第七話
テオティワカンで合流の予定だったので一回メキシコシティの屋内で休もうと思ったが、街中に普通に居た。
暑い日差しに焼かれる負け犬どもが干からびて地面に横たわっている。屋台の客席側に
「
「
「あっし、一級寿司師サイレンっス。よろしくお願い致しやス」
銀髪ツインテールで大きく名前の書かれた体操服にブルマの女が深々と頭を下げた。体操服、たぶん
「妹かなんかくらいに似てないか?」
「四騎士の製造法がテスラ研から寿司連側に流れたからじゃないの?」
ロブスターの寿司を喰らいながら、重要そうなことをサラッと言う
「お前って人間じゃなかったのか」
「そうだよ」
「身の上話するにしても何を何処まで話すか難しくて黙っていたんだ。なんかもういいかなって思って言ったけど」
「身の上話する理由がアバウトすぎだろ」
そう言って俺は
「恐怖の先触れ、精霊馬」
「恐怖の先触れ、精霊牛」
巨大なキュウリやナスから人間の手足が生えている。しかも二対ずつ。北欧神話の神獣スレイプニルは八本脚と伝わっているが、もしかするとそれかもしれない。
「ナスの方二人掛かりでやって、僕キュウリの方片付けるから」
そう言いつつ、
キュウリは砕けながら地面を跳ねる。
「俺さあ。野菜と戦うことになると思ってなかったんだよ」
「あっしも同じ気持ちっスよ」
俺は鉄火巻きを
「死霊の握り、続々握る。お前、死ぬまで」
死霊がネタとして乗った寿司が次々と握られ、俺に投げつけられる。生乾きの雑巾みてえな匂いが口内に充満するし、絶対身体に悪い。ところでサイレンはどこ行ったんだよ?
「腕は人間の味っスよ。ジャックの
「俺の食う部分多くないか?」
距離を詰めて
「本気、出す」
ナスが走り出す。人間サイズのナスが音速でぶつかるが、俺はサウナと水風呂で鍛えた
「
俺と取っ組み合いつつ、ナスは残りの掌の上で生ハムの握りを回転させる。
来るか
「
足が四本ある方が安定するし、てめえに有利な
「
特殊勝利条件が増えただけで、俺が特別不利になったような気がしない。
相撲の禁じ手が無しだったら
俺は力を抜いて、相手の背後に回り込む。回り込む段階で相手が転んだり手を地につけたりしないのは流石だ。
「おら!!ジャーマンスープレックスだ!!」
相手の腰を掴んで、後方に反り叩きつける。
てめえの領分で普通に勝った。周囲の土俵は消えてなくなり元の空間に戻る。
ナスは内側から破裂した。
「すいやせん。ほとんどジャックの
「分断されたんだからしゃあねえだろ」
サイレンに謝られるが、腕一本奪ってくれたし俺は別に気にしていない。
ライカや知らん熊の方が強敵だったな。
「キュウリは寿司ニウムの含有量が無くて全然食べた気しないよー」
いつの間にか
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