いつか見た情景達の墓場なり(二十首連作部門応募作品)

@karasubababa

二十首連作部門応募作品

朧なる

月の明かりも

木漏れいで

新緑揺れる

梅雨はもうそこ


夕月夜

霽れは遠くに

風が吹く

春が恋しき

故も分からず


白墨の

垂れた青空

潤いて

君恋しさに

秋風を待つ


雨上がり

下にまばらな

入道雲

空の狭間に

空蝉の声


枝垂れ梅

登る階段

火照る顔

買う珈琲は

温かいまま


雨上がり

三日月の空

火照る顔

階段登り

ラムネを想う


初夏模様

夜空を染める

白雲に

街灯負かす

半分の月


雨曇り

壜底覗いた

小望月

五月雨式に

快晴を恋う


梅雨の気に

夜半を徒然

雨は無く

色を分かつは

三日月灯り


続く梅雨

あとどれくらい?

君に問う

雨音はもう

夏風にのる


汽笛の音

行くは十六夜

月の道

梅雨もお別れ

夏は夜かな


夏祭り

響く太鼓と

蝉時雨

来年こそは

向日葵の君


月も出ず

揺りに揺られる

機関車に

残暑のひどく

曇天も飽き


欠月の

沈むが見えて

返りみれば

茜差す空

陽炎近く


夜桜は

咲いて寒しと

ざわめいて

並ぶ街灯

白き月光


快晴に

涼しき風が

頬戦ぐ

緑繁りて

初夏には遠し


霞空

青の色さえ

白く染め

騒めく木陰に

ひとりかもねむ


半月の

昇る夕暮れ

青々く

春には甘い

珈琲啜る


彼誰に

躑躅を流す

白雲の

跳ねる雨音

晴れる心や


文机も

照らす斜陽も

お祭りも

暮れ泥む初夏

珈琲の湯気

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