3.魔女を隠す?方法

 翌日 今日も騒がしい客?がやって来た…



「「依頼人が魔女狩り!?」」


「あぁ…かなり面倒な相手でな…」


「なんて奴!?職業は!?見た目は!?」


「若そうな男だ。帝国の軍事組織に所属してるそうだ」


「その他には!?」


「…私を襲ってきた魔女狩りに似ていた」


「なっ!!一般人に化けてまで追ってくるとかストーカーかよ…何言われたんだ?」


「2週間で品を直せと言われた。しかし…それが厄介だ。2週間で直せたら魔女、出来なかったら信頼を失う…どっちにしろ最悪だ」


「うわぁ…」


「酷いわね…流石 魔女狩り外道の集まり…」



 これには流石の2人も言葉を失った…

 たまたま此方に用があったアッシュロードとクリスティナ、どちらも魔法具のメンテナンスを依頼したようだ。


 メンテナンスをしながら会話をするシェズは呆れながらあの事を話していた。


 最強魔女を悩ましてる魔女狩りの依頼…これは希少素材の採掘どころではない…


 フランティスアを使った部品は既に作成済み、他の希少素材の場所も調べ終わってるので採掘するだけだ。


 シェズが本気を出せばすぐに完了する依頼なのだが…

 どっちに転んでも失敗…詰んでる状況なのだ。

 相手が魔女狩りなので直した武器で攻撃されるかもしれない…行動が全く読めない。

 問題は山積みだ…本当に絶望的な状況だ。


 アッシュロードとクリスティナも困っている。

 シェズに襲いかかってきた魔女狩り…あの時も姿がハッキリとしてなかった…。


 相手の容姿がわからないのだから魔女狩り=依頼人を捕まえる事も罠を仕掛ける事すら出来ない…


 かといって信用を得る為に同行を頼むのも違う、相手はシェズが魔女だと思ってるのだ…



 しかしシェズという魔女は存在しない、魔女狩りに【破壊の魔女 ギデオン】がバレなければ(ちょっとだけだが)可能性は有る。【歯車の魔女 シェズ】は修理士シェズであり姿だ。

 本当の名は捨てた『ギデオン』だ…


 修理士=【歯車の魔女】でやれる事には限りがある…



「はぁ…参ったな」


「何か良い作戦無いの?シェズってのは偽名なんだよね?」


「あぁ、そこらの魔女に聞けば「シェズって誰?」って答えるぞ、存在しないからな」


「じゃあ…ようは本名がバレなければ良いって事か?」


「そうだが、アイツらは魔女を捕まえるのに慣れてるが、魔女の世界で私を知る者は多く捕まった魔女が私の名を口にするかもしれない」


「うわっ…そこでバレる事もあるのか…ヤバいな」


「逃げ場が無い…袋の鼠ね…」



 冒険者の知恵を借りても打開策は出てこない…



「(何か良い方法は無いのか?魔女狩りに店がバレてるから失敗したらデマを流されて…捕まって終わりだ。

 まさに魔女狩りだな…魔女と思われる女性を拘束して川に落とし、生きて帰ってきたら魔女、帰って来なかったら人間と示されるが命を落とす…完全にこの状態だな…)」



 この世界の誰もが一度は聞いたことがある伝承…魔女狩り、魔女裁判として有名なのは火炙りの刑だけではない、シェズの行った私刑のようなやり方でも魔女かどうかと決める…と言う名の処刑だ。

 裕福で無くても魔女を拘束して川に落とすだけで裁判が出来るとか…酷い話だ。


 何か打開策があるはずだ…どちらに転んでも処刑が待ってる…



「!!(そうか!それを利用すれば良いのか!)良い方法を思い付いた」


「「?!?!」」



 魔女でも蘇生は出来ないが、

 なら何でも

 魂を肉体から外す事も、仮の肉体を作ったりする事だって出来る。


 幸い、今のシェズは認識妨害魔法を使ってるので顔がぼやけているし声も違ってる、近距離で見ないと顔がわからない。

 あの魔女狩りとはそれほど近い距離で話していない。あちらはシェズの顔がわからないはず、感知だけで見つけたのだろう。


 シェズが魔女だと明かした相手には妨害魔法が効かない(アッシュロード、クリスティナ、ウォルドレ)


 魔女狩りにシェズがどう見えてるのかはわからない、待って処刑を利用して逃げる事が出来るかもしれない。 



「それって一回死ぬって事か!?」


「死なない、でも刺されるな」


「そんな無茶な!」


「私に考えがある。それとあまり騒がない方がいい、今も店の外で会話を聞いてるかもしれない」


「!!」


「一人だけじゃない、もしかしたら仲間を連れて店を囲んでるかもしれない。2人も出る時気を付けろ、姿を消して襲いかかってるくるかもしれないからな」


「「……」」



 本当に達が悪い…だから人々に嫌われるのだ…


 その後、2人は何やら少し揉めながら店を出て別れた。

 一体何を揉めてたのだろうか…


 2人が魔女狩りに捕まる事は無かったがまだ油断できない。魔女狩りの狙いはシェズだ、彼女が店を出た瞬間動くかもしれない。



「(取り敢えず、今日は店を閉めて採掘に行こう、万が一に備えて修理を終わらせておいた方が良い)」



 シェズが閉店の看板を置いた時、魔女狩りは現れなかった。

 外に出ればわかるが、魔女狩りに囲まれてた痕跡も気配は一切無い。考えすぎだったのか…いや相手は魔女狩り、シェズを魔女だと気付いてるのだ。獲物に自由を与えるはずがない。



「……(アイツが何時嫌がらせをしてくるかわからない、予定より早く終わらせておいても損は無い。直しておけば、いきなり来て急に必要になったから渡せ!って言われても大丈夫だ)」



 現在は昼前 


 シェズは荷物を持って素材を採りに行った。



「(今回のは魔法具、品質の良い魔鉱石、希少素材が二種…この辺りにある洞窟でどっちも採れる…あれだな)」



 小鳥に変身して空から目的地に向かった、これなら地上で魔女狩りと出会す事は無いだろう。

 


 難なく目的地に着き、誰にも見られていないのを確認し、黒いツルハシを構えて洞窟に入って行った。

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