10.忍び寄る魔の手…
ちょっと閲覧注意です
同じ日の魔法使いの国【ローゼンベルク】
昼頃 王都 騎士団本部
「『クラウス・ロベルタス』、ここ最近、お前の行動が目に余る。
真面目だったお前が何度も異動を希望するとは…あまりにも可笑しい」
「それは…怪しいヤツを追ってるんです」
「そのような人物の報告には無い、お前の報告書からもな」
「それは…」
騎士団本部でクラウスがガタイの良い大男に尋問されていた。
この男の名は『メルドレ』、騎士団の団長だ。
メルドレの手と机の上には数枚のクラウスの異動希望書と報告書…。
隣にはナルスもいたが、クラウスを庇う事もせず、ただ黙って2人のやり取りを見ていた。
クラウスの発言と手元にある書類を交互に見るメルドレ、睨んでるようにも見える…。
「お前が可笑しくなったのは2年前だ。何かに取り憑かれたように何かを追いかけてるように見える…『ルグウィン』、何か知ってるか?」
ルグウィンはナルスの姓だ。
ナルスはクラウスを見たが…すぐに目線を団長メルドレに戻して口を開いた。
「いいえ。申し訳ございません。同期の奇行に気付きませんでした」
「なっ!」
「ふむ…お前達が担当していたエリアは治安が悪い所でも貧困な民が集まる場所とかではない、いたって普通のエリアだったんだ。まぁ、建物の見た目は怖いがな…
だがここ最近、クラウスの異動があまりにも可笑しい。
1.2回ならわかるが…10回以上も申請してくるのはな…」
「だから怪しいヤツを追ってるんです!アイツを…」
「アイツを?」
「あっ…」
クラウスが慌てて口を閉ざしたが遅かった。そしてメルドレの目付きが変わった…。ナルスは…ニヤリと嗤ってやり取りを見ていた。
「貴様!騎士の異動を利用して人を追っていたのか!!」
「だ、だって!アイツが!アイツが勝手に居なくなるから!
あんな態度でオレの気を引こうとするから!!
こっちが絡んでやってんのを良いことを!もらってやろうって思ってたのに!勝手に消えやがった!」
「貴様っ!!仕事中に何をしている!!」
「…」クスクス
2人のやり取りを見てナルスはクスクスと嗤っていた。
自棄になって自白したクラウス、顔を真っ赤にして部下の愚かさを指摘するメルドレ…彼の怒鳴り声は廊下の騎士にも聞こえた…。
真面目だった彼がある人物に会ってしまった事で変わってしまった…。
「アイツはオレを意識してるはずだ!じゃなきゃあんな態度しないし気を引こうとしない!
性格は可愛く無かったが顔は良い!だからもらってやろうって思ってた!女一人で商売なんて無理だと思ってた、なのにアイツはやり遂げて消えやがった!オレに好意を寄せてるくせに!!」
「(相変わらず気持ち悪い…あの魔女を見て一目惚れでもしたのか、コイツの異常行動に付き合うのは嫌だったが、魔女をこの目で見ることが出来たのは良かったが。
確かに性格は難有りだが一目を奪う容姿をしていたな。
魔女に狂わされた男か…アイツに喰わせてやるか)恐ろしい…同期がこんな男だったとは…どうしてワタシは気付かなかったんだ…」
「アイツはオレのだ!」
「ルグウィン、苦労をさせた…外のを呼んでくれ」
「はっ」
ナルスは扉を開け、廊下に待機してた部下を中に入れさせた。
メルドレは溜め息をし、クラウスを拘束するよう指示をした。
2人の青年は瞬く間にクラウスを拘束し、動けぬよう押さえ込んだ。
「クラウス・ロベルタス、貴様はクビだ。本日を持って騎士団を辞めてもらう。
仕事の異動を利用して女性を
コイツを重罪者用の牢獄に入れろ。コイツの家には俺から話をつけておく」
「「はっ!!」」
「離せ!離せよ!」
「黙れ!」
呆気なくクラウスは牢獄に連れていかれた。残されたナルスはメルドレと少し話して部屋を出た。
こうなる事を知ってたようなナルス…いや、こうなるよう仕向けたのだろう…
そしてこの日の夜…
牢獄に連れていかれたクラウスは至るところに拘束具を付けられていた。
何者かが彼を訪れていた…
「無様だな…素直になっていれば良かったものを、お前は変な態度を取っていたな。それが仇となり
「アレはオレのだ…」
「だが諦めたくないのだろ、
「……だ…」
「…ふむ、まだ早かったか。また来る」
「…あ……が……」
…クラウスが気絶すると…何者かがその場から消えたのだった。
その後…彼の元には誰も訪れてないと判明した…。
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ほのぼのからの一気に気持ち悪い男の話になりましたね~
シェズがローゼンベルクから早めに出てホントに良かったですね。
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