【幕間(結婚三年目)】沙織の男遍歴を…尋問だっ!
1990年代、携帯電話は普及していなかった。
ついでに天気予報の精度は悲しいほど酷かった。
それにしても…
サオ「みっちゃん…あたしもう…怒って…良いかなっ!」
「………」
俺、桂木三月32歳(妻には「みっちゃん」と呼ばれていた)と妻、沙織28歳(「サオ」。ちなみに会社では「鶴姫」と呼ばれていた(俺が呼んだらぶちギレ確定))は、プロローグの房総御宿の大雨海水浴での「急遽、現地で宿探しなんかするとロクなことがない」と言う反省から、9月の三連休にリベンジで「秋の尾瀬を楽しみつつちょっとした温泉宿を楽しもう!」を綿密に計画した。
…台風に直撃された。
(冒頭に戻る)
まあ、それでもね、諦めきれずに長野湯田中温泉のこじんまりした温泉宿に暴風雨の中、車で強硬移動したら、貸し切り状態になってね。
食事は美味しいわお酒の差し入れはあるわ、夜は誰もいない豪華なお部屋で濃密な交わりが出来るわとなかなかだったんだけど、一戦終わって賢者と聖女になっちゃった二人に、ベッドの上で、ちょっとしたハプニングがありましたって話。
―
―
―
サオ「そういえばさ~みっちゃん。私、大阪で2月に大学サークルの仲間の披露宴があるんだ~。」
サオは未だ全裸で俺の腕の中。
「土日でしょ?俺、どうせ仕事。気をつけて行っておいで。あんまり羽目をはずすなよ~。」
サオ「う~ん。微妙な仲間だから羽目外したりしないと思うな~。二次会も行かないかも。」
確かに微妙な表情の沙織。
「ふ~ん。聞いて良いのかな?どんな人?」
サオ「い~よ。新羽さんていって、私の大学オーケストラ部の同期で同じフルート奏者だったんだ~」
「…ああ、新羽たかしさんね?サオの元婚約者」
サオ「…なんですって?」
ヤバ!失言しました(汗)。
サオの纏う空気が一気に変わる!
サオ「何で!?何でみっちゃんが知ってるのよ!?」
「いや、その…落ち着いてよ沙織!怖いよ(汗)」
サオ「…分かった、皆まで言わなくて良いよ。犯人は秋山先輩だよね…あの男…世の中には言って良いことと悪いことが!(怒)」
「まてまてまてまて」
秋山秋男くんは、サオには会社の先輩で俺たちの紹介者・実質的な仲人。
サオ、あいつは俺と社会人デビュー一緒だからね。
先輩はちゃんと敬おうね。
「秋男違う…俺はおまえから聞いたの」
サオ「ふぇっ?あたし!?言ってない!言ってないよ~(涙)」
「いやいやサオ、泣くなって!ゆっくり思い出してよ」
沙織「ぐすん(涙)」
「俺達ってさ、夏に秋男の紹介で会って次に沙織の出るオーケストラコンサートに俺が行きたいって言って」
サオ「うん、間2ヶ月とちょっと音沙汰無しだったよね。絶対振られたと思ってた」
「ご、ごめん。それで、そのお礼がてらデートして付き合い出して」
サオ「うん、みっちゃんからは付き合ってとか言われた覚えが無いけどそうなったね」
…それはお前が!酔いつぶれたせいだろうが!
「え…え~と、それで付き合って半年くらいで初エッチしたじゃん」
サオ「うん、初めてデートした後、半年もキスさえされなくて、こいつ何だ!と思ってた。今だから言うけど、みっちゃん、絶対秋山先輩とホモ達だと思ってた。」
「……(汗)」
んなわけ…ないだろ!よりにもよって。
秋男とは悪いことばっかしやってきたけど、体の関係は無い…断じて!!
「で…でもさ!俺たちエッチは最初から相性良かったじゃん!」
サオ「…うん、あの頃のみっちゃんって荒々しくて優しくなかったよね。気が狂いそうなエッチだったもん。でも…挿入されると気持ち良くてさ~このエッチ慣れした男にあたしすぐ捨てられるんだろうな~って思ってた」
「……」
翌朝、いつの間にか俺に跨がって腰を振っていた肉食系女に言われたくはないんだけど。
サオ「で?本題が良くわからないんだけど、あたし、いつたかしさんのことを?」
「だから、初エッチの際に言ってたの!感極まった沙織が、『たかしさんごめんなさい!沙織逝ってしまいます!』って。」
サオ「ふぇええ!?」
「サオ、半分失神してたから覚えてないかもしれないけど確かに言ったの!で、秋男に聞いたのよ…たかしって誰だ?って」
サオ「うええ(汗)」
「サオってそんなに操を立てる相手がいるんだ~って、あの時は結構ショックだったよ。でもさ、恋人や夫婦でも知らせる必要の無いこともあるじゃん?だから聞かなかったんだよ」
サオ「で…でもっ!たかしさんに未練なんかないんだよ!?今はみっちゃん一筋で聞かれて困ることなんか無いんだから!」
ほ~う、言いきりよった。
「じゃ、聞いて良いんだな」
サオ「へ?」
「…この際だ、洗いざらい吐いて貰おうじゃん!」
サオ「ふぇえ!?待って待って!心の準備がぁ!」
その後、沙織は、ワタワタとバスルームに逃げ込み、長~いシャワータイムを取っていた。
おそらくしゃべることをフェイク交えて決めてきたんだろう。
―
―
―
サオ「…で、でも!?何でこうなるの~!?」
「旅行中は次の日のことを考えなくて良いから、何でも有りだったよね」
「そ…そんな……」
俺は、ベッド上で壁に持たれて楽な姿勢を取りながら、戻ってきたサオを膝の上に抱き抱えて、サオの両手を予備のガウンの帯で縛った。
これでサオをなぶり放題である。
サオ「み、みっちゃん…あたしたち、さっき盛大に気持ち良くなったよね…こ、これ以上はさ~」
「旅行中は何でも有り」
サオ「これって…拷問だよ~(涙)」
サオ半泣き。
「最初に言っておく。俺にはサオの嘘が分かる」
サオ「は!?」
「お前には嘘をつくときに致命的なクセがある!!(本当である)」
サオ「えええええ!」
「今からの質問に明らかに嘘が出た場合は…わかってるよね」
サオ「待って待って待って!も…も…黙秘権を要求しますっ!」
「……は?」
サオ「み…みみみみっちゃんもさっき言ったじゃん!やっぱり夫婦でも知らせる必要の無いこともあるって!」
「お前…聞かれて困ることなんかない!とか豪語してたじゃん!!」
だいぶ、さっきの意気込みから変わってきた。
「…三回」
サオ「さ、三回って?」
「黙秘権は三回まで。質問全部に使われたらかなわん」
サオ「ええっ!?そんなにえぐいことばっか聞く気なの~!?みっちゃんのバカ~ああっ!いや~!?」
何か腹たったから…なぶった。
サオ「あ~~ん、イヤ~」
―
―
サオ「はあ、はあ、じ、じゃあ今回の尋問は30分限定で!!」
「じ…時間限定~?」
サオ「だだだって、、、延々と聞かれたら、それこそ拷問だよ~(汗)」
「まあ…妥当か……今から30分で黙秘権三回ね。」
サオ「は、はやく時計セットして~」
俺はお宿の時計をセットした。
サオ「よ…よ~し!どんと来い~!」
「んじゃまずは、タカシさんの話ね」
サオ「それは直球ですっ!」
「新羽たかしさん、沙織と同じ青⚪⚪園大学、ただし経済だったかな?大阪出身。沙織とはオケサークルで知り合った。付き合いはじめたのは、恐らく一年の夏合宿の後、二人で合宿地から帰ったときかな」
サオ「な!なんでそんなに詳しいの~!?まさか探偵でも雇ったの~!?」
はい、我らが秋男探偵、超優秀。
「その合宿の帰りに、サオは初めてを捧げたのか?」
サオ「ううん?沙織の初めては高校生のときだよ」
あれ…高校デビューなの?
「そ…そこから社会人直前で破局するまで四年近くだもんな。サオのエッチはたかしさんに教えて貰ったのか?」
サオ「ううん?沙織のエッチはバイト先の学習塾の店長さんから」
「……」
サオ「あ…あれ?みっちゃん顔が悪い…じゃなくて悪い顔になってるよ!?」
「顔が悪くて…悪かったな!」
なんか衝撃の事実がどんどん…
「サオ…お前、俺と会うまでのセックス体験人数何人だ?」
サオ「さ、三人?」
「嘘つけ!」
サオ「ひ、ひゃああ~」
思いっきり嘘つきやがった!
サオ「みっちゃ~ん。ちょっと待って!ああっ!それは~~!」
「お仕置きだ~」
尋問時間が過ぎていく………
―
―
―
―
サオ「はあ、はあ、み…みっちゃ~ん、嘘ついてごめんなさい~。でも、ひどいよ~。せめて縛るのやめてよ~」
「はあ、はあ、目隠ししないだけましだと思うぞ」
サオ「そこまでされていたぶられたら死んじゃうよ~(涙)」
「サオの顔見てるとたまに思いっきりなぶりたくなる…冗談だよ?(サオジト目)」
こ、こほん…じゃあ改めて。
「じ、じゃあ、再開。改めて聞くけど、サオのセックス体験人数は?」
サオ「し、7人」
「………」
嘘は無い…けど、7人か~
「…さっきの大学エッチの話の続きだけど、サオにキスを仕込んだのもそのバイト先の店長さんかな?」
サオ「うん」
「フ⚪ラも?」
サオ「うん」
サオの⚪ェラ、下手なんだよな~。最初なんか噛まれたもんな~。店長さん、きっとフェ⚪にはあまり固執しなかったんだろ~な~。
「騎乗位も?」
サオ「うん」
「バックも?」
サオ「うん」
「アナルも?」
サオ「しないよ?そんなの絶対(怒)」
くそ~、引っかからないか~。
…あれ?
「サオ…店長さんって、当時幾つだ?」
サオ「確か、40歳くらい」
「…まさかと思うけど、店長さんって、既婚者だったんじゃ?」
サオ「…黙秘します」
「…まじかよ」
サオ「な…なんのことかなっ?」
不倫ですかっ!
「お前さあ…たかしさんと店長さんって、交際期間かぶってんじゃないの?」
サオ「も…黙秘…」
「…しかしさ、今までの話だと、どう聞いてもエッチ体験の主たるは店長さんだよね。どうして俺との初めてのときに、たかしさんに操を…まさかさ…お前とたかしさんが別れたのって」
サオ「黙秘!黙秘だよ!許してよ~(涙)」
「黙秘権三回使い果たしたぞ…」
サオ「…(涙)」
「…じゃあ…」
ピピピ…ピピピピ…
あれっ?終わり!?
サオ「あ~!やっと終わったよ~30分は長いね、みっちゃ~ん」
「おま…」
サオ「あ~今思い付いたんだけど、やっぱり夫婦は平等だよね~次の尋問はみっちゃんの番だよね~」
「……」
サオ「大丈夫だよ!黙秘権は三回認めるからさ~それより終わったんだから帯解いてよ~あ…あれ?」
「お、ま、え、な~!!」
サオ「ひっ…みみみ、みっちゃん。それはDV!レイプだよ~(汗)」
「絶対、もう一回、逝かしたる~!!」
サオ「ああっ!!イヤ~~!」
この後、盛り上がった俺たちはR15では決して書けない事態に突入した。
―
―
―
翌朝、朝食時間を大幅に寝坊した俺たちは、お宿の女将さんに
「お楽しみもほどほどに!」
としこたま怒られたのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます