シャワーひとつ白砂おとす海の暮


シャワーひとつ 白砂しらすなおとす うみくれ




夏の句です。



昼はあれほど賑わっていた夏の砂浜も、陽がかたむく頃には人影がまばらになって、時折りあがる若い嬌声がかえってものさみしさを際立たせる。

一本きり立つシャワーの影が、次第に長くなる。

まだ帰りたくないと駄々をこねていた子供たちは、未練を残しながらシャワーで砂粒を落とす。

脛についた潮の香りが去っていく。


今日の日が過ぎるのを悲しむのは子供たちか、ひとり残されるシャワーの方か。

あるいは父母ちちはは。今日が永遠にはつづかないことを、かれらがいちばん切実に知っている。


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