24 初級ダンジョンで【大好評】のワナ解除師

 初級ダンジョンは名前から分かる通り、初心者向けのダンジョンで危険がない。

 もしも、ワナに引っ掛かっても、スタート地点に戻されるだけだ。

 ただし、あと一歩で宝箱を開けることが出来たのに~、キーッという悔しさとストレスを感じるだけだ。


 ギルドの初級者用の依頼掲示板の前。


ワナ解除師 ナリル

「キミたちは初心者だね。」


初心者A

「はい、そうです。」


ナリル

「調子はどうだい。

 ボクはワナにはくわしいからね。

 キミたちの力になれると思うよ。」


初心者B

「すごいですね。」


初心者C

「ボクたちは3人パーティなのですが、ほとんどすべてのワナにかかってスタート地点に何度も戻されるから、先へ進めないんですよ。」


ナリル

「そうかい。なら、ボクをパーティで雇わないかい。

 儲けの40%をくれたら、初級ダンジョンを案内するよ。」


初心者A

「そうなると、ボクたちの取り分は60%で、3にんで分けるとひとり20%しかないですね。」


初心者B

「でも、いまのところ、儲けがゼロだから、20%でも助かるよ。」


初心者C

「ねえ、ナリルさんにお願いしようよ。」


ナリル

「まあ、いまなら、引き受けてあげるよ。」


 初心者A、B、Cは、ナリルとパーティを組む申請をした。


受付嬢

「ナリルさん、上級者のあなたが初心者3人を指導してあげてくださいね。」


ナリル

「ああ、大船に乗ったつもりで安心して欲しい。」


 初心者A、B、Cは、ナリルとともに、初級ダンジョンにもぐった。



 初級ダンジョンにて。


 初心者Aが床にあるワナを踏んで、ナリルが入ったパーティは、スタート地点に戻された。


初心者A

「うわあ、まただ。」


ワナ解除師 ナリル

「うんうん、仕方ないね。 さっきの場所に戻ろうか?」


 初心者Aが床にあるワナを踏んだ場所に戻った。


ナリル

「よーく見てご覧。

 床の色が2種類あるだろう。

 青い床は安全だが、黄色い床は危険なんだ。」


初心者A

「さすが、ナリルさんだ。 とっても分かりやすいです。」


ナリル

「まあ、わたしは、一流のワナ解除師だからね。」



 しばらくして、初心者Bは左手を壁に触れながら、歩いていた。


初心者B

「わあ、今度はボクがワナに引っ掛かったよ。」


 初心者Bが壁にあるワナにさわって、ナリルが入ったパーティは、スタート地点に戻された。


初心者B

「うわあ、まただ。」


ワナ解除師 ナリル

「うんうん、仕方ないね。 さっきの場所に戻ろうか?」


 初心者Bが壁にあるワナにさわった場所に戻った。


ナリル

「よーく見てご覧。

 壁にふくらんだ部分があるだろう。

 片手で壁を触りながら歩くと、迷路には迷いにくくなるが、ワナをさわってしまうことがあるんだ。」


初心者B

「さすが、ナリルさんだ。 とっても分かりやすいです。」


ナリル

「まあ、わたしは、一流のワナ解除師だからね。」



 ギルドのテーブルで、初心者パーティが喜んでいた。


初心者C

「ナリルさんのおかげで、ボクたちも初級者ダンジョンで稼ぐことができました。

 ありがとうございました。」


ワナ解除師 ナリル

「いやいや、君たちが、がんばったからさ。

 じゃあ、約束のお金をくれるかな。」


初心者A、B

「どうぞ、ナリルさん。 約束のお金です。 利益の60%です。」


ワナ解除師 ナリル

「確かに受け取りました。

 紙のお金、札束にならないコインは置いて行くよ。

 お茶代の足しにしてくれたまえ。」


初心者C

「では、いただきます。

 それで、次回ですが・・・」


ナリル

「もう大丈夫だ。 君たちだけで初級者ダンジョンを攻略できるよ。

 何回かスタート地点に戻されたとしても、いつもの半分以下で済むだろう。」


初心者A、B、C

「「「ナリル先生、ありがとうございました。」」」


ナリル

「こまったことがあれば、いいたまえ。 ハッハッハッ。」



未来知見(みらいちけん)の女神 ミサキ

「このナリルは、5流以下ですね。

 ダンジョンで一番大事なことを教えていない。」

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