28 精霊たちとの再会

 ボクはミエル、賢者だよ。

 用事を済ませて、ギルドの中に入った。


 みやびの安全を考えて、待ち合わせ場所として、ギルドを選んだ。

 耳ざわりなことをいうヤツがいて、うっとうしいけれど、ギルドの中が一番安全だからね。


ミエル こころの声

『みやびは、まだかな?』



ギルドマスター

「くそっ、逃げやがったか?」


受付嬢

「フタを開けてみたら、自尊心が高いだけのクソ野郎でしたね。」



賢者 男性 リオン

「あれ? ミエルさん、いつ上級ダンジョンから戻ったのですか?」


ミエル

「こんにちは、リオンさん。

 こんにちは、アリスさん。


 ボクはきょうは、上級ダンジョンには行っていないけど、どうして?」


賢者 女性 アリス

「さきほど、みやびさんが行きました。

 ミエルさんが、上級ダンジョンで行方不明になった上級者パーティを助けに行ったと言われたからです。」


ミエル

「どんなひとですか?」


賢者 男性 リオン

「たしか、ワナ解除師として、さいきん、うるさかった男性です。」


 ギルドマスターと受付嬢が駆け寄ってきた。


ギルドマスター

「その話は本当ですか?

 見間違いであってほしいのだが・・・」


受付嬢

「ワナ解除師 ナリルさんは、みやびさんを逆恨みした可能性が高いです。」


ミエル

「どういうことですか?」


 ボクは、ギルドマスターから、ワナ解除師 ナリルさんの大失敗について聞かされた。


ミエル

「ふーん、そうですか?」


ギルドマスター

「ミエルさん、そんな他人事みたいな言い方は良くないぞ。」


ミエル

「ボクはもう【みんなの安全】を考えるつもりはないのです。

 正義の味方ではないですからね。


 【自分の安全】を優先すると決めたんです。」


受付嬢

「ミエルさんは、みやびさんと仲良く愛し合っていたじゃないですか、それなのに、あんまりです。」


ミエル

「なにか誤解していませんか?

 もちろん、 【自分の安全】のなかには 【みやびの安全】が入っています。」


 ボクは、おおきく気を吸い込んで吐いて、気持ちを落ち着けようとした。


ミエル

「さーて、調子にのって、虎の尾をんだというか、りゅう逆鱗げきりんれた【おバカさん】に、おきゅうえてあげようかな?

 いや、お仕置きする方が良いのかな?


 じゃあ、ギルドマスター、受付嬢さん、行ってきますね。


 賢者のリオンさんと賢者のアリスさん、教えてくれてありがとう。」


 ボクは、ゆらーりと椅子いすから立ち上がって、ギルドの出口へ歩き出した。


ギルドマスター

「まて、ミエル。

 ひとりで行くのは危険だ。


 ナリルは、あれでも【ワナ解除師】だ。

 みやびを人質として連れながらでも、地下20階層までは行くかもしれない。


 リオン、アリス。

 途中まででもいいから、ミエルとともに上級ダンジョンに行ってくれ。」


賢者リオン、賢者アリス

「「はい。」」


賢者リオン

「ミエルさん、ボクたちは、地下10階層までしか行けません。

 たとえ、それでも・・・」


賢者アリス

「そうよ、ミエルさんの魔法力というかMPを温存した状態で、地下11階層に見送ることが出来ます。」


賢者リオン

「そうです。 元気はつらつな状態で地下11階を目指せるのと、そうでないのとでは大きな差が有るはずです。」


ミエル

「ありがとう、助かるよ。」



 ボクは、賢者リオンと賢者アリスのおかげで、無傷で、上級ダンジョンの地下11階に入ることが出来た。


ミエル

「さてと、上級ダンジョンを無事に進むには、精霊の助けが必要だよな。


 みんなー、ちからを貸してくれないかーーーー。」


精霊A

『だれかが呼んでるよ。』


精霊B

『ミエルが呼んでくれたら、やる気出るけどね。』


精霊C

『ミエルがいないと、さみしいね。』


精霊D

『とりあえず、行ってみようよ。』


精霊E

『どんなひとか見てから考えようよ。』


 精霊たちが、ミエルのまわりに集まってきた。


ミエル

「みんな、お久しぶり!

 元気だった?

 いや、元気そうで良かったよ。」


精霊A

『ミエルに、そっくりね。』


精霊B

『ミエルのことを聞いてみようよ。』


精霊C

『ミエルがいるみたいな気がしてきたよ。』


精霊D

『ミエル本人じゃないかなあ。』


精霊E

『本当だ。ミエルだよ。会えてよかった。』


ミエル

「みんな、どうかな?

 ボクは、苦労人から賢者に転職できたんだよ。

 かっこいいでしょ。」


精霊A

『ミエル、うれしそうね。』


精霊B

『ミエルは、もともと賢いよね。』


精霊C

『ミエルがいれば、安心だね。』


精霊D

『ミエル、ボクたちを呼ぶってことは、こまっているの?』


精霊E

『ミエル、さっき背の高い女性がかたかつがれて、下の方に連れていかれたよ。』


ミエル

「ありがとう。

 その女性はボクの恋人のみやびなんだ。


 たぶん、地下20階層まで連れていかれたと思うんだ。


 ただし、ワナがいっぱいあるはずだから、ワナの場所とワナの中身を教えて欲しいんだ。」


精霊A

『ミエル、正しい選択せんたくをしたわ。』


精霊B

『ミエルが望むなら、ちからをすよ。。』


精霊C

『ミエルのいう通りにするよ。』


精霊D

『ミエル、ワナを光らせることにするよ。』


精霊E

『ミエル、【こおり しょう呪文じゅもん】を当ててね。』


ミエル

「ありがとう。」


 ボクは、あっという間に、いや、大げさかな。

 ワナに引っ掛かることなく、地下20階に入った。


ミエル

「みんな、ありがとう。」


精霊A

『ミエル、素敵すてきだったわ。』


精霊B

『ミエルがのぞむとき、また呼んでね。』


精霊C

『ミエルと話せると、本当に楽だね。』


精霊D

『ミエル、ワナをひからせることにするよ。』


精霊E

『ミエル、ボクたちは、この先には入れないから、またね。』


ミエル

「ありがとうー!」


 ボクは、精霊たちと別れて、先を急いだ。

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