束の間の終幕
スタァリンがワシントンD.C.に降り立ち、ジャックは首を
そしてワシントンD.C.は火の海に包まれている。時間を戻す。
世界大会本選は合衆国大統領エジソンと戦う者を選別するものであったが、当然現世界一位のエジソンが挑戦者に塩を送ることなど無い。むしろエジソンは参加者全てを皆殺しにするつもりであった。
エジソンがウキウキで本選参加者を皆殺しにしようとワシントンD.C.に電気寿司を落とそうとしていたとき、
スタァリンは赤い宇宙服で空から落ちてきた。
「特級寿司師スタァリン。参るぞ」
そう言うとスタァリンは
そして。返す刀でジャックの首が刎ねられた。
時間は現在に戻る。ジャックは飛んだ首を自分で繋ぎ治した。
首が刎ねられたとしてそれを繋ぎ治せる寿司師は数少ない。
「ああ。やっぱり……」
最初に会ったときから感じていた懐かしい気配の理由が解ったのだ。
「
サイレンの声はどうやら
「なんだお前は!?」
スタァリンは寿司ニウムがジャックに吸収されたように感じた。
寿司師の握り合いは寿司ニウムを介した殺し合いに過ぎない。その中で寿司ニウムという仮想金属がエネルギーとして両者や自然界の間を循環する。だがこれは不自然だった。自らの身体を流れるように自然と寿司ニウムが移ったのだ。
「今、理解した。俺はお前だったんだ」
ジャックは
存在してはならない同一存在が接触したことにより次元が歪んだ。ワームホールが開いた。ジャックとスタァリンはワームホールに吸い込まれた。
「なるほどなるほど。同志書記長のあり得ざる同一存在がジャックというわけですか。そして同一存在同士の共鳴、いや反発により
ラスプーチンは一連の流れを戦場より少し離れたビルの上から眺め、事態を理解した。穴の先には金箔で覆われた高層ビルの建ち並ぶ都が見える。西暦千九百九十九年、恐怖の大王の襲撃で水底に沈んだ黄金郷トーキョー。
「ラスプーチンはこの後どうするの?アタシは一旦本国に戻ろうと思うんだけど」
「私は穴へと落ちます。さらば同志ライカ」
「さよなら同志ラスプーチン。
ライカはワシントンD.C.から走り去る。
ラスプーチンは穴へと向かって歩いて行く。その後ろを何十何百もの数の精霊馬や精霊牛が続いて行く。恐怖の先触れの軍団である。
当然より近くで戦闘を見ていた
復讐劇はここで幕を閉じる。復讐すべき相手の親玉は自分自身だったのだ。
ジャック、お前は親殺しの罪を償うべきだろう。
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