24 初級ダンジョンで【大好評】のワナ解除師
初級ダンジョンは名前から分かる通り、初心者向けのダンジョンで危険がない。
もしも、ワナに引っ掛かっても、スタート地点に戻されるだけだ。
ただし、あと一歩で宝箱を開けることが出来たのに~、キーッという悔しさとストレスを感じるだけだ。
ギルドの初級者用の依頼掲示板の前。
ワナ解除師 ナリル
「キミたちは初心者だね。」
初心者A
「はい、そうです。」
ナリル
「調子はどうだい。
ボクはワナにはくわしいからね。
キミたちの力になれると思うよ。」
初心者B
「すごいですね。」
初心者C
「ボクたちは3人パーティなのですが、ほとんどすべてのワナにかかってスタート地点に何度も戻されるから、先へ進めないんですよ。」
ナリル
「そうかい。なら、ボクをパーティで雇わないかい。
儲けの40%をくれたら、初級ダンジョンを案内するよ。」
初心者A
「そうなると、ボクたちの取り分は60%で、3にんで分けるとひとり20%しかないですね。」
初心者B
「でも、いまのところ、儲けがゼロだから、20%でも助かるよ。」
初心者C
「ねえ、ナリルさんにお願いしようよ。」
ナリル
「まあ、いまなら、引き受けてあげるよ。」
初心者A、B、Cは、ナリルとパーティを組む申請をした。
受付嬢
「ナリルさん、上級者のあなたが初心者3人を指導してあげてくださいね。」
ナリル
「ああ、大船に乗ったつもりで安心して欲しい。」
初心者A、B、Cは、ナリルとともに、初級ダンジョンにもぐった。
◇
初級ダンジョンにて。
初心者Aが床にあるワナを踏んで、ナリルが入ったパーティは、スタート地点に戻された。
初心者A
「うわあ、まただ。」
ワナ解除師 ナリル
「うんうん、仕方ないね。 さっきの場所に戻ろうか?」
初心者Aが床にあるワナを踏んだ場所に戻った。
ナリル
「よーく見てご覧。
床の色が2種類あるだろう。
青い床は安全だが、黄色い床は危険なんだ。」
初心者A
「さすが、ナリルさんだ。 とっても分かりやすいです。」
ナリル
「まあ、わたしは、一流のワナ解除師だからね。」
◇
しばらくして、初心者Bは左手を壁に触れながら、歩いていた。
初心者B
「わあ、今度はボクがワナに引っ掛かったよ。」
初心者Bが壁にあるワナにさわって、ナリルが入ったパーティは、スタート地点に戻された。
初心者B
「うわあ、まただ。」
ワナ解除師 ナリル
「うんうん、仕方ないね。 さっきの場所に戻ろうか?」
初心者Bが壁にあるワナにさわった場所に戻った。
ナリル
「よーく見てご覧。
壁にふくらんだ部分があるだろう。
片手で壁を触りながら歩くと、迷路には迷いにくくなるが、ワナをさわってしまうことがあるんだ。」
初心者B
「さすが、ナリルさんだ。 とっても分かりやすいです。」
ナリル
「まあ、わたしは、一流のワナ解除師だからね。」
◇
ギルドのテーブルで、初心者パーティが喜んでいた。
初心者C
「ナリルさんのおかげで、ボクたちも初級者ダンジョンで稼ぐことができました。
ありがとうございました。」
ワナ解除師 ナリル
「いやいや、君たちが、がんばったからさ。
じゃあ、約束のお金をくれるかな。」
初心者A、B
「どうぞ、ナリルさん。 約束のお金です。 利益の60%です。」
ワナ解除師 ナリル
「確かに受け取りました。
紙のお金、札束にならないコインは置いて行くよ。
お茶代の足しにしてくれたまえ。」
初心者C
「では、いただきます。
それで、次回ですが・・・」
ナリル
「もう大丈夫だ。 君たちだけで初級者ダンジョンを攻略できるよ。
何回かスタート地点に戻されたとしても、いつもの半分以下で済むだろう。」
初心者A、B、C
「「「ナリル先生、ありがとうございました。」」」
ナリル
「こまったことがあれば、いいたまえ。 ハッハッハッ。」
◇
未来知見(みらいちけん)の女神 ミサキ
「このナリルは、5流以下ですね。
ダンジョンで一番大事なことを教えていない。」
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