幕間 しとど晴天大迷惑

 時間は黒騎士ブラックライダーがトイレを探していた時に遡る。

 観光客向けの看板を真剣に見つめ、トイレを探す黒騎士ブラックライダー。そこに連邦USSRの寿司師たちが現れる。

 一人は白い仮面を被った寿司師。もう一人はカーキ色の調理服に身を包んだ熊の寿司師。二人とも赤い星を制帽に付けている。


「今、ちょっと急ぎの用事あるんだけど?」


 黒騎士ブラックライダーは顔を二人の寿司師に向け、その力量を測る。

 一貫。ただ一貫で満腹にできると判断した。時間はかからないだろう。


「時間はかからん。寿司師同士の決闘デュエルとはそういうものだ」


 熊の寿司師が前に出た。白面は熊の後ろで様子見の姿勢だった。

 二人は黒騎士ブラックライダーを格下と見ていた。力量を見誤ったのだ。


「寿司人造人間、無等級の黒騎士ブラックライダーだ。巻きで行くよ」

「寿司熊、二級寿司師のエフゲニー参る」

「一級寿司師ラスプーチン……」


 二人組の寿司師は先ずエフゲニーが仕掛けようとした。

 だがそれよりも速く黒騎士ブラックライダーが動いた。

 人差し指の上に既にマグロの赤身が握られていた。


回転レボリューション:■■隠れ」


 瞬間、周囲は全くの闇の中に閉ざされた。

 そして急激にエフゲニーとラスプーチンから寿司ニウムが欠乏していった。人間は寿司ニウムが欠乏した場合、餓死する。名詮自性とは良く言ったもので、この回転世界は黒騎士ブラックライダーの性質をよく表している。


「ここで十分くらい君たちをあしらうだけで君たちを餓死させることもできるけど」


 回転世界の闇に同化した黒騎士ブラックライダーの声が全周囲から響き渡る。


「何処だ!何処にいるラスプーチン!」

「とにかく寿司を投げなさい……」


 二人組の寿司師はお互いの姿すら見失っていた。真なる闇の世界では、何も見えはしない。


「オッペンハイマー直伝の寿司を握ってあげるよ。キワミの寿司:忌むべき最初の光ザ・ガジェット


 闇の世界に光が満ち、二人は高熱と超高濃度の寿司ニウムで破壊された。


「仮面の方は跡形もなくなったみたいだけど、熊ちゃんの方は生きているのかな?……そんなことよりかわや!」


 黒騎士ブラックライダーは走り去って行き、こんがり焼き上がった熊だけが残された。ラスプーチンはその存在の痕跡すら消えてなくなった。

 もし先ほどの寿司が通常空間で握られた場合、ホワイトタワー周辺は強烈な爆風によって吹き飛ばされていただろう。

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