうよ~たかしさんごめんなさい!沙織逝ってしまいます…いっくう~!!』

絶頂の寸前に叫ばれてそのまま気絶されちゃったからなあ…こっちも困惑してるんだよ。

秋男「一言で言えば『たかし』ってのは、多分、大学時代に破局したとか言う速見の元婚約者だ。詳しくは…お前、今日の夜時間あるか?」

?「桂木三月さんですね?国見達也と申します」

秋男「こいつは俺の部下、速見の直属の部下だ」

「?桂木と申します。よろしく」

流石に分からん。俺は視線でなんでこいつが同席してるんだよと秋男に送る。

秋男「『たかし』について知りたいんだろ?それを伝えるためにこいつを連れてきたんだ」

「…はあ」

秋男「こいつの情報収集能力はプロ並みでな。達也…どうせ速見と組むのが決まったときにさんざん調べたんだろ?三月に『たかし』について教えてやってくれ」

「…なるほどねえ…」

沙織ちゃんがさんざん逡巡しながらも打ち明けようとした訳だ。あんまり苦しそうだったから止めたけど。

沙織『あたし、色々やってきちゃったんだ…話したら…嫌われちゃうかもしれないんだ…でも』

沙織『あたし…あたしさ!』

達也「話しちゃ不味かったですかね…」

秋男「…お前、三月を舐めるなよ?こんなのこいつにしてみたら…こいつがいままでやってきたことに比べたら」

「ストップ、秋男くん。半分は擁護してくれているように聞こえるけど、これ以上話したらこっちも爆弾投下するからな!」

秋男「…」

「国見くんだっけ?色々ありがとう。でもこれ以上は詮索するな」

達也「達也で良いですよ。お役に立てれば何よりですが…一つだけ良いですか?」

「なんだい?」

達也「速見先輩と…結婚されますか?」

「…するよ」

秋男「三月…」

「秋男…良縁をありがとうな」

秋男「実乃里に殺されそうだけどな…」

「そんときは言ってくれ。説得に行くから(笑)」

秋男「身体の説得だろ。お前は…(笑)」

さて、んじゃ予定通り、沙織ちゃんとの北海道旅行の計画を進めるか!

達也「あの…三月さん」

「ああ、達也くん、ありがとうな」

達也「いえ…それよりですね」

「…はい?」

達也「兄貴って呼んで良いですか?」

「…」

野生の舎弟が仲間になった。


※沙織のイメージ画を近況ノートにて公開しております!

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093078710055889




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